大人の自由空間
製作
部品の取り付け-1

自作用に売られているシャーシはやわらかくて加工しやすいアルミ製ですが、標準シャーシはスチール製です。アルミに比べてはるかに硬く、加工は容易ではありません。ドリルの刃を立てた時でも、アルミならばうまく噛んでくれますが、スチールの場合はツルツルと滑って行ってしまいますので要注意です。

また、市販のアルミ製シャーシの多くは、内側は塗装されていませんが、標準シャーシは全面に塗装がなされています。ここままでは塗装が絶縁体となってシャーシへのアースがうまく取れないので、正面向かって右端の真空管ソケットの取りつけネジ部分だけはあらかじめシールを貼った状態で塗装されています。ここにシールをはがせば地肌が出てきます。ここにぎざぎざのついた菊座金などを食い込ませてシャーシ・アースを取ります。

標準シャーシに部品を取り付けるには、3種類のネジを使います。電源トランスと出力トランスは4mm径のビス、真空管ソケットや3端子レギュレータは3mm径のビス、ACインレットと裏蓋は3mm径のタッピングです。

右上の画像は、標準シャーシに必要な部品をすべて取り付けたところです。

シャーシの角やトランス類は作業中にあちこちにぶつけたり、擦ったりしてキズがつくことが多いので、しっかり養生しておきます。

電源スイッチ・・・押し込むだけで取り付けできます。但し、スイッチによっては幅が穴のサイズきちきちなものがあり、これを無理やり押し込むと、スイッチが圧迫されて動きがスムーズでなくなります。こういう場合は、スイッチの両サイドの樹脂の出っ張りをカッターなので少し削ってやります。上下を間違えないように、どちら側がONかOFFかあらかじめテスターで導通を確認しておくことを忘れないように。

音量調整用のボリュームは、もっと小型のコスモスのミニ・デテントでOKですが、私の場合は、たまたま大型のものが手元にあったのでそれを取り付けています。シャフトは、使うツマミの深さに合わせて金鋸で切断します。この時、シャフト側を万力等で固定します。ボリューム本体側には力をかけないように。

スピーカー端子とヒューズ・ホルダー用の穴は、あらかじめ回転防止のガイドが加工がしてありますので、位置を合わせるようにします。RCA入力ジャックはそういうガイドがないので、配線しやすい向きを考えてしっかりと締め付けておきます。配線してから緩むと厄介です。

5PL型ラグが6個、12P(片側6P)平ラグが2個、16P(片側8P)平ラグが2個くらい必要です。全体としてくれくらいのラグがあれば、全回路は余裕で配線できます。


部品の取り付け-2

片チャネル側のラグの実装の様子の拡大画像です。

電源トランスの両脇には16ピン(片側8ピン)の板ラグを、10〜15mmのスペーサを使って取り付けます。この部分のシャーシには16ピン平ラグの取り付け穴にフィットさせた穴があらかじめ開けてあります。画像では、金属製の六角のサポータを使っています。あまり高い位置に取り付けるとヒューズ・ホルダーに当ったり、電解コンデンサが裏蓋にぶつかります。16P(片側8P)平ラグが2個あれば、電源回路ユニットを収めることができます。

真空管ソケットの止めネジと兼用で、25〜30mmのスペーサによって12ピンの板ラグを取り付けます。画像では、たまたま手元にあった樹脂製のものを使いました。ここには、バイアス調整用のボリュームが取り付けられています。このバイアス調整用ボリュームは、シャーシ穴の上から差し込んだマイナス・ドライバーで廻します。

左手前には、放熱孔を使って取り付けた3端子レギュレータ(LM317T)が取り付けられているのが見えます。灰色をしているのが絶縁フィルムです。画面からはちょっとわかりにくいですが、取り付けネジと放熱フィンとが接触しないように、白色の樹脂製の絶縁ワッシャが使われています。これら絶縁材一式は半導体ショップでセットになって売られています。

