かさねがさね、6F6には申し訳ないが
6F6、6V6ときたら、6L6もついでに考えてしおうというのが人情というもの。6L6の最大プレート損失は19Wですから余裕充分です。ヒーター電流は6V6の2倍ありますが、それでもたかだか0.9Aですからどうということはありません。というわけで、さっさと6L6GBを載せてしまった写真が右です。いかにちいさいアンプであるかがおわかりいただけると思います。
6L6のプレート特性
まず、例のとおり6L6に単純に差し替えた場合を想定して、動作条件を求めてみます。6L6のシングル動作データより、スクリーン・グリッド電圧250Vのときの標準動作で、Ip=72mA、Ig2=5mAというのがありますので、これを使ってカソード(Ik)が45.3mAの場合のプレート電流とスクリーン・グリッド電流を算出したのが下の表です。
RL(Ω) Ep(V) Eg2(V) Ip(mA) Ig2(mA) Ik(mA) Pp(W) Pg2(W) 理想最大出力(W) 10KΩ 282V 250V 42.4mA(推定) 2.9mA(推定) 45.3mA 11.96W(推定) 0.73W(推定) 8.99W スクリーン・グリッド電圧(Eg2)が250Vのときの6L6のプレート特性に、上記の条件のロードラインを引いてみました。
ごらんのとおりです。これでも立派に動作しますが、バイアスが深くなりすぎてちょっと面白くありません。これは、スクリーン・グリッド電圧が高すぎることが原因です。
スクリーン・グリッド電圧の検討
真空管マニュアルには、下のような特性図が掲載されています。これは、スクリーン・グリッド電圧によって、バイアス(第1グリッドの)電圧が0Vのときのプレート特性がどのようになっているのかを表わしたグラフです。スクリーン・グリッド電圧(Esg)が150V、200V、250Vの3つの場合についてプロットしてみました。まず、Esg=250Vの場合ですが、ロードラインよりもかなり上になってしまっています。Esg=150Vではどうかというと、ロードライン上の動作点の方がプレート電流の曲線よりも高くなってしまって、これでは最大出力時に必要なプレート電流が取り出せません。最適なEsg値は、どうやら160V以上200V以下の範囲にあります。
本アンプで、6F6を6L6に差し替えようとするならば、スクリーン・グリッド電圧を250Vではなくて160V〜200Vに下げてやればよいことになります。たったこれだけのことで、特性の異なる球に変更できるのですから、真空管アンプというのは不思議なものです。
あとは、スクリーン・グリッド電圧を簡単に変えられるような回路を工夫すればよいわけです。