ディスクリートでもOPアンプでもICパワーアンプでも、半導体アンプを使ったアンプは、どれも回路の基本構造は同じだと言って言い過ぎではないと思います。利得を稼ぐ回路は基本的にエミッタ・コモン回路を使いますし(例外もあります)、スピーカーを駆動する出力段はSEPP-OTL回路またはその変形を使います。これは、その基本中の基本回路だけを使ったパワーアンプです。半導体アンプを理解するためには、本機の回路がわからなければお話になりません。
トランジスタを4個しか使わない、もうこれ以上簡素化できないくらいシンプルな回路ですが、半導体パワーアンプに必要なしくみはすべて備えています。もし、人が作った半導体アンプを解析したり、自力でディスクリートアンプを設計してみたいのであれば、本機の回路の隅から隅まで理解することが最初の一歩になるでしょう。本機の回路設計に関する詳しい解説は「トランジスタ式ミニワッターPart2設計詳説」にあります。
初めて製作されるのであれば、調整箇所が全くなく、配線ミスやハンダづけなどの不良が合ってもスピーカーを傷めたりするリスクが少ない、このPart2をおすすめします。本機は、初心者向けの教材であると同時にベテラン向けのおもちゃであり、しかも実用レベルのアンプです。
<コンセプト>
半導体式のシンプルパワーアンプのPart2です。Part2は赤字のところがPart1と異なります。
- 最大出力は約1W。
- 電源は700〜800円程度のACアダプタを使う。
- 増幅回路はオーソドックスな2段構成。
- それでもトランジスタはチャネルあたりたったの4個。
- OPアンプなどのブラックボックスは使わない。
- 老眼でもつらくないように平ラグで作れる。
- しかも、ステレオの全回路が12P平ラグ2枚に載る。
- 実用性のあるかなりまともな音を出す。
- 製作費はできるだけお財布に優しく、節約すれば6,000円くらいから、少々贅沢をしても10,000円+α程度。
Part1は1段増幅の反転増幅器でしたが、Part2は2段増幅の非反転増幅器です。反転増幅器は容易に高い安定度の回路に仕上げることができますが、非反転増幅器はたとえ2段のシンプルなものであってもそんなに甘くありません。本機の設計〜試作においても主にMHz帯域における挙動を安定させるのにかなり苦労しました。しかし、アンプとしてのポテンシャルはPart1よりもPart2の方が高いです。
<全回路図>
本機の回路は以下のとおりです。この回路は1970年代に登場したとても標準的な回路をベースにしていますので、ベテランの方であればこれを見た瞬間に「ああ、これね、なつかしいね」と思うでしょう。最近の回路を見慣れた方でしたら、初段が差動回路ではないので戸惑われたかもしれません。
アンプ部の回路をブロック図にすると以下のようになります。
初段は、PNPトランジスタの2SA970を使ったごく普通のエミッタ・コモン(接地)増幅回路です。エミッタにつながった1kΩのことは一旦忘れていただいて、1000μFと100Ωに着目してください。交流的にはここで接地されています。コレクタ側は1.1kΩの負荷があります。2段目は、NPNトランジスタの2SC4408をこれも使ったごく普通のエミッタ・コモン(接地)増幅回路で、この部分はPart1とほぼ同じです。2段目のベースは初段のコレクタと直結になっています。ここから後ろの出力段はPart1と全く同じSEPP-OTL回路です。
出力段はダーリントンにしない1段だけのSEPP-OTL回路ですが、この構成で4〜8Ω負荷を鳴らしきれるか?という懸念は、実際に音を聞けば吹き飛びます。この種の回路では、2段目の負荷回路にブートストラップまたは定電流負荷を採用して高い直線性を得つつ利得をを稼ぐのがセオリーですが、本機はそれを捨てて抵抗器1本の負荷で済ませています。ここがアンプの音をどの方向に仕上げるかの重要な分岐路で、本機の音づくりのポイントもここにあります。