ちょっと変わっているのは、12P(片側6P)の平ラグに取り付けられたバイアス調整用のボリュームです。12Pの平ラグの中央にハンドドリルで穴を開け、リーマーなどで穴を大きくしてやると、ボリュームが取り付けられるようになります。このとき、ボリュームの軸の金属部分が平ラグに接触してくれるので、ここからボリュームの金属部分のアースを取れて具合がいいです。また、ここ部分の真空管ソケットの取り付け穴は、12Pラグの取り付け穴と位置が合っています。そこで、25mmくらいにスペーサーを使ってボリュームの軸がシャーシに当らないように浮かせてやります。こうすると、シャーシの放熱穴の真下にバイアス調整ボリュームの軸がきます

注意:なお、右上の画像では、ボリュームの端子が出力トランス側を向いていますが、後で気が変わって180°回転させて手前を向くようにしました。



トラブルを引き起こさない配線手順・・(きわめて重要)

どんなベテランでも、配線は間違えるものです。私の場合も、3台作って一発で動作したのは1台だけ、残りの2台は配線の間違いをやっていました。アンプの製作では、必ずどこかで配線を間違えるものだ、と考えることがスタートラインです。アンプが全部組みあがってしまってから配線の間違いを見つけ出すのは大変な時間と労力、精神力がいります。調べなければならない個所はアンプ全体に及び、問題個所を絞り込むことができないからです。関連し合う部分で同時に2個所で配線間違いがあった場合はもっと悲惨です。2つ以上のトラブルが複合して起こった場合、一体どうやって推論したらいいのでしょう。

トラブルを引き起こさない、そして間違いを効率的に発見できる製作手順を以下にご紹介します。配線の各ステップごとに検査・測定を行いつつ作業を進めるので、配線の間違いがあっても調べるべき範囲は限定されます。

(1)ACライン

ACプラグから電源トランスの1次巻き線(100V)までのAC100Vラインまでの配線を完了させます。ここまでできたらAC100V通電テストを行います。電源スイッチOFFの状態で、AC100Vプラグ側から、テスター(Ωレンジ)で抵抗値を測定します。電源スイッチOFFの状態では「∞」、ONの状態では電源トランス1次巻き線抵抗値と同じになればOKです。次に、テスター(ACVレンジ)を電源トランスの1次側(100V)に接続し、ACプラグをコンセントに差し込み、電源スイッチをONにしてテスターにAC約100Vが表示されることを確認します。OKならば、電源トランスの各ヒーター巻き線(AC約6.5〜7.0V)、B巻き線(AC0V〜200V〜250V×2)に現れる電圧を測定しておきます。
(2)ヒーター配線
ヒーター配線を完了させます。球を挿さずに通電テストを行い、テスター(ACVレンジ)で真空管ソケットに正しいヒーター電圧(球が刺さっていないので電圧は高めに出ます)が来ていることを確認し、さらに球を挿して各球のヒーターが橙色に点灯すしていることを確認します。メタル管はヒーターが見えないので、手で触れて熱を持っていることを確認します。真空管ソケットの各ヒーター端子の電圧を測定し、AC6.2V〜6.6Vであることを確認します。
(3)B電源部
電源をOFFにした状態で、テスター(Ωレンジ)のCOM側を電源トランスのセンタータップ側、+側をシリコン整流ダイオードの出力側(すなわちRb0側)に接続し、抵抗値を測定します。テスターの接続の極性を間違えないように。抵抗値の表示はしばらく変化し続けますが、やがてほぼRb4の値(500kΩ〜600kΩ)に落ち付きます。なお、使用するテスターによっては、5本のダイオードの存在が原因でもっと大きな値か無限大(∞、OL=Out of Range)表示になることがあります。その場合は、5本のダイオードを線材でバイパスさせて測定してください。

また、一旦電源をONにしてしまうと非常に長い時間、正常な値が測定されません。電源スイッチがOFFになっていても、ACコードがAC100Vにつながっていると異なる値を表示することがあります。

B電源部まで配線が完了した時点で、B電源動作テストを行います。まだ、電源回路に負荷がかかっていないので、B電源の電圧はかなり高めに出ます。
テスター(DCVレンジ)を、電源トランスのセンタータップ〜シリコン整流ダイオードの出力側(すなわちRb0側)間に接続し、電源スイッチを数秒間だけONにしてすぐにOFFにします。電源トランスのB巻き線電圧(220V〜250V)の1.4〜1.5倍の電圧が現れれ、電源スイッチOFFとともにゆっくりと低下してゆけばOKです。次いで、連続通電しながら、各部の電圧を確認します。まだ、初段も出力段も配線されていないため電源回路にはほとんど電流が流れていません。そのため、B1+、B2+にはアンプの設計時とは異なる電圧が生じています。

