へそまがりの
オペラ・カタログ
このページは、へそ曲がりが書いていますので、ちゃんとした解説は期待しないでください。
また、ページのかなりの部分が工事中ですのでそのこともお含みおきください。
W.A.Mozart

ドン・ジョヴァンニ
Don Giovanni, K.527
台本:ロレンツォ・ダ・ポンテ
初演:1787年
時:16世紀
場所:セヴィリア、スペイン
死亡:2名(騎士長、ドン・ジョヴァンニ)
負傷:全身打撲1名
その他:結婚1年延期1組


はじめて見た時は、なんて暗いオペラなんだ、と思うのに、回を重ねるごとに面白さと音楽の圧倒的な厚みにはまってゆくのが、「ドン・ジョヴァンニ」の魔力というのでしょうか。映画「アマデウス」で、閑古鳥が鳴いている劇場で、ひとり没頭して聴いているサリエリの気持ちがだんだんわかってきました。

モーツァルトのオペラは概して登場人物が多いのですが、「ドン・ジョヴァンニ」もかなり多い方だといえます。そのため、性格の位置づけが難しい配役が目立ちます。日本での上演でいちばん手を抜かれていると思われるのがドン・オッターヴィオではないでしょうか。登場回数が多い割に、力強いアリアを持たないために、いい加減なテノールが割り振られているように思えてなりません。

彼に与えられた性格は、おそらく、2人の傷ついた女性をエスコートして、ドン・ジョヴァンニを追いつめて行くリード役だとすれば、かなり芯のあるテノールでなければなりません。難曲であるだけに、いいテノールを使ってもらいたいところです。そうでないと、影が薄い存在のまま終幕でドンナ・アンナに「結婚は1年待ってね」なんておあずけを食らうなさけない役柄で終わってしまいます。

田舎者の新郎役のマゼットも難しい役です。但し、マゼットはドン・ジョヴァンニにしたたかに殴られるかわりに、正真正銘ツェルリーナのおっぱいを触らせてもらえるという、むちゃくちゃいい役でもあります。特に最近の演出はリアリティを追求したものが多いので、膝枕してもらって、顔をやさしく撫でてもらって、顔を胸に埋ずめさせてもらえる、なんてことになった上にギャラまでもらえてしまう役なのです。(いつだったか、NHKのガラコンサートで、ドン・ジョヴァンニ役の木村俊光がツェルリーナ役の澤畑恵美の胸を触ったのは、明らかに違反だと思います)

このオペラで誰もが「どんな演出をするのだろう」と最後まで期待しているのが、ドン・ジョヴァンニがどのようにして騎士長の石像によって地獄に連れ去られるか、です。

W.A.Mozart

魔笛
Die Zauber Floete, K.620
台本:ヨハン・エマヌエル・シカネーダー
初演:1791年
時:不明
場所:エジプトっぽい場所、国籍不明


登場人物の顔ぶれには、このオペラのストーリーをデッチあげたエマニュエル・シカネーダーという山師の性格がそのまま出ているように思えます。パパゲーノのような気ままで率直な人生観を持ち、母親は夜の女王のように身勝手かつ勝ち気、心の片隅にモノスタトスが住み着いていて可憐な女性を見る目はちょっとエッチ、基本的に面食いなのに、過去に出会った恋人は3人いていずれもちょっとコワイおばさんで今や女性不信症(あくまで私の想像です)。

予算との相談になるのでしょうけれども、衣装や大道具に手のかかるオペラです。舞台のどこかに柱を1本と壁1枚くらい立てておけば格好がつくワーグナーのようにはゆきません。タミーノが追われる大蛇は、幕が上がっていきなり登場するだけに手が抜けません。3人のダーメの衣装も、充分ファッショナブルでなければなりませんし、聴衆は、夜の女王が、紅白歌合戦のトリで登場する演歌歌手がごとき派手な衣装をまとって、ゴンドラにでも乗って登場することを期待しているでしょう。試練の場にあるライオン像ほか、あちこちに火が出たりワインが出たりと仕掛けがいります。2人の騎士は、黒光りする馬にでもまたがっていて欲しいかもしれません。そうそう、猿やら熊やらがゾロゾロ登場する怪しい場面もありました。

