JAGUAR XE 20t Osmium 2016
■私が好きな車とは「走って楽しい」ということと「落ち着いた上品な走り」の両方を求めています。起伏のあるカントリーロードを程よいスピードで気持ちよく走りたいのです。カーブラインをトレースする時、ぐっと踏ん張るのではなく、微妙にロールしつつじわっと踏ん張ってくれる足まわりがたまらなく好きです。そんな私が最初に選んだのがROVERというブランドでした。
もうひとつの条件は、誇張のないナチュラルに洗練されたデザインです。最近流行の下品とも言える押し出し強いデザインは好きではありません。小手先の斬新さや無意味なボディーラインも嫌いです。最初に乗ったROVER 600は、ドライビングから戻ってクルマから降りるとつい眺めてしまう美しさがありました。次に乗ったROVER 75は見る人を魅了する抜群のプロポーションでした。しかし、2000年にROVERというブランドがその歴史を閉じて以降、私を惹きつけるデザインのクルマは登場しませんでした。私の好みは明らかに売れるクルマのマーケットの主流からはずれているようです。
さらにもうひとつ重要な条件があります。それは、内装の上品さとシートの心地良さです。ROVERの全モデルに共通して優れていたのは、標準モデルから座り心地が良く上質な仕上げのレザーシートが装備されていたことです。見て美しく、乗って快適なのです。数時間の連続したドライブでも疲れ知らずで、東京〜岐阜(往復740km)の日帰り出張がつらいどころかむしろ楽しかったくらいです。
17年間にわたって2台のROVER 75を乗り続けたのは、このクルマの洗練されたデザインと上品な挙動やしなやかな足回り、そして美しく快適なシートとキャビン内の雰囲気に惚れたからでした。
British Racing Green(1台目、後方はROVER Mini) / Moonstone Green(2台目)どちらも1999モデル■Jaguar XE入手の顛末
そうこうするうちに我がROVER 75も老朽化し、保守を続けるのが難しくなってきました。そんな時に、カミサンが「最近見かけるJAGUARのデザインはなかなかいいと思うわ」と口走ったのをいいことに、気が変わらないうちにと手に入れたのがこのJAGUAR XEです。
しかし、東京近郊のJAGUARのディーラーをあたってみたところ、希望するボディーカラー「オスミウム」の在庫がありません。あるのはホワイト系か濃い色ばかりで、シルバー系やゴールド系は皆無、日本に向かっている洋上の船荷もあたってもらいましたがそこにもありません。そもそも「オスミウム」は廃版だそうで、百歩譲ってゴールド系を一から発注すると、どんなに早くても3ヶ月、通常は半年かそれ以上かかるという。ところが、JAGUAR LAND ROVER水戸が「オスミウム」を1台だけ持っていることがわかったので、早速水戸まで行ってその場で契約してしまいました。
JAGUAR LAND ROVER水戸での納車風景 / すべてが整った状態のXE Osmiumがショウルームで私を待っていました
■何故、XEなのか
私は4ドア・セダンが好きなので対象となるJaguarのラインアップは、XJ、XF、XEの3種になります。我が家の駐車スペースは少々大きなクルマでも入りますが、あまり大きいとスーパーや百貨店の駐車場に入れるのにちょっと苦労します。代車でRANGE ROVER Sportに乗ったことがありますが、行きつけの百貨店のパーキングでは特別なスペースを必要としました。XJもあまりに大きすぎるので最初から無理。XFかXEかはとても迷いました。
前車のROVER 75のボディーサイズは4755mm×1780mmでした。XFは4960mm×1880mm、XEは4680mm×1850mmです。XFはROVER 75と比べて全長・全幅ともにかなり大きくなるので、日常の買い物にも使うクルマとしては扱いに気を遣うだけでなく、スーパーの駐車場などで周囲に対しても迷惑をかけます。XEでも全幅がかなり広くなりますが、全長が短くなるのでこれならばなんとか無理なく付き合えそうです。
リアビューやインパネの雰囲気はXFの方が好みですが、日常的に家族で乗るクルマとしてはXEあたりがちょうどいいと思いました。JAGUARのラインナップの中では最もコンパクトなXEですが、実際に外に出てみるとXEですら入れてもらえないタワーパーキングもあるわけで、XEも十分大きなクルマなのだと実感しました。