定電流回路は方式によって特性がかなり異なります。本レポートは、FET差動ヘッドホンアンプ用の約4mAの定電流回路について、6パターンの方式ごとに精密に実測したものです。方式ごとの特徴が良く出ていますので参考にしてください。
下図は、実験で使用した6種類の回路です。
(1)4mAのCRD(石塚電子E452)。6V以上の動作電圧を与えてようやく定電流らしい特性が得られます。
(2)2mAのCRD(石塚電子E202)を2個並列にしたもの。CDRは電流値が少ないものほど低い動作電圧から定電流特性が得られるため、このようにすると動作電圧が4Vくらいでも定電流特性が得られます。
(3)2SK30-GRランクでIdssが約4mAのもの。CRDとJFETは同じ構造なのでこのような使い方ができます。定電流特性はJFETを流用した方が優れています。
(4)Web版のFET差動ヘッドホンアンプで使用している定電流回路です。2個のNPNトランジスタを使った帰還型です。動作電圧は1Vあれば非常に優れた定電流特性が得られます。
(5)2個のシリコンダイオードと1個のNPNトランジスタを使ったシンプルかつ標準的な定電流回路です。(4)の帰還型よりも少しだけ低い動作電圧になっています。
(6)エミッタ側に抵抗を入れた方式のカレントミラーによる定電流回路です。6つの中では最も低い動作電圧になっています。エミッタ抵抗値をさらに小さくしてゆけば、もっと低い動作電圧でも定電流特性は得られます。