ところで、終幕で轟音とともにどこかに転落して行った5人(夜の女王、3人のダーメ、モノスタトス)はどうなっちゃったんでしょうか。死んでしまったのであれば、パミーナの母上ということで葬式をしなければなりませんし、さんざん鞭打たれたモノスタトスもかわいそうです。せいぜい、土手から田んぼに転げ落ちたくらいのオシオキであって欲しいものです。慈悲あふれるザラストロのことですから、それくらいの度量はきっとあることでしょう。

どうも、散漫な文章になってしまいました。それもこのオペラのストーリーのせいです。では、このへんで。

W.A.Mozart

コシ・ファン・トゥッテ
Cosi Fan Tutte, K.588
台本:ロレンツォ・ダ・ポンテ
初演:1790年
時:18世紀
場所:ナポリ、イタリア
賭:ドン・アルフォンソの勝ち


Paris National Opera 2006 / photo by M.Kimura


いきなりこういうことを書くと叱られそうですが、私にとって「コシ・ファン・トゥッテ」は後味があまりおろしくないオペラのひとつです。なぜかというと、ドン・アルフォンソが仕掛けたこの悪戯の結果、とりあえず元のさやに収まった二組のカップルが、これから先うまくやっていけるかどうかはなはだ怪しいからなのです。

このオペラでは、男女の仲は、しっかりとした絆で結ばれているという一面と、きわめて危うい関係なんであるという別の一面があることを証明してしまったからです。ドン・アルフォンソの言い分が人生の心理を突いていることに間違いはないと思いますが、世の中には余計なお世話というものもあるわけで、せっかく楽しくいちゃついているカップルはそれはそれでほっといてやってほしいなあ、と思うのです。

G.Rossini

セヴィリアの理髪師
Il Barbiere di Siviglia
台本:チェーザレ・ステルビーニ
初演:1816年
時:18世紀
場所:セヴィリア、スペイン


from Wiener Staatsoper


モーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」で、女好きな貴族ドン・ジョヴァンニが最も多くの女性を手中に収めたのがここセヴィリアです。その数は従者レポレッロの記録によると1003人に及び、他国での数字をはるかにしのぎます。いい女がたくさんいるからなのか、男好きの女が多いからなのかはわかりませんが、とにかくセヴィリアは女の産地らしいです。

このオペラに出てくるロジーナは、実質的にバルトロに幽閉されたような生活を送っていますが、そういうことになってしまったのは2世紀前に騒動を起こしたドン・ジョヴァンニのせいなのでしょうか。それとも、18世紀頃のスペインでは、女性は無闇に外出するものではなかったのかもしれません(すいません、不勉強で)。

どうも、このオペラとはあまり関係のない話になってしまって申し訳ないと思っていますが、まだ行ったことのない私にとって、セヴィリアという街それほどにインパクトが強いのです。私がセヴィリアに行くと行ったら、うちの奥さんは「一体何をしに行くわけ?」と言うでしょうね。

このお話の後日談が次にご紹介するW.A.Mozartの「フィガロの結婚」です。

W.A.Mozart

フィガロの結婚
Le Nozze di Figaro, K.492
台本:ロレンツォ・ダ・ポンテ
ボーマルシェの喜劇から
初演:1786年
時:18世紀
場所:セヴィリア付近、スペイン
結婚:2組
その他:捻挫1名、懺悔1名


このオペラの舞台は、封建時代末期のスペインはセヴィリア。領主は、領民の結婚話に介入してそれを拒否する権利を持ち、あるいは許可する対価として花嫁の初夜をちょうだいする権利(初夜権・・そんな権利があったのだ)を持っていました。民主化の波が徐々に押し寄せ、領主達もそういう制度を廃止しなければならない状況になってきて、かのアルマヴィーヴァ伯爵もこの権利を手放したのでした。そんな矢先、かねがね手を出したいと不純な想いを寄せていた使用人のスザンナが、同じく使用人のフィガロと結婚するという。しまった、あの制度を廃止するんじゃなかった・・・というところから、物語は始まります。

ところで、アルマヴィーヴァ伯爵は、その昔、フィガロに世話になっています。フィガロは、すけべ医者バルトロに囲われていた美女ロジーナとアルマヴィーヴァ伯との結婚に一役買っていたからです。このへんのいきさつは、ロッシーニのオペラ「セヴィリアの理髪師」で詳しく知ることができます。ですから、「セヴィリアの理髪師」を先に見てから「フィガロの結婚」を見ないと、台詞の意味がよくわからなかったりするのです。「フィガロの結婚」の中で、機嫌を損ねた伯爵夫人に向かって「ロジーナ」と呼びかける歌詞がありますが、彼女の名がロジーナであるということは「フィガロの結婚」では一切説明がありません。

