♪ 比べてはいけない・・でも、比べてみたい ♪

620 vs 75

評価項目620
SLi
75
Connoisseur
ひとこと (*印:コニサーのみ)
全体の雰囲気600シリーズは確かに素晴らしいデザインだと思う。しかし、あらためて75を見てみると、やはり、英国車はこうでなければならない、という気持ちになる。75のデザインには古臭いところがたっぷりとある。それが実に素晴らしく美しいのだ。それに比べると、600は非常に現代的に洗練されている。
600が端正であるならば、75は味わいにはちょっと濃いところがある。ローバーグリルの枠にしても太めだし、鉄人28号風の目玉も眼光やや鋭いものがある。しかし、トヨタのクラウンとほぼ同サイズとはとても思えない小顔であるが、KV6エンジンを収めたボンネットはかなりの厚みがあり、全体に存在感が漂う。
横顔600では、端正ななかにもスポーティーな流麗さが強調されていて、ショーウィンドウに映るわが600の姿を見るのが楽しみであった。75の横顔はP5の面影を強く残している。窓は天地方向に短く、ドアは大きな面積を誇り、総じて気品に風格が付加された。
後姿600と75のデザイン上の最大の違いは後姿である。75の後姿はおしりが下がった伝統的な英国スタイルであり、時代錯誤のようなラインでもある。無駄に後方視界を犠牲にはしていないのだ。こんなデザインのまとめ方ができるのは、世界広しといえども、英国人だけではないか。75のアイデンティティはフロントマスクよりもバックシャン度の高さにある。問題点もある。見る角度によっては、妙に丸っこくなりすぎててしまうのだ。その丸っこさは、ROVER 400のそれと非常に良く似ている。
サイズ1715×4645
1780×4755
620は、実に扱いやすいサイズだった。75は明らかに大きい。しかし、前後左右がまるくなっているため、思ったほどデカくなったという感じがない。1780というと、クラウンよりも幅が広いのであるが、並んで駐車すると、75の方がずっとコンパクトに見える。
インテリア金がかかっているのに、金満ではない。英国かぶれのオーナーにとっては、これほどに快適なインテリアはちょっとないと思う。英国人達が、品の良い英国車はかくあらねばならぬ、とやりたいことをすべてやった結果ではないか。600シリーズでは、さまざまな制約から、あちこちでインテリア・コストを節約しなければならなかったようだが・・・それでも、国産の高級車よりもずっと洗練されている・・・75ではそのような妥協はせずに済んでいる。(厳密なことをいえば、BMW3シリーズの部品をかなり流用しているが、幸いそのことが足を引っ張ってはいない。)
視界75はウェストラインが高いため、窓という窓はやや小さめであり、隠れ家の中から外を見ているようなところがある。前方視界は悪くない。しかし、運転席からみた右前方の視界は、太いAピラーにかなり邪魔されるため、右左折の際の歩行者の存在に気付かないことがある。ドア側の窓枠が異常に幅広であるためだ。もうひとつの問題は、後方視界である。はっきり言って、かなり悪い。というか、通常の走行ではさしたる問題はないのだが、いざ、バックしようとすると、後方がどうなっているのかさっぱり見えない。
車にとって「音」は非常に重要な構成要素であり、価値である。ロックを解除する音、トランクを閉めた時の音、ボンネットを開ける時の音、ドアを開閉した時の音。620が月並みだとすれば、75は、音に関して相当に吟味されている。
剛性×620のボディときたら、ベニヤ板にタイヤを4個つけたようなもんだった。620は、つねにたわみながら、捻れながら走行していた。75は世界が違う。まともである。車の重量はたいして変わらないのに。
エアバッグ620では、運転席、助手席それぞれに各1個のエアバッグが装備されているが、75ではさらに、Aピラーと前席背もたれ脇に側面衝突時に作動するエアバッグが装備された。残念ながら、エアバッグの性能を試すことはまだできないでいる。