変わっているのは負帰還のかけ方で、出力側から初段エミッタに二重にかけてあります。1つめは1kΩのルートです。出力段のSEPP-OTL回路のセンターからDC帰還をかけています。このDC帰還はSEPP-OTL回路のセンター電位を安定させる働きがあります。2つめは560Ωのルートです。こちら側は出力コンデンサ(3300μF)の外側からかけていますのでAC帰還のみです。AC的にみると、負帰還抵抗は1kΩと560Ωを並列にしたものとなり、これが100Ωで分圧されてβ=0.22の帰還定数となります。
回路全体の安定は以下の手順で決定されます。まず、初段ベース回路の3個の抵抗器(10kΩ、220kΩ、130kΩ)によって約4.5Vの安定した基準電圧が作られます。初段ベースの電圧はこの4.5Vに支配されますから、エミッタ側も自動的にそれよりも0.6Vほど高い5.1Vで安定します。初段コレクタ電流は、2段目のベース〜アース間電圧(0.71V)と1.1kΩによって決定される電流(0.71V÷1.1kΩ=0.645mA)に2段目のベース電流(約0.16mA)を加えたものです。エミッタ電圧が5.1Vに固定されていますので、1kΩに0.8mAほどを流すことによってSEPP-OTL回路のセンターの電圧は5.9Vで安定します。この方式は1970年代に多くのメーカー製アンプで採用され、今日でもこの考え方は生きています。
<40年前の回路>
右の回路図は1970年頃に設計&製作したSEPP-OTLアンプです。簡単な記事がこちらにあります。
トランジスタ式ミニワッターPart2は40年前のこの回路に非常に良く似ています。それもそのはずで、トランジスタ式ミニワッターPart2は40年前の回路を2012年に再現してみたものだからです。
違っているのは、ドライバ段が当時はダーリントン接続であったのに対してミニワッターPart2はトランジスタ1個だけになったこと、それから負帰還のかけ方が微妙に違います。ダーリントン接続をやめた理由は、hFEが高いトランジスタが使えるようになったこと、できるだけ部品点数を減らしたかったからです。負帰還のかけかたを変えたのは、ドライバ段がトランジスタ1個になったために初段利得が下がってしまうのを少しでも挽回するための方策です。物理特性的には40年前の回路の方が優れています。
2SA607/2SC960は大電流動作に適さないので4Ω負荷の動作は断念し、16Ω負荷を標準として8Ω負荷でもなんとかOKという条件で回路定数を決めています。
ここに登場するトランジスタは完全に市場から姿を消しました。どこかの馬鹿野郎が2SA607/2SC960や2SA606/2SC959が音がいいなどと過剰な宣伝したために、今や法外な値がついているようです。ミニワッターPart2ではごく最近まで製造されていたトランジスタを使いましたが、使用したトランジスタのせいで音が見劣りするようなことはありません。
<安定度の確保とチューニング>
初段トランジスタのベース直前に入れてある470Ωは、入力回路側の配線によって生じるインダクタンスの影響で本機の動作が不安定にならないための発振止めです。初段コレクタ負荷抵抗の値(1.1kΩ)はいろいろな組み合わせをテストして決めました。2段目のエミッタ抵抗の値(2.2Ω)がPart1の1Ωよりも大きな値となっているのもテスト結果によるものです。1Ωにすると裸利得が大きくなりすぎて高周波領域での安定度が低下します。帯域制限は、2段目トランジスタのベース〜コレクタ間に入れた100pFで行っています。
仕上がり利得と負帰還量は相反する性質がありますから、本機の仕上がり利得をどれくらいに設定するかで位相補正の回路定数は微妙に変化します。仕上がり利得を高くする方向であれば負帰還量は減って回路の安定度は増してゆくので問題はあるいませんが、仕上がり利得を本機よりの低く設定する場合はチューニングが難しくなるのでおすすめしません。
スピーカー出力のところに入れてあるCR(0.1μF+120Ω)はいわゆるZobelと呼ばれているもので、無負荷時の動作の安定を確保するだけでなく、スピーカー負荷においても高周波領域で負荷インピーダンスが高くなりすぎるのを防ぐためです。メーカー製のパワーアンプでは0.1μF+10Ωくらいが入れてあるのをよく目にします。半導体アンプだけでなく真空管アンプでも、一定以上の負帰還がかかっている場合は、これがないと負荷の状態によって不安定になったり発振します。本機の推奨値は0.047μF+47Ωくらいなのですが、ラグ端子が足りないので不精をしてスパークキラー(0.1μF+120Ω)をつけて代用としています。
