非常に廉価かつポピュラーなLEADERの測定器シリーズに、オーディオ・ジェネレータと電子電圧計があります。このシリーズは非常に多くの派生モデルを出していますが、いずれも基本回路に大きな変更はなく機種が異なっても特性の傾向はよく揃っています。
全体としてみると100Hz以下の歪みの多さが目立ち、最高で10Hzの0.9%、最低は2kHzの0.013%です。真空管アンプの場合、最低歪み率は0.1%前後のことが多いので、1kHzあるいは10kHzで測定する限り、本機を歪み率測定の信号ソースとして使うことは可能ですが、100Hzでの測定はきついものがあります。周波数レンジごとに歪みの出方が違っており、1kHzでは「100Hz〜1kHzレンジ」よりも「1kHz〜10kHzレンジ」の方が低歪みですが、10kHzでは「10kHz〜100kHzレンジ」の方がいい数字を出します。
カタログスペック上の最高周波数は500kHzですが、見てのとおり10Hz〜500kHzならば十分にフラットで測定値は信頼できるものがあります。LAG-120Bとセットで使っていると10Hzあたりで少し持ち上がるのに気づくと思います。KAG-120Bを使う限り10Hz未満の帯域がどうなっているかわかりませんが、ちゃんと測定してみるとご覧のとおり2.5Hzあたりのピークに向って持ち上がっているのです。高い周波数側は1MHzまでほぼフラットで、-3dBとなるのは5.8MHzです。これくらいの周波数までなら、精度と信頼性は落ちますが本データを参考にして補正してやることで周波数特性の測定が可能です。真空管アンプならば1MHzまでおさえておけばまず大丈夫ですが、半導体アンプの場合は最低でも5MHz、できれば15MHzくらいまでチェックが必要です。
せっかくなので、中を開けて見てみましょう。左の画像は上蓋をはずした状態で、右が前面、左が背面です。電源トランスがむき出しで電磁シールドはありませんが、良く見るとE端子が出ており静電シールドはされているようです。ちなみにミリボルトメーターのLMV-181Aの電源トランスには静電シールドはありませんでした。オーディオジェネレーターの方がノイズ対策としては上手なようです。パネル側中央に見えるのがウィーンブリッジならではのバリコンです。基板はすべてが1枚にまとめられていて、左半分が電源部、右半分が発振回路部です。発振回路部の向こう側はしっかりシールドされています。
右の画像はひっくり返した状態で、右が前面、左が背面です。電源スイッチは背面側に設置されており、長い棹でパネル面まで延長されています。ミリボルトメーターのLMV-181Aではパネル面にトグルスイッチが装着されていますが、本機ではAC100Vラインをパネル面まで引くことをせず遠隔操作にしてあるのはやはりノイズ対策なのでしょう。姉妹機種であるLMV-181AとLAG-120Bとで何故電源スイッチの形状が違うのだろう?と思っていたのですが、これで謎が解けました。