エンジン力なしHONDAエンジンに慣れた620乗りは吃驚である。ROVERのハイエンド・モデル75は、1.5トン以上もある巨体(でもないか)を、たかが2.5リットル、177馬力で引っ張るのだ。これが、国産メーカーだったら最低でも3リットル、200馬力を投入するであろう。しかし、これで十分であり、快適であり、驚くほど足の速い車なのである。走行距離は13,000kmを越えた。4,000回転を越えたあたりから、トゥルルルルという心地良い響きに変わる。気持ち良く廻るエンジンである。これから先が楽しみである。
トルク×そもそも、低回転域でのトルクの薄いHONDA製直4 2000ccと、トルクの厚いKV6 2500ccじゃあ、比較にならない。620における欲求不満は、75で完全解決である。
燃費初回給油は47リットル、その時の走行距離は263kmであった。従って、5.6km/l。エアコンはつけっぱなし状態での数字。620では、同じ条件で6〜7km/l程度だと思う。購入当初、東京〜軽井沢〜万座〜志賀高原〜東京を一周する走行距離502kmの遠出における燃費は9.2km/l。その後、走行12000kmの時に、東京〜軽井沢〜佐久〜菅平〜小布施を往復した燃費は11.0km/l。これまでの最低値は、都内渋滞の連続で記録した4.5km/l、最高値は高速道路を中心に720km走って14.21km/l。
ATの構成620は「D4、D3、2、1」、75は表示上は「D、4、3、2」だが実質「D5、D4、D3、D2」である。620では、D4→D3でロックがないのでとても使いやすかったが、エンジンブレーキの利きは甘くあまり使えなかった。75では、D3でほどよいエンジンブレーキがかかり、D2ではかなり強いエンジンブレーキがかかる。ただし、D5→D4、D4→D3、D3→D2すべてにロックがあるのが煩わしい。また、75では下りでブレーキ操作を検出すると、自動的に車速に応じたギアに変わってエンジンブレーキが働くが、これがなかなか具合がいい。75には、2速発進のスノー・モードと、シフトタイミングをずらしたスポーツ・モードがある。スポーツ・モードにすると、75は目も小気味良い加速感を持った速い車に変身する。
シフト・ショック×620の泣き所、1速〜2速のシフトショックは75で円満解決。全回転域にわたってなめらかである。
ハンドル620で、上下角度の調整ができたハンドルは、75で上下角度+前後の調整が可能になった。ハンドルのフィーリングは意見の分かれるところだと思うが、やや重くかつなめらかな620のハンドルに対して、75は少々硬い感じがする。慣らしてゆくうちに変わるかもしれない。ハンドリングに対するボディのレスポンスは、620のややおっとりとした印象に比べて、75はクイックさが目立つ。600も75も回転半径は小さくないから、Uターンではメルセデスのような真似はできない。走行8000kmを越えたあたりから、ハンドルのフィーリングが変化した。初期に気になった固さ、ゴムのようなムニムニした感じがとれてきた。
クルーズコントロール-クルーズコントロールの仕様は、623や800のものと同じではないだろうか。SETボタンでONおよび加速し、RESボタン、ブレーキング、NポジションのいずれかでOFFになる。高速走行時は、非常に重宝する。(*)
足回り×620の足回りは、どうにもバタついてしまって、品がなかった。75では、やや深さを持ったロールとともに、なめらかに路面に吸いつくような走りをする。特に、ゆるいカーブをかなりのスピードで走り抜けたような時、75は「はっ」とするようなしなやかなロールをみせる。フィーリングとしては、路面を正確に拾うタイプで、国産高級車によくある蒟蒻感やふわふわ感はない。
高速安定性湾岸にてちょっとスピードを出してみた。時速ぬえわkm/hでもきわめて安定した直進性を示し、狭い追い越し車線内でも思い通りの位置をすりぬけることができる。そのままアクセルを踏み込んでみたところ、一気に加速してあっという間に時速ぬやわkm/hになった。高速時の加速性能、直進性ともに文句なしである。620では、ぬふわkm/h以上で長時間巡航するとストレスを感じたが、75ではストレスどころか快適そのものであった。