<部品について>
トランジスタ・・・初段2SA970は小信号用であればほとんど種類を問いません。2SA970でしたらGRランクとBLランクどちらも使えます。2SA1015-GRでもかまいません。
2SA4408(2段目)はhFEが180以上のものを推奨します。2SC4408がどうしても手に入らない場合は2SC2236や2SC2655でなんとか代用できますが、hFEは150程度にとどまりますので裸利得は若干低下します。
出力段の2SC4881/2SA1931はhFEが140未満のものは避けて、かつ左右で値が揃ったものを使用してください。なお、hFEは2SC4881よりも2SA1931の方が常に高めになるので、2SAと2SCが同じになる必要はありません。2SC4881/2SA1931以外のパワートランジスタも使えますが、アイドリング電流の調整が必要になり、その方法はSEPP回路および半導体の基礎知識が必要になるので初心者には無理です。
トランジスタのリード線の接続は下図のとおりです。いずれも下から見た図(bottom view)です。2SA970、2SC4408は、印字面に向かって左からエミッタ(E)〜コレクタ(C)〜ベース(B)の順ですが、2SA1931/2SC4881は左右が逆になります。これを間違えることが非常に多いので注意してください。
2SA970 |
2SC4408 |
2SA1931/2SC4881 |
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ダイオード、LED・・・出力段のバイアス用には、定格電流が2Aタイプの整流ダイオードのUF2010が適します。ダイオードの順電圧が出力段のアイドリング電流を支配しますので、頒布では順電圧が近いものを4個選んでいます。1N400Xシリーズや10DDA10などの1Aタイプでは、出力段のアイドリング電流が多くなりすぎるので使えません。PS2010Rも使えません。
UF2010は順電圧にかなりのばらつきがあるので、可能であれば順電圧が近いもので左右ペアを組むことを推奨します。2本直列にして使いますから、2本の合計値が近ければ十分です。順電圧の測定は、ダイオードモードがついているデジタルテスターで測定すれば足ります。温度が1℃変わるだけで0.002Vも変動してしまうので、測定時には指の熱が伝わらないように、エアコンの風が当たらないようにしてください。
LEDは、一般的な赤・橙・緑あたりを想定して約4mAで点灯するように設計してあります。明るさは2.7kΩの増減で調整できます。
(注)本機で使用する半導体類はすべて選別品の頒布があります。
抵抗器、コンデンサ、インダクタ・・・抵抗器は、回路図においてW数の記載のないものは1/4W型、それ以外は指定のW数のものを使ってください。0.68Ωは1Wの容量は必要ないのですが、より小型のカーボン抵抗や金属皮膜抵抗は1Ω未満がないので1Wを使っています。1Ωと2.2Ωのカーボンあるいは金属皮膜抵抗を並列にすれば0.69Ωになりますから、そういう使い方でもかまいません。
フィルムコンデンサは、耐圧50V程度のポリエステル(マイラー)の通常タイプです。アルミ電解コンデンサは通常品あるいは低ESRタイプを推奨します。オーディオ用として売られているものはサイズが大きいのでスペースに入りきれませんし、ナチュラルな音にならないものが多く通常品がよろしいかと思います。
線材・・・本機で使用した線材は0.18sq(AWG24相当)です。0.2sqよりも太い線材を使うと、太すぎてラグ穴に入らない、ハンダ不良が生じやすいなどの問題が生じて仕上がりの品質が落ちます。ダイオードをつなぐ銅線は0.28〜0.35mmくらい、アース母線は0.9〜1.2mmくらいでともにポリウレタンなどの表面処理をしていないものが適します。この銅線はホームセンターやamazonで扱っており、15m巻きを200円程度で買えます。
