JAGUAR XE 20t Impression


■ファースト・インプレッション

XE 20tを手に入れる前にも何度か試乗する機会がありました。はじめてXEに乗った時の印象は、ROVER 75と比べると「固く締った感じの足回り」です。ROVER 75は17年前のクルマですが、ボディー剛性はとても優れていてMERCEDESやBMWの同カテゴリと比べても見劣りしませんでした。最初は固いと思った足回りですが、乗り慣れてくるほどに、XEのボディーも足も良く出来ているのがわかります。面白いのは、ROVER 75よりも重いクルマなのに重さを感じることがなく、むしろ軽い感じがします。

都内の中心部(青山〜赤坂〜外苑前)を走ってみて、素直で非常に運転しやすいクルマだと感じました。水戸の田舎道を走った時は、ゆるやかなカーブを正確にトレースするのが楽なクルマだと気づきました。総じてステアリングの感覚とクルマの挙動が一致していて、車幅に対してあまり余裕がない細い道路でも無理なく安心して走れるところが優れています。


■都内を走る+首都高速を走る

2000ccのダウンサイジング・ターボ・エンジンで1.7tほどもあるボディーを引っ張るわけですが、パワーに不足はありません。8速ATは、比較的低回転の領域を使う傾向があり、市街地を走った時は1100〜1500回転あたりが多く、それくらいの回転数でこと足りています。たまに2000回転に届くくらいなので、低音系の静かにうなるようなエンジン音が特徴です。

ハイペースなわりに急なカーブが多くかつ進路変更が頻繁に起きる首都高速は、JAGUAR XEのためにあるのではないかと思うくらい走りやすいです。Rのきついカーブでも安定した姿勢を保ちつつ正確なラインをたどってくれますし、軽く踏むだけで加速し、ブレーキングも思い通りに減速してくれます。JAGUAR XEのブレーキはとても良く利きます。


■立体駐車場

BMW 3シリーズの車幅は1800mm、MERCEDES Cクラスは1810mmですからJAGUAR XEの1850mmは広い方に属します。1810mmまでのクルマならばほとんどの立体駐車場に入れることができますが、1850mmになると微妙でダメな場合がよくあります。さらに、MERCEDES Cクラスのトレッドは1510mmですが、JAGUAR XEは1600mmもあります。車幅がOKでもタイヤが収まらないことが多いのです。


■高速道路を走る・・・アダプティブ・クルーズ・コントロール

高速道路を巡航すると、JAGUAR XEの抜群の直進安定性と素直なステアリングフィールを感じることができます。路面の状態をしっかりと拾いますが、ゴツゴツ感はありません。遮音性はあまり高くなく、エンジン音やタイヤ音はそれなりに聞こえてきますから、静粛という感じはありません。しかし、振動や走行音に違和感はなく、人を不安にさせるような挙動もないので乗り心地はとても良いです。100km/h時の回転数は1800くらいでしょうか。高速巡航時のエンジン音はとても静かです。

昨今流行のアダプティブ・クルーズ・コントロールが標準装備されており、特に渋滞時に威力を発揮します。クルーズ・コントロールをONにするには32km/h以上が必要です。車間は4段階で調節でき、車間はそれぞれの段階ごとに車速に応じてダイナミックに変化します。ONにした状態で渋滞の低速走行状態になると、停止しない限りのろのろと走りつつも車間を維持します。停止してもアクセルを軽く踏むとクルーズ・コントロールは復帰します。


■田舎道を走る

英国のみならず欧州をドライブしたことがある方ならわかると思いますが、あちらの道路は日本と違って、信号機が少なく、渋滞がなく、そもそも走っているクルマの数が多くありません。そして、ポテトチップスのような丘陵をうねった道がどこまでも続きます。欧州車、とりわけ英国車はこういった道を気持ちよく走るために作られたようなところがあります。

日本には欧州のような田舎道は多くありませんが、そんな道をJAGUAR XEで走ってみるとたとえようもない快感を味わうことができます。JAGUAR XEは、ゆるいカーブになると横Gをかわしつつ程よいロールをします。ドイツ車にも国産車にもないロール感の心地良さが英国車の特徴でもあります。そういうフィーリングに惚れてROVER 75に17年間も乗り続けたわけですが、JAGUAR XEでもそれを味わうことができます。


■オーディオ、USB、Bluetooth

英国のハイエンド・オーディオ・メーカーMeridianが標準装備されており、音はとても良いです。ワイドレンジであり、低域がボンついたり、中域が引っ込むようなこともなく、バランスをきめ細かさと迫力を兼ね備えています。

私が乗っている初期の2016年モデルは、10枚分のCDデータを読み込む機能のほかに、iTunesなどの音楽データを入れたUSBメモリを差し込むことができます。対応しているフォーマットは、AAC、MP3、WAVの3種類で、Appleロスレスはダメでした。後期のモデルではUSBメモリを直接読み込む機能が廃止されたようで、そのかわりUSBメモリのデータをクルマに内蔵されたメモリにコピーできるようになりました。

Bluetooth経由でiPhoneと連動しますので、ステアリングのボタン操作でハンズフリーで電話をかけたり、iPhoneの音楽ソースを再生できます。


■デザイン

見れば見るほどカッコいいクルマです。カミサンが近所のスーパーに買い物に行った時は、走ってくる姿を見たくて、そろそろ帰って来る頃になると家の前の路上で待ち構えている私がいます。


■燃費

東京〜箱根往復240kmを走って、16km/lでした。過去の最高記録は22km/lですが、これを超えるのはまず無理でしょう。頻繁に信号につかまる平日の都内では、アイドリングストップするかしないかで大きく差が出ますが、アイドリングストップが効いている場合は7〜10km/lくらいです。但し、アイドリングストップが機能するかどうかはさまざまな条件があるようで、経験的には気温が低いとアイドリングストップしないように思います。従って冬場は燃費がかなり低下します。


■メンテナンス

我が家の近くにジャガー&ランドローバー板橋サービスセンターがあります。サービス工場がうんと近い、というのもジャガーを選んだ理由のひとつです。まめに出入りしてフロントと仲良くしていると何かとサービスしてくれますし、入庫前に予約しておけば代車の車種を選ぶこともできます。2年点検の時は、気になっていたディーゼルのXE 20dをたっぷり乗ることができました。



HomePageに戻る / Copyright(C)2018- Tetsu Kimura/Perche