ブレーキ620では、ちょっと踏むとたちまちABSが唸った。75では、そういうこともなく、ちゃんと制動する。75でやっと普通になったということか。ブレーキはかなり重めで、MINIみたいである。従って、渋滞が続くと、右足の太腿の付け根がへばってくる。もっと逞しくならなくては・・・。多くの人に指摘されているブレーキとアクセルの段差問題であるが、全くそのとおりで、アクセルからブレーキに足をすべらすと、ブレーキに当たってしまう。逆に、ブレーキを深めに踏んでいないと、アクセルに踏み変えた時に、足が届かなくなる。底の硬い大きな紳士靴だと・・そう、俺は馬鹿の大足だ・・いよいよ違和感があって駄目。
ドアミラー75のルームミラーは、その形状のせいなのか視認性が非常に良く、悪い後方視界をカバーしている。楕円形のドアミラーは、ちょっと上下の角が欠けた感じがして、視界が物足りない。電動で格納できるのだが、砲弾型であるため、格納してもしなくても出っ張り具合に大差がない。620のドアミラーの風切り音は異常にうるさかったが、75は非常に静かになった。620と75とでは、一長一短というところか。75のドアミラーは時々動かなくなるというレポートがかなり多い。
ワイパー620のワイパーは、時々止めネジがユルんで、高速走行中に動かなくなり、何度か怖い思いをした。75のワイパーで困っているのは、車が停止するとおせっかいにもワイパーまで止まってしまうことだ。雨の日の赤信号で止まったら前がどんどん見えなくなってゆく(実際には、ワイパーは止まってしまうのではなく、車速が7km/h以下になと、ワイパーのインターバルがワンランク長くなるだけのだ)。ビビリというよりけたたましいか怪音を発することがあり、市販のビビリ止めのお世話になっている75オーナーは多い。
ビビリ×620の弱点に、アイドリング時のエンジンの振動の大きさがある。特に、エアコン作動時はかなりひどく、あちこちのパネルや結合部からビビリが出る。日々、ビビリとの格闘であった。75では、そういうことはほとんどなくなった。
乗り心地乗り心地に関しては、国産高級車とは著しく異なる世界であるため、表現に苦慮する。クラウン(セドリックもそうだ)のような、ゴムの上に蒟蒻を乗せたようなくにょくにょした感触は皆無である。「新型ローバーに乗ってきました・・・はっきり言って乗り味は、今乗っているジャガーXよりも快適でしたね。なんだか欲しくなりました。特にツアラーが。」・・・これは、某自動車誌の編集をされている方からのメールです。
エンジンの静かさ620のエンジン始動は騒々しかったが、75は静粛そのもの。620で頭痛の種だった、アイドリング時にエアコンつけた時の異常振動も、75では皆無。しかし、クラウンなどと同じ基準でものを考えてはいけない。しかし、強い加速をすると結構アグレッシブなトーンで吠えてくれる。
ロードノイズの静かさ620は足回りからのノイズの侵入が多かったが、75ではある程度対策が施されている。ただし、ローバー車の常として、標準タイヤはうるさい。これは、そもそもGOODYEARなんていうタイヤをはいているからで、レグノに変えれば驚くほど静かでジェントルになる。
風切り音の静かさ620のドアミラーが風切り音が大きく、しかも窓ガラスが薄かったから(600は前後ともに3mm)、ノイズがもろに侵入した。75はこれをちゃんと解決している。ドアミラーの形状が工夫されたのと、窓ガラスの厚さも620の1.5倍くらいある(75は前が5mm、後ろが4mm)。
セキュリティ賛否両論ある620のセキュリティ・システムであったが、75では、超音波監視がなくなり、赤いピコピコランプも廃止されてしまった。泥棒威嚇効果がないのは面白くない。なお、ドアロックしたままでバッテリーが上がると、ドアは開かなくなるらしい(レバーを2度引けば開くという)。
トラブル検知-ヘッドランプやウィンカー等の球切れを知らせる警告灯がある。尾灯が球切れを起こすと、ブレーキランプを使って代用点灯してくれたりもする。ブレーキパッドの磨耗、ウォッシャー液切れなど、ま、とにかくあれこれ知らせてくれる。ブレーキランプの球切れは非常に多いトラブルであるから、こういう警告機能があると実に助かる。620にはこういう機能は皆無だった。