面白いことに、「フィガロの結婚」の舞台にも、その昔フィガロにしてやられたバルトロが登場し、はらいせの歌なんぞを歌ったりしていますし、一応バルトロ派で実は日和見音楽教師であるバジリオも結構重要な役割で登場します。バルトロとバルトロ家の女中のマルチェリーナが、実は、フィガロの両親だったりするところが、話の展開としてはむちゃくちゃな気がしますが、ま、いいことにしておきましょう。

このオペラをより深く楽しむには、是非ボーマルシェの原作の戯曲をお読みください(日本語翻訳が本で出ています)。何故かと言うと、オペラの歌詞では興味深い場面設定がかなり省略されているため、原作を知らないと意味不明な場面がいくつもあるからです、たとえば、オペラではマルチェリーナとバルトロが揃って出てくるのでこの二人はいつも一緒かと思いきや、実はマルチェリーナの訴訟のためにバルトロは呼び出されてやってきただけですし、バジリオがマルチェリーナに言い寄っているという事実もオペラでは出てきません。

ところで、第1幕で、バジリオが歌うアリアの歌詞に注意してください。「コシ・ファン・トゥッテ」という言葉が2回出てきます。この言葉が、後のオペラの動機になったというのは有名な話です。

G.Rossini

チェネレントラ
La Cenerentola
台本:ヤコポ・フェルレッティ
初演:1817年
時:18世紀
場所:モンテフィアスコーネ、イタリア

我が家では、ロッシーニのオペラに出てくるあるタイプの歌のことを「一瞬の唖然の音楽」と呼んでいます。たとえば、従者ダンディーニに変装した王子ラミロがチェネレントラに出会った時の2人のお互いの一目惚れの瞬間が歌になっています。

ほんの一瞬の様子を一曲の音楽に仕上げるという手法は、ロッシーニならではのものです。「一瞬の唖然の音楽」は、お城からの使いの者が「この家には3人目の娘(チェネレントラのこと)がいたはず」というと、父親は「あれは死にました」と嘘をつく場面にも出てきます。

それだけではありません。宮殿の広間に現われたまさかの貴婦人(チェネレントラ)に驚いた瞬間、そして、舞踏会の後、家に戻っていたみすぼらしい姿のチェネレントラの手にはめられていた腕輪(王子も同じ物をしている)を確かめた瞬間にも「一瞬の唖然の音楽」が歌われるのです。

このオペラのテーマは何といっても「人間の欲」でしょう。「欲」の化身ともいえるのが、父親であるドン・マニフィコ氏であります。もちろん、娘であるクロリンダとティスベもなかなか大したもんですが。彼は、舞台上で実に2度も「欲」に目が眩んだアリアを歌ってくれます。特に、お城の庭で歌われるアリアが圧巻で、我が家ではこれを「マニフィコの欲ボケ・アリア」と呼んでいるくらいです。

このオペラは、ひろく一般に知られているシンデレラとは、登場人物もストーリーも異なっています。個人的な感想ですが、こちらのストーリーの方がはるかにスリリングで、心地よいテンポだと思います。

G.Rossini

アルジェのイタリア女
L'Italiana in Algeri
台本:アンジェロ・アネッリ
初演:1813年
時:19世紀初頭
場所:アルジェ
成果:恋人再会、全員無事帰国

トルコもののオペラの代表作といえば、W.A.Mozartの「後宮からの逃走」です。ヨーロッパ人がイスラム圏に囚われの身になってしまい、そこから脱出するという設定です。どうも、こういう設定というのが当時流行っていたようで、このパターンは同じくW.A.Mozartの初期の作品「ツァイーデ」にその原形をみることができます。

余談ですが、ヨーロッパ諸国へのイスラム圏の文化や音楽の流入は相当なインパクトがあったようで、何故かL.v.Beethovenの交響曲第9番「合唱つき」にも取り入れられています。フィナーレでシンバルがじゃんじゃん鳴る部分がありますが、あれは全くのイスラム音楽です。余談ついでに、コニャック等の蒸留酒の製法・・・アラビックシャランテといいます・・・を伝えたのもイスラム系の錬金術師だったそうです(あのおいしいワインを蒸留すれば金くらい出て来てもおかしくない!)。

