ROVER 75

photo by よりさん 2002.6.16

"ローバー"に乗るということは、流行を追ったり、周囲の意見や視線を気にしたり、皆と同じでいたいと思ったり、そういう考え方とは異なる生活観・価値観がベースとなっているということに気がつかなければなりません。高い信頼性、迅速な修理、安価なメンテナンス、なんていう常識的なサービスを要求する正しい日本人であるあなたは、間違ってもROVERなどという英国車に手を出してはいけません。しかし、あえてROVERを選ぼうとしているあなたは、きっと、多くの国産車のコストに縛られたデザインの凡庸さや、エレクトロニクスが目的化してしまった贅沢機能や、様式感が欠落したままの偽豪華内装に疑問を感じ、自らの感じるままに行動しようとしているのだと思います。実に、自らの感じるままに行動するということは、とても勇気のいることなのです。

75にしてから、後席の利用頻度が激増した。セダンがこんなにも楽しく、居心地の良い車だったとは・・・

♪よりよきローバーライフのために♪ 「ROVER 75 オーナー心得」 2008.1.10

♪いまさら書くのもなんですが♪ 「ROVER 75 インプレッション」 2001.10.11

♪私の/あなたの♪ 「ROVER 75 トラブル&メンテナンスお助け情報」 2005.2.27

♪英国車の謎♪ 「ROVER 75 七不思議」 2001.11.13

♪知られざる♪ 「ROVER 75 隠し機能」 2002.4.7

♪作ってみよう♪ 「ROVER 75 ヘッドレスト・カバー」 2002.4.11

♪流石、英国のカタログはこんな感じ♪
「ROVER 75 UK Original Catalogue / Specifications(主要諸元)」

♪比べて見たい / 比べてはいけない♪ 「620 vs 75」 2001.7.13

「EURO NCAP Safety Test Report」 2001.6.9 / 「運輸省燃費データ」

♪ROVER 75のすべて♪ 「ROVER 75 テクニカル・データ」


♪ いつまでも大切にね ♪
我が家のROVER 75メンテナンスの記録


賛否両論分かれるところのオレンジ色のインパネ照明。

◆5600km ・・・初回オイル交換は是非とも(もっと)早目に!
マニュアル上では、通常走行の75は走行24,000kmまでオイル交換は不要とあります。しかし、大切な75を維持してゆくのに「それはないだろう」というのが私の感想。そこで、走行5600kmで、オイル及びエレメントを交換してもらいました。しめて約20,000円。ちょっと高いな。

その結果は・・・やっぱり、やってよかった。ずっと、1500rpm〜2000rpmあたりの低速域での加速時のゴロゴロ感が気になっていたのですが、これがきれいにとれて振動は見違えるほどに減ったし、全般的にもシルキーさが出てきました。こういうスムースな感じは納車以来経験したことがありません。KV6エンジンってこんなもんなのかな、と思っていたんですが、やっと今になってこのエンジンのフィーリングがわかってきたというわけです。75オーナーに皆さん、75を末永く乗るつもりならば、早目に初回のオイル交換してあげましょう。

◆9,000km ・・・おさらば GOODYEAR
ROVERサルーンおなじみの駄タイヤ"GOODYEAR"とおさらばする日が来ました。納車時に標準でついてくるGOODYEARは、荒れた舗装路面でたちまち馬脚を現わし、ゴウゴウと大きな音を立ててくれます。ゲストをお乗せした時などは、ロードノイズの大きさを指摘されるのではないかと実にひやひやものでした(実は、口に出しこそしないまでも、どなたも、この車は内装の上品さの割にはうるさいなあ、と思っていたらしいです)。

「ROVER 75の掲示板」のみなさんの何人かが、さっさともっと静粛なタイヤに履き替えているというお話を聞き、私も、約9,000kmの付き合いのGOODYEARとおさらばする決心したのでありました。さて、どのタイヤにするかですが、どうやらBSのREGNO GR-7000が人気のようです。静粛なだけではなく、粘りがあるといいます。私も、一旦は気持ちがREGNOの動いたのですが、AQドーナツの減りの速さがどうしても気になり、結局、YOKOHAMA DNA dBを選ぶことにしました。インターネットで近所でYOKOHAMAタイヤを扱っている店を調べて、いきなりおしかけました("http://www.yrc.co.jp/")。金額は工賃、税金込みで57,000円。店主によれば、静粛性ではDNA dB、持ちの良さではミシュランだということです。

