2SK30A(Yクラス)の順方向伝達アドミタンス(いわゆるgm)のカタログデータ(左)と実測データ(右)です。
測定に使った2SK30Aは4個で、選択条件はドレイン電流(Id)=0.75mAの時のバイアスがそれぞれ、-0.5V、-0.6V、-0.7V、-0.8Vのもので、Idss値は、-0.5Vのものが1.8mA、以後順に2.0mA、2.3mA、2.5mAの範囲でした。いずれも、Yクラスとして流通しているものの許容範囲にはいる一般的な個体です。
それぞれについて、ドレイン電流がおおよそ0.5mAから1.5mAくらいの範囲でgm値がどう変化するかを実測しました。たとえば、2SK30A(Yクラス)をドレイン電流0.75mAで使用した場合(図中の中央のオレンジの縦線)、gmは「1.6〜1.7」くらいの範囲であることが読み取れます。
これを、全段差動プッシュプル・アンプの初段差動回路に使用し、10kΩのドレイン負荷抵抗を与えて、ドレイン電流0.75mAで動作させた時の利得は、
利得=gm×RL=1.6〜1.7×10kΩ=16〜17倍
となります。