(4)アースライン
アンプ部の配線をはじめる前に、アースラインをどうするか構想を練り、その下準備をしておきます。B電源ユニットの「E端子」から引出したアースラインには、初段・出力段からのアースが接続されます。その時、すでに配線済みのヒーター配線の一端をアースラインのどこかに接続してやります。メタル管を使う場合は、真空管ソケットの1番ピンもアースに接続することをお忘れなく。
(5)出力段
出力段の配線が完了し、出力段にプレート電流が流れるようになった時点で出力段動作テストを行います。まず、最初に3端子レギュレータ(LM317)の「内部的にout端子につながっているフランジ」がシャーシに接触していないか調べます。次いで、細かい調整はさておき、出力段の回路が直流的に正常に動作しているかどうかのチェックを行います。片チャネルの出力管のみを装着し、テスター(DCVレンジ)にして3端子レギュレータ(LM317)の「out〜adj間」すなわち定電流特性を決定する抵抗(Radj)の両端電圧を測定します。1.25V±0.1Vであれば、定電流回路は正常に動作しています。この値からはずれた時は、直ちに電源をOFFしないと、大切な出力管を駄目にします。次いで、Rb2(82Ω〜150Ω)の両端に接続して電源をONにします。約10〜20秒で球のヒーターが暖まり、プレート電流が流れはじめるため、テスター表示は、
(例)Ip=30mA×2、Rb2=150Ωの時で「9V」
(例)Ip=35mA×2、Rb2=100Ωの時で「7V」
に落ち付くはずです。こういった値よりも大きくずれた場合は直ちに電源を切ります。配線のミス、あるいは球の不良の可能性がありますので、別の球を挿してもういちど同じテストを行います。OKであれば、チャネルを入替えて同様のテストを行います。
LEDを点灯させたい場合は、E〜C−間から390Ω程度のドロップ抵抗を介してLED点灯回路も配線し、LEDが点灯することも確認します。なお、本機の場合、「電源ON〜出力管のヒートアップ〜電源OFF」の一連の流れの中で、LEDの明るさは微妙に変化することを確認してください。
(6)出力段のバイアス調整
出力段のバイアス調整の目的は、プッシュプルになった2管に流れるプレート電流値を同じに揃え、出力段の動作の最適化をはかるとともに、出力トランスの2つの巻き線に流れる電流値を同じにして、コアの磁化を打ち消し合うようにすることにあります。バイアスが可変になっているのはプッシュプルの片側球だけです。グリッド電位が0VとなるようにVR2を廻し切った状態で出力段を動作させ、2管のカソード電位の差を測定します。2管のプレート電流がぴったり揃うことは滅多になく、必ず、アンバランスが生じます。電位差が0VとなるようにVR2を調整します。ちなみに、電位差が10mV(=0.01V)生じた時の2管のプレート電流の差は、
10mV÷4.7Ω=2.1mA
です。アンバランスが1mA以下にできたならばよしとします。バイアスを調整しきれませんから2管の位置を入替えてやります。0〜−3.7Vのバイアス調整範囲で調整しきれない程球の特性にばらつきがあり場合は、球の組み合わせを変えてみます。
(7)残留リプル、残留ハムの測定と検査
B電源回路の残留リプルを測定することによって、B電源の平滑回路の働きの様子を確認することができます。残留リプルは交流なのでテスターをACレンジで測定できますが、同時に直流電圧かかっているため、0.1〜0.47μF/400Vくらいのフィルム・コンデンサを挿入して直流成分を遮断して測定します。「電源トランスのセンタータップ〜整流出力間」でAC2〜3Vくらい、「E〜B1間」でAC0.02〜0.1Vくらいだと思います。
この段階で出力トランスの8Ω端子(手持ちのスピーカーのインピーダンスに合わせてください)〜スピーカー端子間を配線し、スピーカーの接続テストを行います。かすかにハムが聞こえてくる位だと思います。耳につくような大きなハムが出るようならば、どこかに配線のミスがあります。
(8)初段
初段の配線を完了し、初段にプレート電流が流れるようになった時点で、初力段動作テストを行います。初段の各部の電圧に異常がないことを確認します。この時、初段管の2ユニットともにグリッドが配線されていることを確認します。一方は入力ボリュームへ、もう一方は負帰還抵抗(100Ω)を経てアースに接続されいないと、初段管に正常なバイアスがかかりません。通電テストを行い、テスター(DCVレンジ)で共通カソード電圧が1.1〜2.0Vくらいであること、2つのプレート負荷抵抗(220kΩ〜240kΩ)の両端電圧がともに100V〜140Vくらいであることを確認します。
(9)入力ピンジャックからボリューム、初段グリッドまで
入力ピンジャックからボリューム、初段グリッドまでの配線が完了し、負帰還回路の配線だけを残した状態(つまり、無帰還状態でアンプとして動作できる状態)になったら、最終通電テストおよび出力段のバイアスを再調整します。この時、各部の電圧をデータとしてすべて記録しておきます。これがあるのとないのとでは、後々のトラブルの調査の手間が全然違います。
(10)初回音出し試験
各部の電圧が正常であることが確認できたら、初回、音出し試験を行います。無帰還状態で繰り返し音出しを行い、アンプが安定動作することを確認するとともに、裸利得の測定、ダンピング・ファクターの測定を行います。この段階で、アンプは充分に実用になるところまできているはずです。
(11)負帰還
負帰還の配線を行い、ダミー・ロードをつないでオーディオ信号を入力し、利得を測定します。測定した利得が裸利得よりも小さかったら負帰還は正常、大きくなったり発振してしまったら正帰還になっています。直ちに電源を切り、出力トランスのプレート配線を入替えて、再度確認します。
(12)完成&最終測定
正常に負帰還がかかった状態で音出し試験を行い、最終利得とダンピング・ファクターの測定を行います。これで完成です。