さて、このG.Rossiniの「アルジェのイタリア女」ですが、明らかに「後宮からの逃走」のパロディ版といっていいのではないでしょうか。W.A.Mozartが「後宮からの逃走」を真面目で高い精神性を持った作品に仕上げたのに対して、G.Rossiniは完全にイスラム勢力をおちょくっています。そして、どこかで聴いたような旋律(もちろん「後宮からの逃走」です)が引用されています。

というわけで、このオペラを見る前か後に、必ずW.A.Mozartの「後宮からの逃走」をご覧になることをおすすめします。

G.Donizetti

愛の妙薬
Leisir d'Amore
台本:
初演:年
時:年頃
場所:
成果:恋愛成就(ネモリーノ)、商売繁盛(ドゥルカマーラ)

いわゆる惚れ薬モノであります。

金もない、度胸もない、定職もない、しかも世間知らずというはっきりいって駄目男としか思えないネモリーノが、村の人気娘アディーナを好きになりますが、どうにも手が出がでないというか、そもそも相手にしてもらえません。インチキ薬屋のドゥルカマーラにまんまと騙されて、入る気もない軍隊の入隊支度金を使い込んで惚れ薬を買ってしまうあたり、もう、ひっぱたいてやりたくなるくらい駄目な奴。

そんななさけない奴があろうことかアディーナを射止めてしまい、おまけに死んだ叔父さんの遺産まで手に入れてしまうという、全くどんでもないストーリーなんですが、こういう話ってあっていいんでしょうか。

この二人が結婚したら、どう考えてもあっという間に遺産を食い潰して破綻してしまうような気がしてなりません。ネモリーノがちゃんと働くとはとても思えませんからね。アディーナも金遣い荒そうだし。それとも、一代ではとても潰せないくらい巨万の富を手にしたのかしら。いずれにしても、ドニゼッティのオペラはどれもこういう危ないやつが多いです。

G.Verdi

椿姫
La Traviata
台本:フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ
初演:1853年
時:1850年頃
場所:パリと郊外
死亡:1名(ヴィオレッタ)


ビデオからレーザーディスク、そしてDVDと映像が身近になるほどに、オペラ界では大変化が進行中です。今や、歌だけうまい歌手はもはや出番はなくなり、ビジュアルに堪えられない歌手は生きてゆけない時代になりました。

アンナ・ネトレプコはそんな時代を代表する歌手の一人でしょう。私の周囲にも、普段はオペラなんか観ないくせに、ネトレプコだけは観て見たいとか言ってチケットを手に入れようとしたおじさんがいます。

でも、まあ、それが本当なんですね。ヴィオレッタが美人でセクシーでなかったら、超高級娼婦は勤まりません。おデブでかわいくないミミに一目惚れしろといっても難しい相談です。かつては、巨漢と大女による動物園のようなオペラがあたりまえだった時代がありますが、私としてもやはりソレは遠慮いたしたく思います。いまだにどうにもならないのが、15歳の日本美人であるはずの蝶々さんですが、もし、もしですよ、若くて清楚かつ強靭な声帯と歌唱テクニックを持ったソプラノが日本から出たら、一気に世界のプリマになれるかも。

オペラのチケットを買う時は、くれぐれもプリマドンナがどんな歌手であるか、ご確認ください。特に日本の歌手は男女ともにいつまでたっても平然とデビュー当時の写真を載せるのでご注意ください。

G.Puccini

ラ・ボエーム
La Boheme
台本:ルイージ・イッリカ、ジュゼッペ・ジャコーザ
初演:1896年
時:1830年頃
場所:パリ
死亡:1名(ミミ)


ラ・ボエームは通して演奏するとちょうど2時間くらいになり、そんなに長いオペラではありませんが、何と4幕もあり1幕1幕に趣向が凝らされていて見ごたえがあります。4幕ものということは、3回休憩があるはずですが、第1幕と第2幕、第3幕と第4幕が連続して上演されることが多く、とても残念です。

オペラの幕間は間奏曲を入れたり休憩をしたりして気分転換をはかるのが普通です。幕間の休憩には特別な意味があって、これがあるおかげで劇場で楽しい時間を過ごしてるのだ、という雰囲気が一層盛り上がるというのに、貸ホール(※)の都合でもあるのでしょうか、オペラの楽しみがおわかりでない興行主が多いのにはちょっと考えさせられます。

