ウィーンのコンサートガイド
楽友協会国立歌劇場フォルクスオパー


チケット購入ガイドはこちら


<楽友協会 / Musikverein>

楽友協会は交通の便が良いところにあるので、公共の交通機関で問題なく行けます。終演時刻でもU-bahn(地下鉄)もStrassenbahn(路面電車)も動いています。ウィーンの地下鉄もStrassenbahnも駅の間隔が短いので、ウィーン中心部にいる限り無理して交通機関を使わなくてもちょっと歩けばほどなく着けると思います。しかし、やや地味な場所にあるのではじめて行く人はすぐそばまで行っておきながらうろうろすることが多いようです。

リング中心部〜ケルントナー通りから歩く・・・シュテファン寺院あたりから歩いても15分くらい、国立歌劇場あたりからであれば6〜7分で着きます。ウィーンフィルの団員達は、これくらいの距離は普通に歩いてますね。目印はHotel Imperialで、楽友協会はその裏になります。

U-Bahn(U1、U2、U4)・・・最寄り駅=Karlsplatz。地図で見ると駅から少し歩くように見えますが、Musikverein出口を出たらほとんど目の前にあります。徒歩3〜5分。開場時刻の頃にU2の先頭車両に乗ると、いかにもこれからコンサートに行きますという感じの紳士淑女の姿が目につきます。

Strasssenbahn(D)・・・最寄り駅=Schwarzenberg-platz。徒歩3〜4分。
Strasssenbahn(2)・・・最寄り駅=Schubertring。徒歩3〜4分。
Strasssenbahn(1)・・・最寄り駅=Karlsplatz。徒歩4〜5分。


Musikverein正面(左)、周辺地図・・・クリックして拡大(右)。


<楽友協会でコンサートがある時の待ち時間のつぶし方>

近所のカフェやレストランで過ごす・・・楽友協会の近所には、Hotel Imperial内にあるCafe Imperialやリングを渡ったところのCafe Schwarzenbergなど、早い夕食をとったりお茶をしてゆっくりと時間を過ごすのに都合の良いカフェがあります。但し、Cafe Imperialはとても格式あるカフェなので安っぽい服装で入店すると確実に浮きますのでご注意ください。Cafe Schwarzenbergなら気楽に入れて食事もできますがコンサート直前はかなり混雑します(左下)。運がよければフィルハーモニカー達の姿を見かけることもあります。楽友協会の向かいにあるKuenstlerhaus Wienの1階(入り口はビルの反対側)には気軽に入れる"Ludwig und Adele"というレストランがあり、ここもフィルハーモニカー達がよく利用します。

楽友協会内のカフェで過ごす・・・楽友協会の地下にはCafe Gerstnerが出店しており、開場前でも軽い食事をしたりコーヒーで一休みできます。カフェらしい座席こそありませんが静かで落ち着いた雰囲気なので、早くに着いてここで時間を潰す人は多いです。私たちもここで軽食を取りながら開場待ちをすることが多いです。椅子はわずかしかないので、杖をついたお年寄りを見かけたら必ず席を譲りましょう(右下)。


Cafe Scwarzenberg(左)、楽友協会地下のCafe Gerstner(右)。


<楽友協会でのコンサートガイド>

チケットの受け取り・・・楽友協会の場合、購入したチケットは前日以前でもコンサートの開演1時間前でもBOXオフィスで受け取ることができます。大ホールのコンサートの場合は開演直前はとても混雑するのでぎりぎりに行くと慌てることになります。ウィーンに着いたら、早めに散歩がてら受け取りに行ってもいいでしょう。複数のコンサートのチケットを購入している場合は、何も言わなくてもCustomer-IDを伝えるだけでその場ですべてのチケットを発行してくれます。メールのプリントアウトを見せればいいので、言葉がわからなくても大丈夫です。国立歌劇場のようなチケットのダウンロードはありませんし、Otelloのようにチケットそのものを日本や滞在ホテルに送ってもらうこともできません。

BOXオフィスは、楽友協会の建物の裏手ベーゼンドルファー通り側に入り口があるのですぐにわかります。右側のKONZERTKASSAと書かれたところがBOXオフィスで、左側が楽屋口。開演30分くらい前になると、団員達が楽屋口からどんどん中に入ってゆきます。コンサート直前を除いて通常の営業時間は、平日は9:00〜20:00、土曜日は9:00〜13:00、日曜日はお休みです。