ACアダプタ・・・使用したのは、秋月電子通商のDC12V/1Aタイプです。1次電圧が100〜120Vのものと100〜240Vとがあり、いずれも廉価ですがスイッチングノイズが少ない優れたACアダプタです。超小型のものはノイズが多いのでおすすめしません。(頒布なし)
ケース・・・ケースは、タカチ製HEN110420(pdfカタログ)を使用しました。サイズ(外形)は、幅11.15cm、高さ4.36cm、奥行き20cmです。図面だけで設計すると失敗するので、必ず部品の現物を当ててからレイアウトを決めてください。秋葉原では、奥澤やエスエス無線で購入できます。両店ともに電話orFAX一本で地方発送をしてくれます。(頒布なし)
<部品の頒布>
自作アンプですので、どんな部品を使い、どのように作るか、追加変更も全く自由です。しかし、地域によっては部品の入手が困難ですし、たとえ秋葉原が近くても同じ部品を買い揃えるのは困難です。本製作で使用した部品のうち、ACアダプタおよびケース以外のすべての部品は頒布がありますので気軽にご利用ください。
部品頒布ページ → http://www.op316.com/tubes/buhin/buhin.htm
<製作>
平ラグの工作については以下のページにきれいに仕上げるこつが書いてあります。
http://www.op316.com/tubes/tips/k-lug.htm
12P平ラグに収まってしまったのでFET差動ヘッドホンアンプと比べるとすかすかで余裕があります。電源スイッチ付近に見える5P立ラグ板上の抵抗器のうちの1個はLED点灯用で12Vから2.7kΩでドロップさせています。もう1個は2.2kΩでして、これは電源回路の+12Vとアースの間に実験的に入れた電荷逃がしですが不要です。本機を製作される場合は、LED点灯用の2.7kΩが1個取り付けられれば十分なので3Pの立ラグで足ります。
左右各平ラグのアースポイント間は0.9〜1.2mm径の銅単線をブリッジにしてつないであり、これが本機の集中アースポイントになっています。入力端子からのアースは音量調整ボリュームを経由してこのアースポイントにつなぎます。DC12Vの電源のマイナス側もこのアースポイントにつなぎます。左右両チャネルのスピーカー端子のマイナス側もここにつなぎます。なお、シャーシアースは、入力のRCSジャックところで後面パネルと導通させています。そのため付属の白い絶縁リングをはずしてからパネルに取り付けています。このケース(タカチHENシリーズ)は、パネルを固定するビスをちょっときつめに締めるだけですべてにコンポーネントが導通してくれるので助かります。
平ラグのパターン図は以下のとおりです。中央の1000μF/10-16Vの周囲が非常に混雑しますので、この一帯をどう収めるかが勝負です。抵抗器とコンデンサ類は接触してもかまわないので、密着させてうまくやりくりしてください。なお、出力段のエミッタ抵抗は、試作機および本パターンでは1Ω//2.2Ωの並列になっていますが、頒布部品では0.68Ω1個になりました。※印はZobelの代用のスパークキラーです。スパークキラーが入りきれなかったら、平ラグ上ではなくスピーカー端子のところに取り付けてください。スパークキラーを使わずに「47Ω+0.047μF」にする場合も、スピーカー端子のところで空中配線したらいいでしょう。まあ、12P平ラグで無理しないで、15Pを使ってゆったり作った方がいいかもです。
画像では、電源スイッチにはスパークキラーがついていませんが取り付けることを推奨します。頒布部品リストのスパークキラーは3個と記載してあります。