※日本のコンサートや演劇の大半は貸ホールがベースで、ホールが主体的に企画してシーズン・プログラムを組んでいるケースは決して多くありません。特に、自力でオペラを運営できる劇場は新国立劇場しかありません。そのため、従業員の都合もあってホールの終了時刻になると追い出されてしまいますので、そういった制約のなかでプログラムが組まれています。貸し会議室とたいしてかわらないわけです。

3回も休憩があると、お客側は幕ごとに結構大変なことになってゆきます。コーヒーを3回飲む人はまずいないと思いますが、休憩のたびにワインやビールを一杯やる人は少なからずいますので、2回目の休憩ですでにいい気分になり、第4幕にはもう完全に出来上がっている人もいます。休憩ごとにホワイエの雰囲気がどんどん変わってゆくのを楽しめるのは、3幕以上あるオペラに限定されます。というわけで、休憩を1回に節約したラ・ボエームは興ざめだといいたいのです。

クリスマスの場面が出てくるために、良く年末に上演されます。クリスマスに良く上演される出し物といえば、ほかにフンパーディンクの「ヘンゼルとグレーテル」があり、バレエではチャイコフスキーの「くるみ割り人形」があります。日本の年末は「第九」一色な感じがして、東京ですら「ラ・ボエーム」や「くるみ割り人形」を探すのに苦労します。新国立劇場あたりでこれらを見つけると、スケジュールさえ合えば行きたいと思うのですが。

J.StraussII

こうもり
Die Fledermaus
台本:カール・ハフナー、リヒャルト・ジュネー
初演:1874年
時:1874年の謝肉祭
場所:避暑地バードイシュル
成果:復讐成功(ファルケ)
パトロン獲得(アデーレ)
ロザリンデとキス1回(アルフレート)
楽しい夜会(アルフレートを除く全員)


私が生まれてはじめてオペラらしきものを観に行ったのは学生の時で、東京文化会館で上演された二期会の「こうもり」でした。立川澄人(名前を清澄に変える前)のファルケ、伊藤京子のロザリンデ、高丈二のアルフレートというなんだか歴史に出てきそうな顔ぶれです。すでに大御所になっていた伊藤京子ですが、あの品格ある魅力的なロザリンデは忘れることはないでしょう。当時の二期会は今の国内公演に比べたら全くの学芸会のようなものであり、振り付けも何もあったものではありませんでしたが、それでも夢中になって見ました。主要な曲の歌詞は今でも覚えています。

ようやく小学生の高学年になったムスメをはじめて劇場に連れて行ったのも「こうもり」でした。関西二期会の公演で大阪の厚生年金ホール、オーケストラは京都交響楽団だったと思います。これを観たムスメは、ウィーン国立歌劇場のこうもり全曲をLPから2本の120分カセットにダビングしたのをほとんど毎日聴いていたようです。

音楽の楽しさ、舞台で展開されるわくわくするようなストーリー、これを誰にもわかりやすく楽しませてくれるのが「こうもり」だと思います。おまけに、爆笑のハプニングも1度や2度ではありません。生まれてはじめて観に行くのでしたら、この「こうもり」かプッチーニの「ラ・ボエーム」あたりがいいんではないでしょうか。もちろん、いきなりワーグナー観に行ってどっぷり浸かっていただいてもかまいませんが。

G.Pucini

ジャンニ・スキッキ
Gianni Schicchi
原作:ダンテ・アリギエーリ『神曲』地獄篇、第30歌に基づく
台本:ジョヴァッキーノ・フォルツァーノ
初演:1918年12月14日
時:1299年9月1日
場所:フィレンツェ、大富豪ブオーゾ・ドナーティの邸宅
成果:均等分けした現金と若干の土地(遺族達)
いちばんおいしい遺産(ジャンニ・スキッキ)


from Royal Opera House


まあ、すごい台本だと思います。遺体への弔問や敬意などそっちのけで、大富豪の遺産相続を巡ってのドタバタ喜劇。

ラウレッタのアリア「O mio babbino caro」はとても有名ですが、オペラの中では重要な役割を得てはいませんし、これが歌われる場面はなんか唐突な気もします。むしろ、オペラというよりは演劇と言っていい場面展開や人間模様の面白さに、プッチーニの心地よい音楽が重なって醸し出す独特の雰囲気に魅力を感じます。