ドレスコードのことなど・・・どんな服装が相応しいかは、コンサートの格で決まりますから一律に何がいいとは言えません。楽友協会で開かれるコンサートにもいろいろあって、熱心な音楽ファンがやってくるコンサートもあれば、ほとんど観光用と割り切ったツァー向けのコンサートもあります。一般論として、オペラよりも地味だということと、マチネ(11:00開演と15:30開演が多い)の方が軽装でいいというのはいえると思います。夜のコンサートの場合、男性であればスーツかジャケット着用が確実です。女性も同様でそこそこフォーマルな格好であればよろしいかと思います。バル(冬に開かれる舞踏会)のような特別なイベントでもない限り、タキシードとか肩出しドレスなんていうのは完全に浮きますのでやめてください。私が海外に行く時は、ネイビーのブレザー一着でやりくりすることが多いですが、これで過不足はないです。かみさんはスーツ&スカートまたはワンピースに派手でないアクセサリをつけることが多いようです。

クローク・・・1階入ったところに大きなクロークがありますが、各階にも地下にもクロークがあります。劇場法という法律で、入場時に身に着けている衣類とハンドバック以外は劇場内に持ち込んではいけないという規則があります※。コートや大きなかばん類はホールに持ち込むことはできませんので必ずクロークに預けてください。寒がりの人は下着や薄手のセーターなどで工夫するようにします。クロークは有料で85セントくらいだったと思いますが、チップを含めて1人1ユーロがめやすですので、2人分であれば2ユーロを渡します。クロークは何ヶ所かあってA、B、C・・・という風に記号で区別されており、半券にもAとかBという風に記号が印字されています。

※その昔、劇場で大火事があり、持ち込んだ衣類が燃えて大惨事になったため、以来、客席にはコート類を持ち込むことを禁止する法律ができたのだそうです。
ホールに入る・・・チケットは見せるだけで日本のホールのようにモギリません。座席ごとに入り口が分かれており、チケットを見せるとどこから入ればいいか教えてくれます。分かれているのは入る時だけで、中に入ってしまえばホールじゅうどこにでも自由に行けます。階段とエレベーターがありますが、杖をついた老婦人、老紳士が利用されますので、元気な人は階段を使いましょう。

ところで、楽友協会正面から入ってすぐの左右のコーナーにある階段はかなり急です(左画像)。じつは、ゆるやかかつ優雅な階段(右画像)があるのですがそれはクロークを通り過ぎて突き当ってから左右に回り込んだところなので、初めての人はまず気づきません。女性をエスコートしているのであれば、是非こちらの階段をお使いください。なお、ブラームスザールの公演の時は正面向かって左側の階段だけになります。

コンサート・プログラム・・・ホール内のあちこちに案内兼プログラム売りの係が立っています。楽友協会のコンサートのプログラムは基本的にすべてドイツ語で書かれており、英語版や日本語版はありません。私はドイツ語でもかまわないので必ず買いますが、毎回「ドイツ語版しかないが大丈夫か?」と念を押されます。プログラムもチップを含めた金額を渡すのがエチケットです。もっとも、プログラムの値段も、わざと2.7ユーロとか3.7ユーロという風にチップを足すと切りのいい数字になるように設定されています。こういう場合は、私は「You have four」と言って5〜10ユーロ紙幣を渡します。そう言っておけば1ユーロまたは6ユーロのおつりがきます。お釣りがいらない時は「Change for you」とか「You take chage」ドイツ語ならば「Stimmt so」と言えば通じます。

座席番号・・・日本でいう列は「Reich」です。日本のホールでは、席番「Platz」は左端から右端に向かって1番から通し番号がふられていますが、楽友協会のホールは左右両端から中央に向かってそれぞれ1番から番号がふられています。つまり、1つの列に同じ番号が2席ずつあるので、自分の席が右側(Rechts)なのか左側(Links)なのか確認しましょう。

