良い音、リアルで心動かされる音を求めてソースの質やアンプなどにお金をかけ、さまざまな工夫をしてきました。某スタジオで、デスクトップで使えるようなパワードモニターの製作に関わった時のこと、そのスピーカーを乗せるスタンドをどうするかで試行錯誤していました。金属製の台を作ったり、木製に変えてみたり、小さな座布団のようなものを作ってみたり・・・いろいろやってみたのですが、なかなかしっくりくる音になりません。いろいろやっているうちに、誰もが納得できる、なにかツボにはまったような瞬間が訪れたのです。
その瞬間は「そのスピーカー、ちょっと、手で持ってて」と言った直後に訪れました。まさに、衝撃的な瞬間でありました。その時の様子を再現すると右の画像になります。「え、どうして、それすごくいい」「なになに、あ、これはまるわー」「ちょっと、交代」「いいけど、いつもこうやって聞くわけ?」「・・・・」。
どんな音になるのかは是非ご自身で試してみてください。ひとことでいえば、落ち着いたしっくりくる音になります。気になる付帯音のようなものだとか、ピーキーなものが見事に消えます。音がそこで自然に鳴っている感じになります。非常に心地よいのです。
ヒントが得られたので、人に代わるものを一生懸命探したのですが、人に匹敵する音が得られるものはまだみつかっていません。
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さらなる成果を求めて実験は続きます。そして、得られた究極のスピーカー保持方法がこれです(→)。残念ながらあまり大きなスピーカーではできません。しかし、こんな8cm径のハイもローなどまともに出ないスピーカーでも、そのまま動けなくなってしまうくらい良い音で鳴ります。今まで経験したことのない感覚に襲われます。
ひとことでいうと「音楽が手に取るよう」に聞こえます。
そりゃそうだわね、手に取っているんだから。まず、定位感が根本的に違います。どの楽器がどのポジションで鳴っているのか、ひとつひとつの楽器が何をやっているのかが克明に認識できます。音数がまるで違うだけでなく、そこに正確さと分離の良さが加わり、さらにそこにリアル感が加わります。スコアを見て各パートの動きを追いながら聞いている感じとでもいいましょうか。
もうひとつ重要なことですが、スピーカーポジションのミリ単位での調整や1度以下の角度の調整が簡単にできます。こういう感じは置いたスピーカーで行うポジショニングでは得られない経験です。
残念ながら、しばらく聞いていると手が疲れてきます。しかし、それに耐えてもずうっと聞いていたいという欲求に駆られます。