私のアンプ設計マニュアル / 基礎・応用編
7.デシベルその2 (使い方)

電圧利得

前章では電圧利得を中心にデシベルについて説明しましたが、もう一度ここでおさらいです。初段の増幅率が100倍(40dB)で、途中に1/5倍(-14dB)に減衰するアッテネータがあって、終段の増幅率が10倍(20dB)の場合について考えてみましょう。

この場合の全体の利得は、倍率で計算すると以下のようになり、

100倍×1/5倍×10倍=200倍
デシベルを使って計算すると以下のようになります。
40dB+(−14dB)+20dB=46dB
200倍=46dBですから、両方で得られた結果は同じになります。


信号電圧

デシベルという単位は、利得(増幅率、減衰率)だけでなく、信号電圧の大きさ(レベル)を表わす時にも使います。信号電圧の大きさ(レベル)をデシベルで表わす場合は、まず、
0dB=何V?
という基準を決めてやることからはじまります。たとえば、
0dB=1V
と決めた場合ですと、2V6dB10V20dB10mV-40dBという風に表わすことができるようになります。

オーディオアンプの世界では、0dB=1Vとすることが一般的で、この場合は「0dBV」という風にdBの後ろに大文字の"V"をつけて表記します。600Ω伝送の世界では0dB=0.775Vとすることもあります。これは、600Ω負荷で1mWの電力となるような電圧が約0.775Vであることが基準になっています。これを「0dBm」と表記します。伝送インピーダンスが600Ωでなくても、0dB=0.775Vを基準として表記する場合は「0dBv」あるいは「0dBu」という風に小文字の"v"あるいは"u"をつける約束になっています。


S/N比

「S/N比」の「S」は「Signal」、「N」は「Noise」の略で、文字通り信号と雑音の比率を表わす指標です。デシベルが、倍率を表わす指標であることを利用して、雑音と信号の比率もデシベルで表現するのはご存知のとおりです。

基準となる出力電圧が1Vのプリアンプにおいて、雑音成分が1mVあるような場合(つまり1000:1の比率)、前章の表に従って計算すると-60dBという値が求まります。(注:雑音の測定および表記には、ほかにさまざまな約束があって、この例のように単純にはいかないのですが、本題からはずれるのでここでは省略します。)

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