<トランジスタアンプ用電源>
トランジスタアンプは低圧で動作してくれるので、市販のACアダプタがそのまま使えます。ACアダプタの入力電圧はAC100V限定のものもあれば100V〜240Vの範囲に対応したユニバーサルタイプのものもあります。出力電圧は、DC5V、6V、12V、24Vくらいが一般的で、ちょっと探せば9Vや15Vや19Vというのもみつかります。DC24Vが上限でそれ以上高い電圧のものもありますが、種類が限定されます。いまどきのACアダプタは電圧がある程度安定化されているスイッチング電源なので、アンプ側は電源電圧変動を気にして回路設計しなくてもよく、しかも非常に軽量&小型であるというメリットがあります。一時代前のACアダプタはトランス式だったので、非常に重い上に取り出す電流値によって電圧が激しく変動するという欠点がありました。スイッチング電源は、1次側の電圧変動に柔軟に対抗してくれるという長所もあります。トランス式で全く融通がききません。
市販のACアダプタの弱点は、プラスあるいはマイナスの1電源であるということです。いまどきの半導体アンプの多くはプラスマイナス2電源ですので、市販のACアダプタの弱点は使えません。本サイトのトランジスタ式ツアラーPart1とPart2はプラス12Vの1電源です。Part3は±6Vの2電源ですが、変則的な回路公式を採用することでプラス12Vの1電源で供給できるようにしてありますが、これは非常に例外的です。
・市販のスイッチング電源方式のACアダプタを使う。
・AC入力側は、100V〜240Vに対応したユニバーサルタイプがおすすめ。
・大きな突入電流を流すと保護回路が働いてしまうので注意する。
・極端に大きな突入電流を流すと内蔵の保護ヒューズが飛んで、事故が回避されるが二度と動かなくなる。
・DC出力側には多少のスイッチングノイズが出るのでフィルタが必要。
<真空管用高圧電源>
(1)電源トランス方式
真空管回路に必要な100V以上の電圧を得るオーソドックスな方法はやはり電源トランスを使う方法です。真空管式のミニワッター用で使っている春日製の30VA容量の電源トランスは、高圧電源とヒーター電源をまかなうことができますが重量は1000〜1100gほどもあります。(2)ACアダプタ方式。
市販のスイッチング方式で廉価に入手可能なACアダプタの最高電圧は24Vです。ACアダプタの出力をを5〜6個直列にすると120〜144Vの電圧が得られます。100V以上の高圧が得られるACアダプタユニット(基板タイプ)も種類が限られますが存在します。<真空管用ヒーター電源>
ヒーター電源はACアダプタが最も適しています。真空管アンプではヒーター電力がかなり大きく、これをまかなうために電源トランスが重くなります。ヒーター電力を軽量のACアダプタに置き換えることで、電源トランスの重量はかなり軽くなるのです。真空管のヒーター電圧は6.3Vまたは12.6Vですが、ACアダプタの電圧はそれよりも少し低い6Vや12Vです。実測してみると12VタイプのACアダプタの場合で、12.0V〜12.2Vくらいが出ています。12Vあれば真空管の定格としてはぎりぎり許容範囲内です。気になるのであれば15Vタイプを使い、抵抗で電圧を落とす方法も悪くないです。
ACアダプタは、定格電流一杯の使い方をすると無視できないくらい発熱するのと、電源ON時の突入電流による保護回路の動作問題があります。そのため、必要なヒーター電流に対して2倍程度の電流余裕が欲しいところです。15Vから抵抗で12.6Vに落とすのであれば、ドロップ抵抗があるおかげで突入電流の問題は解決しますが、新たに抵抗自体の発熱問題が生じます。
・全部トランスでまかなう・・・電源トランスが重くかさばる。
・ヒーターのみACアダプタを使い、他はトランスを使う・・・30〜40%くらい軽量化できる。但し、適当な電源トランスが少ない。
・全部ACアダプタでまかなう・・・ACアダプタがたくさん必要だが、50〜70%くらい軽量化できる。