電源部の配線-1

配線作業は、AC100Vラインがスタートです。ACインレットから出発して、1本は電源スイッチ方面(画像右下のライン)ラインい向いますが、往復の配線はしっかりと捻ります。こうすることで、行きと帰りの交流電流が相互に打ち消し合って、外部への誘導が1/10以下になります。往路と復路とを捻るというのは、交流ラインの配線の基本です。もう1本は、電源スイッチから戻ったラインと合流して、やはり捻りつつヒューズを経由して電源トランスの1次巻き線(0-100V)に至ります。AC100Vラインが配線できた状態で、最初の通電テストを行い、電源トランスの各巻き線に所定のAC電圧が現れていることを確認します。

 

上の画像は、ヒーターの配線です。この配線はちょっと変わっています。3つある6.3V巻き線がすべて並列に接続されているからです(白と青の線が端子をまたぐように配線されている)。このように配線したことには事情があります。TANGO PH-185には3つの6.3V巻き線があり、それぞれ、2A、2.5A、2.5Aです。当初の設計では、出力管に6L6を使うつもりでしたが、EL34の差換えもできるようにしたいと考えました。

しかし、EL34は1本あたり1.5Aのヒーター電流を消費するため、PH-185のヒーター巻き線容量では不都合が生じます。そこで、3つの巻き線をすべて並列にして、合計7Aの容量を分け合おうとしたためです。なお、電源トランスの巻き線は、「0」と表示された側が巻き始めとして揃えてあります。並列にする場合は、巻き始めの側同士をつながないとショート事故になりますので充分に注意してください。

右の画像は、AC100V電源部まで配線し、さらにヒーター部までの配線を終えた全体の様子です。

各管のソケットへの配線で配線を捻っていないのは、距離が近くて捻ろうにもうまく収まらないこと、捻らないまでも密着して並行した配線が可能だったことによります。アース・ラインがまだなのでヒーター配線の一旦はアースされていませんが、これを忘れると確実にハムが出ますのでご注意あれ。

ここまでの段階で、ヒーターの点火テストを完了します。なお、電源トランスから「唸り」が生じた時は、電源トランスの4隅にある締め付けネジを増し締めしてやります。なお、バイアス調整用のボリュームの向きは、気が変わって当初と向きが入れかわっています。



