電子回路の雑音設計をする場合、その基礎となるのがジョンソンノイズです。ジョンソンノイズは、物理現象としてすべての抵抗体から常に、そして決まった量だけ発生する広帯域雑音です。ジョンソンノイズの一般式は下のとおりです。雑音電圧=√(4KTRB)Kはボルツマン定数、Tは絶対温度、Rは抵抗値、Bは帯域幅です。
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この計算式によると、よくシールドされた1kΩの抵抗器の両端の生じる雑音電圧は1.15μV(気温25℃、帯域80kHz)となり、10kΩでは3.62μV、100kΩでは11.5μVとなります。電子回路で生じる雑音は、いかなる方法(たとえば負帰還)をもってしてもこれよりも小さくすることはできません。オーディオ機器で、雑音の大きさがジョンソンノイズに近いほど優れた雑音設計であるといえます。低雑音にするためには、特に入力系の回路インピーダンスを下げるのが効果的です。温度を下げることも効果的ですが零下100℃以下にしないと意味がありません。もし負帰還ループに高抵抗が存在すると、その抵抗で発生する雑音が帰還されて入力信号と混ざってしまうため雑音はかえって増加してしまいます。