2SK30A特性実測データ


特性実測データ・シリーズのFET版です。

2SK30Aは、ある意味で6267や6AU6に大変よく似た増幅素子で、特性曲線全体の形は5極管そのものです。東芝製の半導体のクラス分けは「O」「Y」「GR」「BL」といったルールがあり、後ろにいくほど増幅率やgmが高くなっています。2SK30Aでは、「Y class」がもっとも一般的で入手が容易ですが、「GR class」も時々みかけます。pdfデータはこちら→2SK30A.pdf

手元の2SK30A(Y class)のうちの1本を測定したデータが下図です。

ドレイン〜ソース間電圧が4V以上の領域では、きれいな定電流特性を持っています。IDSSが2mA以上ありますがこの値は個体としてはかなり高い方にはいります。真空管では、名前が同じ球であれば、特性はある程度揃っていますが、半導体では、かなり大きなバラツキがあり、そのために、「Yクラス」「GRクラス」という風に、メーカーごとに独自のクラス分けがあります。同じクラスであれば、それなりに特性は揃っているかと思えばさにあらず、実測してみると1.3mA〜2.43mAくらいの開きがあります。油断できません。

クラス分けのコードは各社まちまちで、たとえば、東芝製であれば、「O」=Orange、「Y」=Yellow、「GR」=Greenという風なカラーを意識した体系になっていて、GRの方がIdssが多くなっています。

右図は、手元にある32本の2SK30A(Y class)についの個々の測定結果です。

測定条件は、ドレイン〜ソース間電圧=8V、バイアスが0Vの時のドレイン電流がIdssですが、バイアスが-0.2Vの時のドレイン電流も測定し、この電流差を0.2Vで割ったものをもってgmとしました。測定時の気温は23℃です。

Idssは、32本中27本までが2.0mA〜2.4mAの範囲にはいっていますので、この範囲だけでみれば20%の誤差の範囲に収まりますが、それ以外に、最小のもので1.274mA、最大のもので2.564mAと2倍もの開きが生じており、ちょっとびっくりしました。無作為に2本購入した時、このようなはみだし者を掴んでしまう可能性もあるわけです。購入後の実測による選別が必須であることを強く感じます。

次にgmですが、これは案外揃っており、全体で1.985〜2.490の範囲でバラツイています。両極端のものをはずせば、残りすべてが2.235〜2.405の範囲(7.6%の誤差)ですからなかなか良い成績です。Idssとgmにはゆるやかな相関関係があり、Idssの値がはみでたものをはずせば、gmは一定範囲に揃ってくれるようです。

従って、Idssで選別し、Idss値が極端にはずれたものを除去するようにすれば、実用上十分な選別が可能です。ただし、精密なペアが欲しい場合は、Idssだけでなくgmについても実測する必要があります。
右図は、Idssが1ランク上のGRクラスのものの実測結果です。

ここで実測した10本では、Idss値のはみだしはありませんでした。GRクラスでも、Idss値が少々ばらついても、gm値は比較的安定して良く揃っています。

なお、Idssの簡易測定法は、6AH4GT全段差動プッシュプル・アンプのページでご紹介していますので参考にしてください。


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