右上のチケットは、大ホールのParterre Logen席(後述)です。「Links」と書いてありますからステージに向かって左側です。Logen席は扉ごとに区切られているので、「7.」は7番扉から入れという意味です。「Reiche」は前から数えて何列目か、「Platz」は横方向の席番です。

右下のチケットは、ブラームスザールのParterre席(後述)です。「Rechts」と書いてありますからステージに向かって右側で、「Reiche」は前から数えて11列目、「Platz」は横方向の席番でこの場合は右から数えて6番目です。

中の座席に入るとき・・・日本のホールに比べて座席の前後の余裕がなく、出たり入ったりが非常に困難です。そのため、中の方の人はできるだけ早めに着座するように気を配り、両端の人はあまり早くから着座しないように気を配るとスマートです。すでに座っている人の前を通って中に入る時は、座っている人におしりを向けないで向かい合うようにして通してもらうところが日本と逆です。

さまざまなエチケット・・・欧米諸国は日本に比べて脚が弱いご老人が目立ちます。両手に杖をついたご婦人がヨッコラヨッコラやってくる姿をよく目にします。こうした方々を見かけたら、荷物を持ってさしあげたり、座席の着く時にサポートしたりしなければなりません。また、脚が弱いご老人は壁や手すりや椅子の背もたれをつかみながら歩きますので、壁際に立たないように気を配るのがエチケットです。


<楽友協会の建物案内>

楽友協会の特に有名な2つのホールの位置関係は概ね下図のように並んでいます。左側がブラームスザールで右側が大ホールで、実際にはもっと接近しています。この2つのホールは互いに1本の通路を隔てて隣り合っており、ホワイエやトイレ、カフェは共通です。1階も2階も床の高さがほぼ同じであり、互いに自由に行き来できます。日本では、大ホールや中ホールなど複数のホールがある建物で各ホールが隔絶されているのは普通ですが、ウィーンではそうではないのが普通です。

右は2011年のニューイヤーコンサートの「美しく青きドナウ」で、ブラームスザールで踊っていたバレエダンサー達が曲の最後のところで大ホールに流れ込んで来る瞬間をとらえた画像です。閉じかけたドアの向こうにブラームスザールの左壁際中央にあるブラームス像が見えていますね。この画像を見ると2つのホールの位置関係がよくわかります。

ですから、たまたま両方のホールでコンサートがあって同じタイミングで休憩になると、ブラームスザールに来ているお客さんが大ホールを見物しに入ってきたりするという面白いことが起きます。ホールのこういう構造はコンツェルトハウスも同じでして、モーツァルトザールから出て向かいの扉を開けると大ホールに入れてしまうのです。


大ホール: 2階Balkon Mitteから(左)、1階Parterre Logen 7扉から(中)、Neujahrskonzert 2016 1階Parterre Logen 4扉から(右)。


=ステージが全く見えない席、=視野が制限される席。

大ホールの音響設計にはあのサリエリが関わっていたということはあまり知られていません。映画などもあってとかくモーツァルトの敵対者のように思われていますが、実は音楽振興と音楽家の支援では多大なる貢献をしていたのであり、もっと評価すべき人物であったようです。今日、この素晴らしい音が聞けるのは18〜19世紀を生きたサリエリのおかげなわけです。

このホールはステージの下が引き出し構造になっていて、それを引き出すと一段低いステージが出てきます。オーケストラの人数が多いときや、ステージ上に大人数に合唱団を乗せたいような時にこれを使います。その時はCercleの前の何列かは取り外されます。

客席の床下は高さ2mほどの広い空間になっており、取り外した客席はべて床下に格納できます。天井の上にも空間があり、この2つの空間の存在がホールの音響効果に大いに貢献しているそうです。

楽友協会が建設された当初は、ブラームスザールのステージは現在の場所ではなく、ブラームス像がある側にありました。つまりホールを横長に使っていたんだそうです。後になって縦方向に使うように改造されたため、ど真ん中に柱が2本も立っているという変なステージになってしまいました。また、1階最後部の座席にも視界を遮る柱があるわけです。うちのカミサンは「日本のホールは見るためのホール、ここは聞くためのホールね」と申しております。

このホールも大ホールと同様にステージの下が引き出し構造になっていて、それを引き出すと一段低いステージが出てきて広くなります。また、左右両端には引き出し式の階段が隠れています。


