アンプの利得とは、入力信号電圧と出力信号電圧の比のことです。
アンプの出力端子にダミーロードを取りつけて、入力側からテスト信号を入力し、出力側に0.5Vあるいは1Vくらいが出力されるようにします。その時の入力信号電圧を測定して、以下の式で計算して利得を求めます。
利得 = 出力信号電圧 ÷ 入力信号電圧注意点その1・・・ダミーロードをつける
ダミーロードをつけ忘れると正しい利得になりません。半導体アンプの場合はダミーロードをつけてもつけなくても利得はほとんど変わらないこともありますが、普通はダミーロードをつけないで測定すると利得は高めになります。注意点その2・・・適切な周波数&波形で測定するオーディオアンプの周波数特性が安定してフラットになる帯域は200Hz〜5kHzくらいですから、その帯域内の周波数で測定しないと正しい利得は得られません。一般には、400Hzあるいは1kHzの正弦波で測定します。うっかり方形波で測定するとやはり正しい測定結果は得られません。注意点その3・・・音量調整ボリュームはMAXポジションアンプに音量調整ボリュームがついている場合は、MAXポジションにします。ボリュームを絞って測定していたら何もわかりませんものね。トーンコントロールがついたアンプの場合は、フラットポジションで測定します。注意点その4・・・適切な信号レベルで測定するあまり小さい信号レベルで測定すると、被測定アンプや測定系の残留ノイズの影響で測定結果が狂います。大きすぎる信号レベルでは、被測定アンプで歪んでしまってやはり測定結果が狂います。一般に、出力側で1Vとなる信号レベルで測定することになっているのは、1Vならばノイズの影響を受けなくて済み、しかもほとんどのアンプは1Vなら歪まずに無理なく出力できるからです。小出力のヘッドホンアンプなどでは1Vでは高すぎることがあります。どれくらいの信号レベルで測定したらいいかは、被測定アンプの特性に合わせて自分で考えてください。注意点その5・・・測定器が2台の時は要注意デジタルテスターあるいは電子電圧計が2台あると測定時のつなぎかえがいらないのでとても便利です。しかし、測定器の確度にはばらつきや癖があることも忘れてはいけません。1台の測定器をつなぎかえて測定した方が正しい測定結果が得られます。2台使う時は、ひとつの電圧を測定した時に2台ともが正確に同じ値を表示するように校正するか、どれくらいのずれがあるのか調べておいて修正する必要があります。