平ラグの製作もうひとつのポイントは、出力トランジスタ(2SC4481/2SA1931)のベース回路の2個のダイオードの取り付け方法です。トランジスタとダイオードを熱的に結合するために、トランジスタの肩のところにダイオードを耐熱エポキシボンドで貼り付けておき、これ「コ」の字型に配線してあります。線材は0.28mm径銅線でホームセンターで売っていたものです(希望される方には頒布しています)が、普通のビニル線でもかまいません。本機の設計ではこのような密な熱結合は必須ではなく、周囲温度でのゆるい結合でも出力トランジスタが暴走することはありません。熱結合しない場合は出力段のアイドリング電流が30%ほど増加するだけですので特に問題ではありません。
(この画像はPart1のものなので部品配置が若干異なります。)
重要:出力段のバイアス用の2個のダイオード(UF2010)の向きは決して間違えないでください。逆向きに取り付けて電源をONにすると、出力トランジスタに過電流が流れて異常に高温になって破壊したり、抵抗器が燃えたり、ACアダプタが壊れます。私もこのミスを1回やりましたが、出力トランジスタは無事だったものの、焦げ臭いニオイがして、ACアダプタの内部ヒューズが切れて廃棄となりました。
前面パネル、後面パネルのレイアウトは以下のとおりです。
<試作機の特性>
測定結果は以下のとおりです。大変な低雑音アンプになりました。残留雑音の値は桁を間違えていません。
- 消費電流: 無信号時=約190mA、最大出力時=約0.4A(8Ω)、約0.6A(4Ω)at DC12V
秋月のACアダプタを使った場合のAC100V側の消費電力=3.5W
- 利得: 4.5倍(8Ω負荷、1kHz)
- 残留雑音: 5〜9μV(帯域80kHz)
位相補正なしで組んでみたところ10MHzくらいの極端に広い帯域特性になってしまったので、2SC4408のベース〜コレクタ間に適当なコンデンサを入れて調整しました。下図は100pFおよび220pFを入れた時のデータですが、100pFでは数Hz〜1MHzでほぼフラットになってしまって帯域が広すぎな気がします。帯域が広い分残留ノイズも多くなります。最終的には220pFとしました。
左右チャネル間クロストークですが、1kHzあたりでは-100dB前後というとんでもない数字が出ました。100Hz以下に山ができたのは2段目のコレクタ電流同士の左右間での干渉ですが、それでも-90dBくらいのレベルですからCDのS/N比を上回ります。
本機の利得設計ですと、通常のCDプレーヤや本サイト掲載のDACをつないだ場合は手頃な音量感になりますが、USBバスパワーで動作する市販のDACやiPodをつないだ場合、利得が不足することがあります。その場合は、負帰還の560Ωを1kΩ〜1.2kΩに増やしてください。
歪み率特性は下図左のとおりで、Part1と比べて1/5程度まで下がっています。小出力では負荷が軽い8Ωの方が低歪となりますが、最大出力は4Ωの方が高いですからこの図のように途中でクロスするという教科書どおりの結果です。出力が100倍アップするごとに歪が10倍増えるという典型的な2次歪み特性の傾向が残っています。Part1との主な違いは負帰還量ですので、歪みの傾向は同じまま絶対値が減っているわけです。
下図右は100Hzと1kHzと10kHzを比較したものです。周波数ごとの差がほとんどないのは、無帰還時でも広帯域にわたってフラットで、全帯域で一定の負帰還がかかっているためです。ICパワーアンプにはできない芸です。
下図はダンピングファクタです。出力コンデンサがあるので100Hz以下でダラダラと下がってきますが、それでも一般的なスピーカーのf0あたりでは60以上もあります。
<音の感想など>
大して期待はしていなかったのですが、ローからミッド、ハイまでしっかりと鳴らすアンプで少々驚きました。バイポーラらしいエッジが利いた鳴り方で、小型のスピーカーのローエンドを元気良く鳴らします。全段差動の音に慣れた方は「いつものあの音がしない」と思われるかもしれませんね。普通に良い音がしますが、いわゆるハイファイっぽいきれいなオーディオトーンではなく、ある程度前に出てくれるところが本機のいいとことかなあ、と思っています。低域再生の余裕度については真空管アンプをしのぎます。
製作して一ヶ月ほど経ちました。定位の精緻な感じは全段差動に及びませんが、音そのものは私の好みに合っています。