非常に廉価かつポピュラーなLEADERの測定器シリーズのうち、オーディオ・ジェネレータLAG-120Bの正弦波形の歪み具合を調べてみました。この種の発振器はウィーンブリッジ回路を使っているため、歪み率計などで使うような低歪みは得られませんが、その割には結構いい数字を出しています。レンジを切り替えるたびに歪みの具合が変わることに気づいたので、ちょっと時間を割いて精密な計測をしてみました。
測定結果は以下のとおりです。全体としてみると100Hz以下の歪みの多さが目立ち、最高で10Hzの0.9%、最低は2kHzの0.013%です。真空管アンプの場合、最低歪み率は0.1%前後のことが多いので、1kHzあるいは10kHzで測定する限り、本機を歪み率測定の信号ソースとして使うことは可能ですが、100Hzでの測定はきついものがあります。周波数レンジごとに歪みの出方が違っており、1kHzでは「100Hz〜1kHzレンジ」よりも「1kHz〜10kHzレンジ」の方が低歪みですが、10kHzでは「10kHz〜100kHzレンジ」の方がいい数字を出します。
せっかくなので、中を開けて見てみましょう。左の画像は上蓋をはずした状態で、右が前面、左が背面です。電源トランスがむき出しで電磁シールドはありませんが、良く見るとE端子が出ており静電シールドはされているようです。ちなみにミリボルトメーターのLMV-181Aの電源トランスには静電シールドはありませんでした。オーディオジェネレーターの方がノイズ対策としては上手なようです。パネル側中央に見えるのがウィーンブリッジならではのバリコンです。基板はすべてが1枚にまとめられていて、左半分が電源部、右半分が発振回路部です。発振回路部の向こう側はしっかりシールドされています。
右の画像はひっくり返した状態で、右が前面、左が背面です。電源スイッチは背面側に設置されており、長い棹でパネル面まで延長されています。ミリボルトメーターのLMV-181Aではパネル面にトグルスイッチが装着されていますが、本機ではAC100Vラインをパネル面まで引くことをせず遠隔操作にしてあるのはやはりノイズ対策なのでしょう。姉妹機種であるLMV-181AとLAG-120Bとで何故電源スイッチの形状が違うのだろう?と思っていたのですが、これで謎が解けました。