さて、インプレッションです。はっきりいって、静かです。GOODYEARとは比較にならないくらい静かでジェントルです。今までは、「エンジン音<タイヤのロードノイズ」だったのですが、今では逆転して「タイヤのロードノイズ<エンジン音」となりました。ROVER製KV6エンジンの心地よいサウンドが聞こえてくるようになりました。車を運転しているのだ、という悦びが伝わってきます。悪いことは言いません。今すぐ、(借金してでも)GOODYEARとおさらばしましょう。

◆13,000km ・・・12ヶ月点検
2001年7月、ぶつけてしまった個所の修理を兼ねて、走行13,000kmのわが75を世田谷サービスセンターに12ヶ月点検に出しました。

気になっていた不具合は、納車以来点灯したことのないハイマウント・ストップ・ランプ、右サイドウィンカー内の結露、フロントドア上部の樹脂部のビビリ、エンジン始動後負荷時のボンネット内カラカラ音の4点。ハイマウント・ストップ・ランプは、ランプユニットの不良だった。サイドウィンカー内の結露は、ランプハウス交換。樹脂部は増し締めして様子見。カラカラ音はアイドラープーリーを交換して様子見、となりました。

12ヶ月点検ですが、交換部品なし、工賃のみで¥31,500。エンジンオイル交換は2度目になりますが、オイル代が¥7,500、工賃は¥1,500でした。結局支払った合計は、消費税込みで¥42,840。 ブレーキパッドの残りは、前6.8mm、後7.4mmありましたので、交換しませんでした。

◆22,000km ・・・ブレーキパッドとエンジンオイルの交換
2002年4月、走行22,000kmにしてブレーキパッド警告灯た点灯しました。太陽マークのこの警告灯がつくのははじめてです。それから、前回のオイル交換(2回目)が13,000kmだったので、ぼちぼちタイミングかなとも思っておりました。ROVER 75のコンピュータは、オイル温度と走行距離をベースに「あと何kmの走行でオイル交換しなさい」という情報を計算して(エンジン始動時に)表示してくれますが、我が家の場合は19,000kmで交換時期がきました。おりしも、75の定番トラブルである「ドアロックの動きが渋くなる」というのが助手席側ドアで発症し、運転席側ドアに広がったのでこれも見てもらいましょう。RSCに電話をしたら、こちらの都合がつき次第いつでもどうぞ、とのこと。一泊の入庫となりました。

交換直後のブレーキパッドの調子はすこぶる良好で、鳴きもなく、停止時もスムーズです。エンジンオイルを交換した結果、気になっていた振動が激減し、静かさが戻ってきました。ドアロックは、運転席側は非常に調子良くなりましたが、助手席側はいまいちの感じがします。様子を見て、再度の持ち込みになるかもしれません。

◆これまでのまとめ


自動車評論等の業界・マスコミ関係へひとこと

この車は英国車であり、しかもローバー製である。ローバーからいつもよりもちょっと出来の良い車が出たからといって、調子に乗って、まともな独逸車などと足回りなどを比較しないでいただきたい。英国紳士と独逸軍人を並べて、一体何を比べようというのだ。それから、パネルがはがれたとか、めっき部品がとれたとか、そういう程度のことで騒がないで頂きたい。走っているうちに、いろんなものがとれるのは、英国車としてはよくあることなのである。しかるに英国車のオーナーは、そういう時のために、例外なく愛車のトランクに両面テープだのガムテープだのを載せているのだ。


75はHONDA系のROVER車にはなかった、存在感のあるがっしりとした体格を持ち、それが走りにも現れている。

自動車評論等の業界・マスコミ関係へもうひとこと

ROVER 75というと、必ず話題になるのがその内装である。多くのローバーサルーンが当たり前に装備しているあの内装に対して「豪華」だなんて言うのはやめていただきたい。豪華でもなんでもない、ちょっと趣味が上品で、質が高いだけではないか。床と椅子の文化圏において、少々の教養と、ちょっと背伸びした趣味の良さと、誰もが好感を持つような上品さを求めたならば、家庭のインテリアにおいてもあの程度のものになるのは至極当然なことなのである。ROVERサルーンを選ぶということは、自分が住んでいる住宅環境と、車のセンスとをマッチさせただけのこと。

