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・・・・工事中・・・
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| 2002.1 四十五年間愛用の時計修理成る |
思出の時を刻みし金時計我が半生の歴史みつめて
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| 2002.10 里帰り |
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父（ち）の故郷（さと）の野山の風情愛づる子の優しきこころ旅は楽しき
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古里や竹馬の友と御弊餅
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| 2003.2 |
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優しきを云わず仕舞いの半世紀
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病みてより君が心情（なさけ）の夕餉こそ口に馴染みて三年余り
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お薬も効いてますねと医師笑顔通院の帰路春一番
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| 2003.5 杖 |
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あの日より杖生涯の伴侶（とも）となり
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人に会えばわざと杖にすがり見する
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朝毎のお鷹の道の杖の老（ひと）逢はずなりて久し噂も聞かず
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| 2003.9 晩夏の蝉、木犀（もくせい）の季節 |
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夕凪や入り陽に透ける蝉の翅（はね）
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夏を惜しみ日暮れて止まぬ蝉しぐれ
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かなかなの亡骸一つ庭に秋
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蝉しぐれやんで木犀香り立ち
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木犀が漂よふ朝の重ね衣
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木犀に誘はれ萩のこぼれ咲き
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| 2003.10 秋深し |
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臑（すね）の蚊は手打ちにされるざる碁会
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秋寒むや達磨になって床に入り
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| 2004.3 |
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トーストと若葉が薫る春の朝
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フレンチの白が似合いの湯でキャベツ
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| 今年も良い事が待っている |
雪解けや矢張り命が惜しくなり
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| 2004.9 路傍の木瓜 |
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あばた面木瓜の実「ニッ」とわらい居り
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刺（とげ）枝にく喰い入る木瓜の丸さかな
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見る程にあばたをかしき木瓜の顔
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葉隠れの木瓜の実遂に盗られけり
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| 2004.10〜11 |
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老い先の短かうなりし秋の草
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蜘蛛棲みて病間となりし四畳半
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偽らぬ竹馬の友の励ましにその日一日は癒えて健やか
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枯れ咲きの萩に師走のみぞれ哉
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| 2004.12 介護教室 |
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傷つきて病みてはじめて人の世の情け心の有難き哉
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碁敵は彼も人の子悔やしがり
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愚痴の種忘れて老いは集いけり
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| 2004.12 たらちねものがたり 母をしのんで |
夏季休暇子を待つ母のあんこ餅
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| 雪降れば亡き母を憶い風吹けばありし日の父を偲ぶ八十路の吾に親懐かしき |
父となり爺となりていまもなほ人の子
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| 2005.1 冬は雲 |
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うれしきは年賀に集ふ子等の顔
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北風は雲を千切って走り抜け
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| 2005.6 |
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なけなしの器毀（こぼ）ちしその夜は床に入りてもなほ口惜しき
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あれこれと子に頼み居る妻の留守
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| 2005.8 夏の風 |
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風鈴に会釈してゆくシルフィード（風の精）
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風重く老いには辛き残暑かな
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夏風はレースのカーテン吹き流し
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| 2005.9 （病みて）春秋の痛み |
人生の痛み八分はさて置いてそっと労わる二分の幸せ
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| 2006.7 諍（いさか）い |
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諍かいの遠のく年齢となりにけり
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ふきこぼれせぬようにせぬようにぢっと抑さえる割鍋の蓋
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ちょっとでもズルを宥せぬ妻（ひと）なりし
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| 2007.4 |
おにぎりのやわらかさほどの春の雪
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| 地球温暖化 |
今日も亦真夏日なるか雲が湧く
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| 2007.6 |
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身構えて妻の愚痴をば聞く男
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紫陽花は梅雨の晴れ間に色直し
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一歩二歩一日に歩める歩数が余命なり
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女房をお婆と呼んで叱られる
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| 2007.11 もみじに寄せて |
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いのちなん生きて八十路のもみじ哉
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長き夜の耳には美（うま）しクラシック
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| 2007.12 |
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小春日や今年仕舞いの薔薇二輪
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酸っぱいなすっぱいな缶詰のパイナップルは甘いけどとてもすっぱい
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ヨグルトの甘さに怯む老の舌
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| 2008.1 |
新年を祝うピンクのバラ二輪
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| 2008.5 五月の朝 |
久々の紅茶の朝餉かをり立ちサラダさわやか麺麭（パン）も香ばし
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| 2009.2 |
幸せは親に似た子のふたり居て
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| 2009.4 退院の日 |
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旅立ちは急ぐ勿れと立ち止まり今日一日を飽かず楽しむ
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励ませど遂に此の足は十歩踏めず
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八歩だけ歩みて今日を終えにけり
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| 2010 辞世 |
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しみじみと思えば長しあの日々の有り難き妻の恩の数々
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散るときの花は汚く見ゆれども匂う薫りはながく香ぐはし
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旅を終え二度寝の如く永眠りけり
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