歌手達の演技力とアンサンブルの妙、そして演出のセンスが問われるオペラです。

R.Strauss

アラベラ
Arabella
台本:フーゴー・フォン・ホフマンスタール
初演:1932年
時:1860年代
場所:ウィーン
婚約:1組+α

R.Straussのオペラというと、薔薇の騎士の華麗さと、サロメの怪しさの狭間にあっていまひとつの地位のアラベラ。でも、私はこのオペラが醸すウィーン的はかなさが大好き。その背景にある、薔薇の騎士との通じる没落してゆく貴族社会の背景がいかにもウィーンにマッチしているからでしょう。

新国立劇場でアラベラが上演されると聞き、早速予約した時のこと。当初、アラベラ役は佐藤しのぶだったらしいのですが、いざリハーサルをはじめてみるとしのぶさん、とても歌い切ることがきないとやらで下りて(下ろされて)しまいました。急遽、代わりに呼ばれたのがパメラ・コバーン。これが大正解でした。やはり、こういう役はウィーンらしい美人でなくてはいけません。音楽もよかったですが、終始ぽかんと口を開けて見とれておりました。

薔薇の騎士では、「銀の薔薇」が婚約の小道具に使われますが、このオペラでは「水」が小道具として最後の場面をしみじみとした味わい深いものにしております。後に残る余韻の心地よさは薔薇の騎士以上かもしれません。

P.I.Tchaikovsky

エフゲニ・オネーギン
Evgeny Onegin
台本:P.チャイコフスキー、コンスタンチン・シロフスキー
初演:1879年
時:1820年代
場所:ロシアの田舎とペテルブルク
死亡:1名(レンスキー)
失恋:1名(オネーギン)

オーケストアが主役のオペラというのがあります。それはエフゲニ・オネーギン。我が家ではこのオペラは極上のBGMとして位置づけられています。オーケストラの甘美な響き、歌声のオブリガート付きBGMなんて言ったらいけないでしょうか。この音楽には旋律とオーケストレーションの美しさに加えて、情緒が溢れているように思います。歌のないオーケストラ部分がなんともいいのです。

チャイコフスキーのオペラなんて聴いたことがないよおっしゃるあなた、私に一杯食わされたと思ってDVDなど買ってみたらいかがでしょう。この場合、CDではなくて映像付のDVDがおすすめです。

ネタバレするつもりはありませんが、幕切れの場面設定はなかなかロシア的手哲学を感じます。余韻たっぷりです。映画もありますが、こちらもなかなかいい雰囲気が楽しめます。

C.Monteverdi

ポッペーアの戴冠
L'Incoronazione di Poppea
台本:フランチェスコ・ブゼネッロ
初演:1642年
時:紀元前64年
場所:ローマ
死亡:1名(セネカ)
追放:2名(オットーネ、オッターヴィア)

はじめて観た時、これはすごいシナリオだと思いましたね。

ひらたくいうと、暴君ネロが臣下オットーネの妻ポッペアを寝取る話なのですが、最後に、失意のうちに国外追放されるオットーネと、愛の二重唱など高らかに歌いつつ玉座につくポッペアの対比で幕となる設定は、しっかりと人生を考えさせられてしまいます。いまどきの映画のシナリオとしても、ちょっとありえないシュールさではないでしょうか。

なかなか上演されることのないオペラなので、機会があったら是非一度足を運んで損はないと思います。

オペラと変装
どういうわけか、オペラには変装がつきもののようであります。スザンナはロジーナに、ロジーナはスザンナに。ロザリンデはハンガリーの伯爵夫人に、女中のアデーレは女優オルガに、刑務所長のフランクはシャグラン閣下に、アルフレートはアイゼンシュタインに、アイゼンシュタインはルナール侯爵になったと思ったら次ぎは弁護士ブリントに・・むちゃくちゃですね、これは。

「偽の女庭師」や「フィデリオ」のように、女性が男装の女に惚れてしまうという話もたくさんあります。その反対が「薔薇の騎士」。すべてに共通しているのは、そういう役柄を勤めるのは、いつもソプラノやメゾソプラノ、つまり宝塚方式。やっぱり、テノール(ましてやバリトンやバス)が舞台の上で女装したんじゃ絵にならないのだろうか。日本には歌舞伎というものがあるというのに。

「リゴレット」のジルダように、変装して身代わりとなって殺されてしまう、というお話もあります。変装ではありませんが、「ホフマン物語」のように、機械仕掛けのお人形に恋をしてしまうというお話もあります。

一体、人間の目というのは、そんなに簡単に騙せたりできるものなんでしょうか。隣のおばさんがうちのかみさんと同じ髪型になって、同じジーパンと靴をはき、同じエプロンをして現われたら、私は、彼女をわがおくさんだと思って・・するだろうか?