燃料計600の燃料系は、満タンにするとメーターは振り切れてしまい、振り切れた分で10リットルくらいはみだしていた。また、残量が15リットルくらいで警告灯が点灯した。75では、満タンにすると、メーターは最大メモリをきっかり指す。48リットル(すなわち3/4)消費した時の燃料計のメモリはきっかり1/4である。燃料の残量表示は、上1/4と下1/4ではメーターの動きは遅く、中半での動きは速い。そして、残量約10リットル(取説では9リットル)で警告灯が点灯し、メーターがゼロを指すと、ほんとうにエンジンが止まった。さばを読んでいるのはEmpty付近で、5〜7lくらいを消費するまでは、メーターの針は動き出さない。
表示-75のアナログ式の時計のデザインは素敵である。外気温度の表示があるのも重宝する。車内のあちこちの操作ボタンの多くが、暗闇でもほんのり明かりがつくようになっていて。アールヌーヴォー調のクリーム色のメインメーター類はそれだけでも見ていて気持ちが良いのであるが、これが夜間ともなると背面からやわらかいオレンジ色で照らされるのだ。ここまでくるともう芸術。
自動お節介機能-CDオートチャンジャーをセットすると、いきなり1枚1枚CDのチェックをはじめる(*)。寒い日のエンジン始動直後は、リアウィンドウのヒーターが暫くの間勝手にONになる(外気温10℃以下だと20分)。エンジンを切っても、しばらくの間は電動シートや電動サンルーフを動かす電源は生きている(*)。間欠ワイパーのタイミングは車速によって勝手に変化する。シートを前後に動かすと、シートベルトの付け根の位置が勝手にスライドする。
ルームランプ感心するのはルームランプの挙動。ドアを開けるとルームランプが点灯するのはどの車でも普通のことだと思うが、ROVER車の常として、ドアを閉めてもすぐには消えないで、十数秒経ってからおもむろに消えるという配慮がある。さて、夜間走行して家のパーキングに着いたとする。エンジンを切ってからドアを開けるまでのわずかな間、車内は暗闇になるではないか。であるからして、75は、エンジンを切るとすぐに気を利かせてルームランプを点灯してくれる。もちろん、昼間にエンジンを切った時にも点灯してしまうなんていうドジはしない。
ヘッドランプ75のヘッドランプは、前方をかなり明るく、満遍なく照らす。しかし、点灯スイッチがハンドルレバーにはなく、右手下方の遠いところにあるロータリー・スイッチであるのが×。トンネルが連続するような高速道路でのON/OFFはちょっと煩わしい。変わった機能としては、光軸修正機能というのがついている。トランクに重い荷物を載せたような場合、ヘッドランプは少々上方を向いてしまう。そういう時のために、光軸を下方に修正できる。こういう機能がどれくらい役立つのかどうかは、運転経験の未熟な私にはわからない。時々、このダイヤルが回ってしまって、光軸が下を向いていることがある。
エアコン×620のエアコンは利かなすぎたし、噴出し口によってむらがあった。75のオートエアコンは、すこぶるインテリジェントで、車内を左右の2空間に分けて自在に温度制御でき、ダッシュボードに太陽が当たると、その部分への風量を増やすなど、なかなか賢いところがある。しかし、かんかんに暑い日になると冷房が追いつかなくなるあたりは、620を思い出してしまう(620のエアコンよりはずっと強力です!)。
電動サンルーフ-'97モデルから620の電動サンルーフは廃止されてしまった。75でも、クラブにはついていない。75では、ヘッドクリアランスが十分であるため、サンルーフは邪魔にならず重宝する。風切音がないのもGOOD。ただし、しばらく動かさないでいると言うとおりに動かないことがある。(*)
トランクスルー620のトランクスルーは実に重宝したが、75のトランク・スルーでは、後席が徹底してばったり倒れるのでより使いやすくなった。また、後席に2人が座ったままで、センターアームレスト部分だけをトランクスルーさせることもできる。(*)
