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■■■フィールドレコーダー/マルチトラックレコーダー■■■
Field Recorder & MTR


●フィールドレコーダーとマルチトラックレコーダー

フィールドレコーダーは、その名のとおり屋外での録音を目的としたコンパクトでバッテリー動作が可能なレコーダーです。フィールドレコーダーは、大きく分けて2チャンネルに割り切ったものと、マルチトラック録音が可能なものに分かれます。

2チャンネルに割り切ったものは、レコーダー単体のポン置きでも録音ができるように、筐体内にステレオマイクロフォンを内蔵しているのが普通です。携帯電話サイズの小型のものから、本格的なマイクロフォンも使えるようにファンタム電源の供給が可能なキャノン端子を2つ持ったものまであります。

マルチトラック録音が可能なものは、複数マイクロフォンを使うことが前提ですので、内蔵のステレオマイクロフォンはつかないのが普通です。小型化してはいるものの4〜8チャネルのマルチトラック録音ができなければなりませんから、入出力端子の数が多いですし、ミキシング機能もついており、ある程度複雑なルーティングも可能になっています。このようなレコーダーは業務用としての機能に加えて信頼性や堅牢性も求められるため、価格も非常に高価になります。


●2チャンネル・ハンディーレコーダー ・・・・ Marantz PMD661

私が長らく愛用していた2チャンネルのフィールドレコーダーです。コンパクトながら、業務仕様に耐える性能と機能を持っています。

内蔵マイクロフォンのほかに外部マイクロフォンのためのファンタム電源付きのキャノン端子がついています。本機とPZMというバウンダリマイクロフォンがあれば、マイクスタンドなしで高品質の録音ができるので、海外に行くときは必ず持って行きました。本機のおかげでウィーンでは貴重な音をいくつも録ることができました。ライン入力もついていますから、ライブ録音の際は本機がバックアックレコーダーとしても活躍しました。欠点としては、ヘッドホンモニターの出力が小さいため、現場での音の確認がしづらいです。

デザインも悪くないし、使い勝手も良いのですが現在は廃番です。後継機も出ましたがそれも今は廃番になったようです。

本機は、ある音楽家に気に入られてしまい、マイクロフォンごとその方のところに引き取られてしまいましたので(2016.1)、もう私の手元にはありません。


この種のポン置き可能なハンディレコーダーは、ZOOM、TASCAM、ROLAND、SONY各社から出ています。


●マルチトラックレコーダー ・・・・ ZOOM F8

8トラックのフィールドレコーダーです。おそらく、後述するSounddevices 788Tを意識して作られたのではないかと思います。24bit/96〜192kHzで8トラック録音ができます。788Tの1/10のお値段ですが、それでも14万円以上します。内蔵マイクロフォンはなく、一定以上のレベルの機材が揃った環境を想定して設計されています。

電源は、12V1AのACアダプタと、単3バッテリー×8本、9V〜16Vの外部電源の3つが使えます。2つ以上の電源を同時に接続しておけば、万が一の電源ダウン時に自動的に切り換わります。SDカードは2枚装着することができ、これも互いにバックアップとして機能します。このように、現場で生じるトラブルに対する機能が充実しています。

この小ささで、8チャネルのマルチトラック録音に必要な機能はほとんど持っています。UI設計が優れていてわかりやすく、レコーディングに慣れた人であればほとんどマニュアルいらずで全機能を使いこなすことができると思います。マイクロフォンアンプは癖がなくすっきりとした音で、ヘッドホンモニターもなかなか良い音です。

ZOOM F8が出たことで、10万円以上の従来品はほとんどすべて色あせてしまいました。


●マルチトラックレコーダー ・・・・ SOUND DEVICES 788T

マルチトラックのフィールドレコーダーの最高峰ともいえるのがこのSOUND DEVICESです。24bit/96〜192kHzで8〜12トラック録音ができます。

SOUND DEVICESのフィールドレコーダー7XXシリーズは、大きく分けて2トラック、4トラック、8トラックの3種類がありますが、この788Tがフラグシップモデルにあたります。魅力的なデザインのこの小さい筐体に実に多彩な機能が凝縮されています。ただ、あまりに小さいので機能を使いこなすのがちょっと大変かもしれません。非常に高価で、これ1台でクルマが買えます。

私は、SOUND DEVICESは経済的に手が出ないので使ったことはありません。



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