ブラームスザール: 1階後半の最前列席から(左)、ホールの左側にご本人が(中央)、2階Balkonから(右)。


<楽友協会その他のホール>

コンサート専用ホールは上記の大ホールとブラームスザールの2つですが、それ以外に多目的ホールが5つほどあります。


<楽友協会の楽屋口>

向かって右側がBOXオフィス(KONZERTKASSA)で左側が楽屋口です。入ってすぐ右側にガードマンがいて見張っています。ビジターがここから入るには、楽友協会関係者またはウィーンフィル関係者の同行が必要です。中に入ってまっすぐ進んでゆくと螺旋階段に突き当たります。中央の画像はその螺旋階段から楽屋口を振り返ったところです。この階段を上がってゆくと大ホールのステージ下手通路のところに出ます。ご婦人用トイレのすぐ手前ですね。長い間階段だけでしたが、現在は建物内のすきまを工夫して階段に沿ってエレベータが設置されています。無理やり後づけしたため、とてもコンパクトで変則的な形をした特注エレベータです。


<ウィーン国立歌劇場 / Staatsoper>

ウィーン国立歌劇場はウィーン市街のど真ん中の最も目立つところにあります。ケルントナー通りをリング側に出たところの角で、Karlsplatz駅の場合はOperあるいはStaatsoperの案内のある出口を出たら目の前です。

U-bahn(U1、U2、U4)・・・最寄り駅=Karlsplatz。徒歩2〜5分。
Strasssenbahn(D,1,2,WLB,62)・・・最寄り駅=Ka"rntner-Ring Oper。徒歩1〜3分。


Staatsoper正面(左)、周辺地図・・・クリックして拡大(右)。

<国立歌劇場での待ち時間のつぶし方>

カフェで過ごす・・・国立歌劇場はウィーンの繁華街ケルントナー通りの入り口にありますから、周囲にはたくさんのカフェがレストランがあります。有名なところでは、すぐ北にあるCafe SacherCafe Mozartでしょうか。どちらも観光名所でもあるのでものすごく混んでますけど。国立歌劇場内にはCafe Operがありますが、やや雑然とした感じがあり、こちらも結構混んでいます。

歌劇場のショップで過ごす・・・歌劇場の1階、ケルントナー通りに面した側にショップ「ARCADIA」があります。国立歌劇場にちなんだCDやDVDのほか、ピアノの鍵盤型の電卓などお土産になりそうな面白いものがたくさんありますので、ウィーンに行ったら一度はのぞいてみる価値があります。


<国立歌劇場でのコンサートガイド>

ドレスコードのことなど・・・コンサートのドレスコードは比較的ゆるいですが国立歌劇場になるとちょっと話が違ってきます。座席によって服装が極端に違うからです。平土間席の場合は一応きちんとした服装であればまず問題なく、むしろ過剰な着飾りをすると浮きます。1/2 Rangのボックス席は、最前列は着飾ってもいいですが、2列目以降なのに着飾るのはどうみてもおかしい感じがします。要注意なのは正面中央のMittellogeです。ここは貴賓席扱いなのでスーツ程度では気遅れすることが多いです。女性の場合は身に着けているジュエリーからして違いますから。ご夫人を同伴する場合は、真珠のネックレスくらいはプレゼントしておいた方がいいと思います(笑)。

一方で、立ち見席はカジュアルな服装が多いです。オペラハウスは階級に関係なく楽しめる場所であるため、皇帝が座るMittellogeの真下のいい場所に庶民のための立ち見席があるというあたりが洒落てますね。

チケットの受け取り・・・国立歌劇場のチケットはCulturallが扱っており、pdfでダウンロードして自分でプリントするか、当日劇場で受け取るかのいずれかになります。チケットに関する全体の流れはチケットの予約〜受け取り編にあります。劇場での受け取りは1階入ってすぐの窓口で扱っています。当日券もあります。歌劇場のチケット案内(日本語)はこちら

