iPodをパワーアンプなどにつないでデスクトップやリビングで鳴らすことが多いと思います。iPodは一般のCDプレーヤなどと比べると出力信号レベルが低いため音が小さく、ボリュームをかなり上げないと音量バランスがとれません。そこで、今更(2012.4)ですが手元にある4th Generationおよび6th Generationについて測定してみることにしました。・使用した信号は1kHz、0dBFS(フルビットのデジタル信号)の正弦波信号です。0dBFSというのは、デジタル・フォーマットにおいて得られる最大振幅のことをいいます。つまり、これよりの大きな振幅の出力信号は出てこないということです。
・4th Genでは出力インピーダンスを測定しましたが、6th Genでは大した違いはなかろうということで測定をさぼりました。
iPod 4th Gen iPod 6th Gen ヘッドホン端子(Volune=max) 無負荷 0.97V 1.0V 68Ω負荷 0.90V - 出力インピーダンス 6Ω - Dock端子 無負荷 0.773V 0.795V 10kΩ負荷 0.765V - 出力インピーダンス 102Ω - 4th Genのヘッドホン出力は68Ω負荷における最大振幅時で0.90Vですから、最大出力は12mWです。アンプの能力的にはもっと出るのかもしれませんが、すでにフルビットですからこれ以上大きなオーディオ信号は出てこないのでこれが最大音量です。
Dock端子のアダプタは数は少ないですが市販されています。出力インピーダンスが100Ωくらいあるので、ヘッドホンの駆動には適しません。波形や歪み、周波数特性においてヘッドホン端子とDock端子とで有意な違いは測定されませんでした。
4th Genにおけるヘッドホン出力とDock出力の両方について周波数特性および出力インピーダンス特性を測定したのが下のグラフです。周波数特性の方は、縦のスケールを普通の周波数特性グラフの6倍くらい拡大しているので周波数特性は誇張されています。高域がかなり上がっているように見えますが、0.1dBオーダーの話なので通常の電子電圧計の測定誤差の範囲で相当にフラットだと思ってください。かなり高級なお値段のCDプレーヤでもこれよりもでこぼこしています。右チャンネルのレベルが低いのは測定したiPod nanoの固有の癖だと思います。0.13dB程度の差なので無問題です。
出力インピーダンスは、ヘッドホン出力では6Ωとほどよく低いのでヘッドホンの駆動に適していますが、Dock出力側は100Ωもありますので数kΩ以上のインピーダンスで受けることを想定しているようです。
ヘッドホン出力端子側とDock出力端子側とで周波数特性に差はありません。内部的にはヘッドホン出力側はデジタル・ボリュームおよびバッファアンプが割り込んでいると思うので厳密には音は違うと思います。