電源部の配線-2

次は、B電源ユニットの組み立て・配線です。電源回路は右図のとおりですが、これを2つに分解して2ユニットで平ラグで組むことにしました。

電源トランスのB巻き線(220V〜250V×2)は、Unit-1の2個所のAC端子に入ります。ここには、シリコン整流ダイオードが取り付けられています。電源トランスのセンタータップからの線はUnit-1のCT端子に入ります。Unit-1では、2つのシリコン整流ダイオードによる整流と、Cb0、Cb1とRb0、Rb1で構成される最初の平滑が行われます。Unit-1と電源トランスの間には、ハムの原因となる大きなリプル電流が流れますが、Unit-1を出るまでにはかなりリプルが除去された直流になっています。

Unit-2では、Cb2とRb2とで構成される平滑回路によってさらにリプルが除去され、出力段向けのB1+電源が仕上げられます。出力段への電流はB1+から出て行きますが、帰って来る場所はCb2のマイナス側ではなく、E端子側です。E〜C-間に割り込んでいる5個のシリコン・ダイオードでは、約3.7V一定の電圧降下が生じ、これが本機のマイナス電源(C-)になります。

さて、この2つの電源ユニットを平ラグ上に組むわけですが、これが結構楽しい頭の体操になります。何故ならば、部品の大きさ、数を考えると18pin平ラグ2個でぎりぎり一杯になるからです。実際に平ラグに部品をあてはめ、1つ1つのラグ端子への線の集中具合なども考えながら、無理のない配置をしてやります。

左図は、私が実際に行った配線のプランです。裏返したシャーシのACインレット側を下にした向きで描いてあります。右側がUnit-1、左側がUnit-2です。

電源トランスの2次巻き線からの3本の線は、Unit-1の中央にある端子(AC×2、CT)にはいります。2つのシリコン整流ダイオードの先のところでジャンパー線によってつながっている様子は、下の画像からもわかると思います(コンデンサの陰から半分見えている)。Unit-1の出口はCb1の両端から取り出します。ジャンパー線を使って、1つのラグ穴に線が集中しないように工夫しておけば、後々の配線が非常に楽になります。

Unit-2は少々混み入っています。部品からのリード線が相互に接触しないように、線の長さをうまく工夫しながら配置・配線してゆきます。抵抗器やシリコン・ダイオードのリード線はあまり切り詰めないで、少し余裕を持たせるくらいの方が作業がしやすく、しかもきれいに仕上がります。ここで最短距離の配線を頑張っても意味はありません。

「E」から引出すアース以外の配線では、使用する線材はそんなに太いものを使う必要はありません。この工程で注意すべきこととしては、ダイオードと電解コンデンサの極性を間違えないこと、3つのセメント抵抗器はかなり熱くなるので、電解コンデンサとの間にはそれなりの隙間をあけてやることくらいです。

Unit-2 → ← Unit-1

右の画像は、出来あがった電源ユニットを実装したところです。上の画像と右の画像とでは、向きが180°回転して上下左右が入れ替わっている点に注意してください。向かって左側がUnit-1、右側がUnit-2です。

電源トランスから出ている茶色の線がCTの配線、2本の灰色の線が220V〜250Vの2次巻切線からの配線です。電源トランスも向こう側を迂回している橙色と茶色捻った線が、Unit-1とUnit-2をつなぐ配線です。

右上のヒューズ・ホルダーの出っ張りが、Unit-2のラグやコンデンサ等の当らないように注意します。平ラグを取り付けるスペーサーの高さは、10mm〜15mmくらいが適当だと思います。

B1から出力トランスのB端子、さらには出力管ソケットのプレートまでの配線は終っていますが、バイアス回路やカソード回路はまだです。



出力段の配線

電源回路の配線が完了し、通電テストがOKになったら、出力段のDC動作に関する部分の配線に進みます。B1+から出力トランスを経てプレートまで、カソードからカソード電流検出抵抗(4.7Ω)と定電流回路を経てアースまでの配線をします。グリッド抵抗(470kΩ)とバイアス調整回路も忘れずに。本機では、多極管の3極管接続を行うため、プレート〜スクリーン・グリッド間の安定抵抗(100Ω)も各ソケットにつけられています。6AH4GTのような3極管では不要です。これで、出力段には正常なプレート電流が流れるようになります。加えて、マイナス電源(C-)から390Ωの抵抗を経て、電源スイッチのLED点灯用の配線もしてあります。390Ωは、LEDに流れる電流を調整するもので、明るさをみて決めます。