クローク・・・国立歌劇場の内部は構造が複雑な上に見通しが悪く、おまけに人波でごった返しているのではじめて行った人は自分がどこにいて、どこに行けばいいのかわからないと思います。座席によってクロークが決まっているので、劇場に入ったら案内係にチケットを見せれば教えてくれます。国立歌劇場のクロークは無料です。なお、ボックス席(1/2 Rang)は各ボックスの前室にコートかけがありますので、クロークに預ける必要はありません。

プログラム・・・劇場内のあちこちに案内兼プログラム売りの係が立っています。国立歌劇場のオペラのプログラムは、日本語は1ページ分の簡単なあらすじだけがついています。プログラムは4.5ユーロという風に半端な金額になっており、チップを加えるときりのいい金額になるように設定されています。

字幕・・・日本ではステージの上か両側に字幕が出るのが普通ですが、国立歌劇場の字幕は各座席の端末に表示されます。ドイツ語と英語が選べますが日本語はありません。


<国立歌劇場の建物案内>

オペラ劇場はどこも平面と縦方向の両方に複雑な構造をしているため、あちこち探検してもなかなか建物の中のレイアウトがわからないものです。私も、最初の数回までは正直なところわけがわからないまま上へ下へ右往左往していたものです。平場すなわちParkettは前後に傾斜がついていますので、それを取り囲む通路の床は複雑な曲面になっている上に天井が低いので視界が悪く、そのことが自分が一体どこにいるのかをわかりにくくしています。

右図はParkettの2つ上の1.Rang〜Mittelloge〜Gustav Mahlersaal〜Marmoesaalがある階の平面のイメージ図です。劇場全体を把握するには、この階を理解把握することが近道です。

歌劇場の中に入って吹き抜けになった中央階段を上がったところがこのフロアです。もっとも視界が開けてわかりやすい場所なので、ここをスタートにして考えるとわかりやすいと思います。リング側にはSchwindfoyerがあり、オペラやバレエの時はここがメインの休憩場所になります。ここはウィーンフィルの室内楽コンサートでは仮の楽屋になる部屋でもあります。

左右にはそれぞれMarmorsaalとGustav Mahlersaalがほぼ対称形に配置されており、オペラやバレエの時はここも休憩場所になります。つまり、このフロアには、歌劇場の最も広いホワイエが3つもあるということになります。ケルントナー通り側のGustav Mahlersaalは通常時は資料の展示室にもなっていて、ウィーンフィルの室内楽コンサートはここで開かれます。MarmoesaalとGustav Mahlersaalの間を移動するには、中央階段側の通路を通るか、Mittellogeの入り口の前を通る中央の狭い通路を通ります。

このフロアからは、左右それぞれの1.Rangのボックス席と中央のMittellogeに行くことができます。ですから、1.RangおよびMittellogeのチケットを持っている人は、お連れのご婦人をエスコートしつつ中央階段を上がり、ぐるりと回ってそれぞれのボックスに行くのが正解であり最もエレガントです。それに比べるとParterreや2.Rangに行くには天井の低い通路を歩かなければなりません。このフロアからひとつ下のParterreのボックスやひとつ上の2.Rangのボックスに行くには、左右のやや狭い階段を使います。

このようにみてくると、座席のお値段とは別に、ここでご紹介したフロアの座席(1.RangとMittelloge)が歌劇場において最も重要かつ中心となるものであることがわかります。


<国立歌劇場の楽屋口>

国立歌劇場の楽屋口は、ケルントナー通り側のアルカディア(売店)の右側にあります。顔パスで入れる楽友協会と比べると警備はかなり厳重で、関係者といえどもセキュリティパスのチェックがあります。

中に入ると狭い通路があって、屋根裏まで貫通したエレベータがあります。屋根裏は、ステージの真上と客席後方のSchwindfoyerの真上にそれぞれリハーサル用のホールがあります。ステージ真上、すなわちHotel Sacherから見える側はOrgerSaalといい、パイプオルガンが設置されています。オペラで、天上からオルガンが聞こえてくる場面がありますが、その音はここから聞こえてきているのです。オルガン奏者は指揮者やステージを映したモニターを見ながら、ひとりぼっちでここで演奏しているというわけです。このホールは音響が良いのでレコーディングで使われることもあります。私もここで録音したことがありますが、音響は良いですが外部ノイズが大きいのが難点です。客席後方側、すなわちリンクから見える側はWaechterbuehneといい、主にオペラのリハーサルで使われますが、狭い上に音響が悪いのでオケの団員の評判は悪いんだそうです。