顛末
W.A.Mozart
「フィガロの結婚」
スザンナ伯爵夫人(ロジーナ)フィガロは見抜いてスザンナをからかうが、最後は結ばれる
伯爵夫人(ロジーナ)スザンナ伯爵は騙されて自分の奥さんを口説いてしまい、最後は懺悔
ケルビーノ女装ごっこただのお遊び、ちょっとエロティック
W.A.Mozart
「コシ・ファン・トゥッテ」
フェルランド怪しいトルコ風外人意に反してグリエルモの恋人フィオルディリージを口説いて結婚までこぎつけてしまう・・・あとは知らんもんね
グリエルモもうひとりの怪しいトルコ風外人意に反してフェルランドの恋人ドラベッラを口説いて結婚までこぎつけてしまう・・・あとは知らんもんね
女中デスピーナ突然現われる怪しい医者ご愛敬
W.A.Mozart
「ドン・ジョヴァンニ」
従者レポレッロドン・ジョヴァンニ街びとに追われ、ドン・ジョヴァンニには殴られる
ドン・ジョヴァンニ従者レポレッロまんまと逃げおおせたついでにレポレッロの女に手を出すが見破られてしまう
ドン・オッターヴィオ仮面の男ドン・ジョヴァンニを追い詰める
ドンナ・アンナ仮面の女ドン・ジョヴァンニを追い詰める
ドンナ・エルヴィーラ仮面の女ドン・ジョヴァンニを追い詰める
W.A.Mozart
「魔笛」
パパゲーナしわくちゃ婆あやけくそになったパパゲーノと夫婦になる約束をとりつける
L.v.Beethoven
「フィデリオ」
レオノーレ(男装して)獄卒フィデリオ典獄ロッコの娘マルツェリーネが惚れてしまう
最後は疑獄されていた夫フロレスタンを救出して幕
G.Verdi
「リゴレット」
ジルダマントヴァ公爵マントヴァ公爵の身代わりとなって殺されてしまう
G.Puccini
「ジャンニ・スキッキ」
ジャンイ・スキッキブォーゾ死人(ブォーゾ)になりすまして都合の良い遺言状を作ってしまう
G.Rossini
「セヴィリアの理髪師」
アルマヴィーヴァ伯爵酔っ払いの士官バルトロ邸侵入成功、ロジーナに手紙を渡す
アルマヴィーヴァ伯爵偽音楽教師(バジリオ)バルトロ邸侵入成功、バルコニーの鍵を入手
G.Rossini
「チェネレントラ」
ラミロ王子従者ダンディーニアンジェリーナは従者のなりをした王子を見初める
従者ダンディーニラミロ王子欲に目がくらんだ姉2人に追い回される
家庭教師アリドーロ物乞いやさしく手を差し伸べたアンジェリーナを王子の妃にと心に決めて支援する
J.Strauss
「こうもり」
アルフレートアイゼンシュタインロザリンデとキスはできたがアイゼンシュタインの身代わりで牢屋行き
女中アデーレ女優オルガアイゼンシュタインにお尻を触られた時の声でバレてしまうが、結果は上々女優デビューのためのスポンサーをつかむ
アイゼンシュタインルナール侯爵ハンガリーの伯爵夫人(実は自分の奥さん)を口説きにかかる
ロザリンデハンガリーの伯爵夫人アイゼンシュタインを騙し、証拠として口説きの小道具の金時計を奪ってしまう
刑務所長フランクシャグラン閣下ご愛敬
アイゼンシュタイン弁護士ブリント逆襲をたくらむが墓穴を掘る
R.Strauss
「薔薇の騎士」
オクタヴィアン伯爵(女装して)元帥夫人の小間使いマリアンドルオックス男爵が一目惚れしてしまって騒動になる
R.Strauss
「アラベラ」
ズデンカ社交界に女2人を出すほどの財力がないので男として育てられる終幕で好きな男のためにすべてを賭して女になる

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