電源トランスのところでくるくる巻いている橙色の線は、まだ配線していない初段用B2+電源の線です。中央の放熱孔を流用して、プレート電流検出端子(チップ・ジャック)が4個取りつけられています。配線の色分けは以下のようにしていますが、これはかなり自己流です。全部同じ色で揃えるとそれなりにきれいですが、誤配線のもとです。

下左・・・2つのラグの取りつけネジを流用してアース母線を張っています。アース母線は、単線の芯線を3本束ねたものを流用していますが、特に意味はありません。あるものを流用しただけです。真空管ソケットの3-pin〜4-pinをつないでいる抵抗(100Ω)は、6L6あるいはEL34のスクリーン・グリッド安定抵抗。

下右・・・バイアス調整ボリュームを取り付けた平ラグに、初段のプレート負荷抵抗(本機では240kΩ)と結合コンデンサ(0.33μF)を取りつけていますが、まだ配線はしていません。バイアス調整ボリュームにくっついている抵抗(100kΩ)は、摺動子接触不良対策の抵抗で、47kΩ〜220kΩくらいであればOKです。


アースの配線

おそらく、みなさんが最も知りたいであろう本機のアース配線の全容をご紹介します。

本機では、B電源の帰路を使ったマイナス電源を採用したため、電源トランスのセンター・タップ(CT)はアースではありません。センター・タップ(CT)から出た線は、電源ユニット1→電源ユニット2の順をたどるように(厳密には、コンデンサCb0、Cb1、Cb2をたどるように)配線します。センター・タップ(CT)からいきなり電源ユニット2にショートカットしてはいけません。

電源ユニット2のマイナス電源用シリコン・ダイオードの付け根のところがアースの起点になります。ここから太い線でアンプ中央に渡したアース母線とをつないでいます。増幅回路の動作にかかわるほとんどのアースは、このアース母線に落しています。アース母線内でのアース・ポイントは順不同です。

シャーシへのアースは、シャーシ正面から向かって右端の真空管ソケットの取りつけネジのところです。ここだけは、シールを貼ってから塗装されているため、シールをはがせばシャーシの地肌が現れます。ぎざぎざのついた菊座金でシャーシ本体に食い込むようにネジ止めしたラグにアースをつなぎます。

「入力ピンジャック→ボリューム」間、「ボリューム→初段グリッド」間のアースの引き回しは、シールド線の経路に沿うように配慮します。「入力ピン・ジャック→ボリューム」間のアースを太い線でつなぎます。この区間のシールド線の外皮のアースは、入力ピン・ジャック側だけで取り、ボリューム側はアースしていけません。ボリュームのところではボリューム本体の金属部分へのアースと、「ボリューム→初段グリッド」間のシールド外皮のアースも取ります。この区間シールド線の外皮のアースはこの1個所だけで取り、初段グリッド側はアースしていけません。シールド線のアースしない側は、シールド外皮のヒゲがそこいらへんの端子に接触しないように、熱収縮チューブをかぶせていくといいです。

スピーカの2次巻き線およびスピーカー端子のアースは、初段の負帰還抵抗(100Ω)のところから取ります。このアースと負帰還ラインとは捻っておけばハムを拾わなくできます。出力だからといって、電源に近いところや、出力段に近いところのアースとつないではいけません。


配線の仕上げ

アンプ全体の配線が仕上った様子が下の画像です。ここでのポイントは、アースと入力〜ボリュームまわりの処理のしかたです。シールド線が、アース母線やアースの配線(黒い線)に沿って引き回されていること、ボリュームのところで、初段グリッドに向かうシールド線のシールド外皮のアースが取られているが、入力ピンジャックからのシールド線の外皮はここではアースされていないことなどです。ボリュームのところにある茶色い線は、アースとボリュームの金属部分とをつなぐためのものです。


講座メインメニュー に戻る