電動リアサンブラインド-スイッチひとつでするすると出てくるリアサンブラインドは、後席への日射を防ぎ、後続車からの不快なヘッドライト照射をかわすのにとても重宝する。これ一発でプライバシーのある空間が得られるわけ。また、これを上げておくと、後続車からこちらの車内の様子がわからなくなるせいか、後続車にいじわるされなくなる。思った以上に重宝している。(*)
ドリンクホルダー620には、前席のみ、ドアポケットにドリンクホルダーもどきがあった。エンジンの振動がドアに伝わってくるため、サイズが合わないとガタガタとうるさい。75では、前席インパネ下部より、ロボットの腕のようなドリンクホルダーがにゅるっと出てくる。試乗レポートでは,、足に当たるとか言って不評らしいが、私は気に入っている。我が家で愛用しているおしゃれなグラスがぴったり合うから・・・75では缶入りの飲料なんか飲まないのだ。後席中央下部からも、ドリンクホルダーがにゅるっと出てくる。さらに、後席肘掛の中にもドリンクホルダーがある。
オーディオ×620のねぼけたしまりのない音にはまいった。75では、前後席ごとにスピーカが配置されており、どこにいても良い音が楽しめるだけでなく、そもそも非常に音が良い(*)。ハンドルにもオーディオ操作ボタンがついたため、オーディオ操作のための運転への神経の集中がそがれにくくなった。アンテナがなくなったのも。ただし、CDオートチャンジャーがグローブ・ボックスを占領しているのは×(*)。
運転席620のシートだって、他社の車に比べれば秀逸であったが、左右方向のサポートが弱かった。75では、左右方向のサポートが改善されているだけでなく、ヘッドレストの位置が絶妙で、後頭部をほどよくサポートする。東京〜軽井沢〜万座〜志賀高原〜東京を一周する走行距離502kmの日帰りドライブをしたが、シートによる疲れはなし。文句なしに◎。
パワーシート-コニサーのパワーシートは、調整範囲がきわめて広く、3人分のシートポジションを記憶する。車外からリモコンキーでアンロックした際に、ドアを開ける前に、キーの持ち主によってシートポジションを識別して自動セットしてしまうウルトラCをやる。(*)
助手席620では、助手席にはランバーサポートがなかったため、ロングドライブでは助手席側が先に疲労した。75では、助手席にもランバーサポートがつき、パワーシート化された。620では、ウィンドシールドがあまりに大きかったため、助手席への日当たりが強すぎて、女性にとっては過酷な環境であったが、75では、そういう問題は大幅に改善された。
シートヒーター-雪国でもないのにシートヒーターなんかあっても無駄ではないか、と思っていたが、実際に使ってみてそのありがたみがよくわかった。ONにすると一気に暖まってきて、以後はほどよい温度を維持してくれて、そのうち自動的にOFFになる。車内の気温を低めにしてシートヒーターを使えば、眠気を催すこともない。
後座席620では、太腿部が浅くてサポートが弱かったのと、背もたれが反ったようになっていて、ヘッドレストの位置が変だった。しかも、リアウィンドウが頭上まで伸びているため、日射がきつかった。75では、太腿全体をサポートできる深めのシート、包み込むような居心地、ちょうど良い位置のヘッドレスト、とあらゆる点で改善されている。日射にさらされることもなくなり、後座席の居心地の良さは特筆に価する。ただし、静粛性においては、国産高級車のようなデッド・サイレントを期待してはいけない。
乗り降り620では、前席でも後席でも、乗降の際に靴がひっかかりやすかった。おかげで、ドアの周辺には靴による汚れ跡がたくさんついてしまった。75では、乗降の際に靴がひっかかることがない。実にスムーズである。
メンテナンス-75では、新車の場合も、エンジン・オイル交換は走行距離24000kmまで不要であるというが、これは鵜呑みにしてはいけない。そして、エンジン・オイル交換時期や、定期点検時期が来ると、「ぼちぼち、エンジン・オイル交換しませんか」とか「ご主人様、そろそろ定期点検とちがいますか」などと表示が現れて、オーナー殿に意見する。

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