楽屋口 / OrgelSaal / Waechterbuehne。


<フォルクスオパー / Volksoper>

フォルクスオパーはリングの外側、ウィーン中心部からちょっと離れたところにありますので、国立歌劇場や楽友協会のように歩いて行けるような場所ではありません。地下鉄U3とU6を乗り継いでぐるっとまわってゆくか、リングのShottentorからStrassenbahn 40,41,42に乗り換えてゆくことになります。

U-Bahn(U6)・・・最寄り駅=Wa"hringer Str.Volksoper。Westbahnhofから約10分。下車して徒歩3〜4分。
Strasssenbahn(40,41,42)・・・Schottentor/Universita"t始発。最寄り駅=Wa"hringer Str.Volksoperまで6〜7分。下車して徒歩1〜2分。


Volksoper正面、向こうに見えるのがU6(左) / 周辺地図・・・クリックして拡大(右)。

<フォルクスオパーはなかなか見つからない>

Strassenbahnで行くとフォルクスオパーのおなじみの建物がよく見えますが、地下鉄U6で行くと、駅を出てもフォルクスオパーは見えません。じつは建物自体は駅の真ん前にあるのですが、反対側を向いて建っているのでわからないのです。地下鉄の駅を東側に出たら右に進み、Strassenbahnの線路に沿って広い通りを渡って反時計まわりに回り込んでゆくとフォルクスオパーの正面に出ます。上の画像の遠くに見えるグリーンの鉄橋がU6の高架線で、駅はフォルクスオパーの向こう側になります。まあ開演近い時間帯ならば、それらしい人々がぞろぞろ歩いていますからそれについて行けばいいでしょう。


<フォルクスオパーの建物案内>

建物はかなりコンパクトかつ構造はシンプルでわかりやすく、国立歌劇場のような複雑さはありません。正面玄関を入るとすぐにホールがあり、右奥にチケットの窓口があります。更にどんどん行くと1階Parkettの入り口があって劇場内に入ってしまいます。ちょっと大きな映画館かミュージカル劇場という感じです。

休憩時間は出入り自由状態になり、寒くない季節では多くのお客は外に出てあたりをぶらぶらしています。


<フォルクスオパーでのコンサートガイド>

ドレスコードのことなど・・・フォルクスオパーはその名のとおり気軽な劇場です。フォーマルすぎる服装はあまり似合いませんが、かといってTシャツやショートパンツはNGです。気合が入った中国人の団体が揃ってド派手なイブニングドレスを着てやってきましたが完全に浮いていました。立ち見でない限り、男性なら気軽なジャケット着用、良い席ならネクタイくらい締めておくくらいでよいです。

チケットの受け取り・・・フォルクスオパーのチケットはCulturallが扱っており、pdfでダウンロードして自分でプリントするか、国立歌劇場前のBundestheaterkassen(国立歌劇場前売りセンター)で事前に受け取るか、当日劇場で受け取るかのいずれかになります。チケットに関する全体の流れはチケットの予約〜受け取り編にあります。劇場での受け取りは1階入って右正面の窓口で扱っています。当日券もあります。

クローク・・・1着あたり1ユーロで足りたように記憶します。

プログラム・・・ほとんどのページはドイツ語で、英語や日本語のページは一応ありますがわずかしかありません。買いにゆくと「日本語は2ページしかないけどいいか?」と念を押されますが、私は「I know, I know, no problem」と答えています。写真が豊富でそれも最新の歌手が載っており、画質も良いですから買っておくことをおススメします。

立ち席のルール・・・経験がないのでわかりません。

字幕・・・フォルクスオパーの字幕はいろいろなパターンがあります。喜歌劇「こうもり」では歌詞や科白を表示するのではなく「今アイゼンシュタインが怒っている」とか「オルロフスキーの夜会の場面である」という風に場面の説明ばかりするので・・・そんなのは見ればわかる・・・ちっとも面白くないのです。

電車の音がする・・・表通りをStrassenbahnが通過するたびに、ゴーッという音と振動が劇場内に入ってきます。まあ、ご愛嬌ということで我慢です。



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