だから、「豪華」などと騒がないでいただきたい。そもそも、ローバーサルーンの内装について「豪華」という表現をすること自体、美的感覚があさってを向いているといわざるを得ない。倫敦にあるホテルやBBの内装を見たらすぐにわかる。お手軽料金のBBであっても、家具や調度、カーテン、食器に至るまで、日本のホテルがとても及ばないくらい、ちゃんとコーディネートされているではないか。ROVERというのは、そういう国民が作ってきた車なんである。


75のカップホルダーはグラスが似合う。缶飲料なんかを置いてはいけない。

スマート・ローンの顛末〜雹害車〜皆既月食の晩に何かが起こる


75のシートのヘッドレストに合わせて作ったカバー。パイピング・パターンが特殊で合わせるのが難しい。
とにかく、うちのおくさんは器用なのである。ちょいちょいと採寸してあっという間に作ってしまった。
洋裁の心得のある方には型紙のコピー差し上げます。

1997年、43歳にして運転免許を取り、いきなり"ROVER 620"などという英国車の虜になってしまった私であるが、当初は、その620をずっと乗りつづけるつもりでいた。そして、購入時は、例のROVERスマート・ローンというやつを使った。価格の1/3程度を最終回まで保留にした3年ローンを組み、最終回を前にして、(1)車を返却してチャラにするか、(2)残金を支払って車を100%自分のものにするか、決めるというシステムである。しかし、ご存知の通り、返却時の査定ひとつで車のオーナーは何万円、十何万円、あるいはそれ以上の負担をしなければならない。思ったほどに高くは引き取ってもらえない。ROVERのように、世間一般に流通していない車は、中古車としての販売に非常なリスクが伴う。3年後に一体まともな下取りに値する車であるかは、全くの賭であろう。であるから、スマートローンを選んだからといって、3年後にまともな価格で引きとってもらおうなどということは微塵も考えてはいなかった。HONDAのエンジンを積んだROVERなんて二束三文だろうな、くらいに思っていたのだ。長く乗りつづけるつもりだったから、そんなことは関係のない話だった。

3年目を迎えること数ヶ月前、ローン会社から「意思表示をせよ」というメールが来たので、迷わず「残金を支払って乗りつづける」旨の意思表示をした。エンジン絶好調といえどもあちこちがへたってきている感じがするし、ローンの意思表示の確認確認ついでに、相談して工場に入れようかな、くらいの気持ちで、ある日、かみさんと一緒にディーラーをたずねた。

今や、BMWの策略によってローバーディーラーの店内には、MGも200から800までのローバーも1台もなく、あるのはMINIとRANGE ROVER関係とそして75だけだった。せっかく来たんだから、ということで「75に乗ってみたい」と言ったところ、営業氏は「そんなことしたら、気が変わっちゃいますよ」とおっしゃる。やっぱり乗ってみたいじゃないですか、というわけで、75の試乗をしてしまったわけ。で、かみさんが一発で気に入ってしまったらしい(ということにしておく)。そこですかさず、営業さんからひとこと。先日の雹に遭った車を雹害車として割り引きするという。もちろん、完全に修復しての引渡し。駄目駄目、75なんて少々値引きしたところで、そんなもん買えますかいな。雑談するうちに、今でも、New British Racing Greenの600は人気があるのだという話になった。つまり、(格好良く言うと)我が620も、好きで大切に乗ってくださる方がかなりいらっしゃる、というわけである。ああ、こういう言葉に弱いのだ、私は。「75でもClubだったら、なんとかならないかな」などという不謹慎な考えがよぎる。

帰宅したものの、どうにも気持ちは"75"である。家族全員「(お金さえあるなら)欲しい」コールである。ああ、悪魔のような家族だ。こういう時、一家の主たる私は冷静であらねばならぬ。そこで、パソコンを取り出し、Excelを起動する。車両の価格、値引き額、消費税、登録諸費用、ローン金利等々を入力すると、月々のローン支払い額が出るしかけを作ったりしてみる。そこであたりまえなことに気がついたのでした。620のローンの最終回のために取っておいた約100万円は、75に買い換える際のローンの頭金になるではないですか。ほう、そういうことだったのか。と、その時、電話が鳴りました。かみさんの友人からの電話です。「皆既月食がはじまってるわよ。」そうだった、今日は皆既月食の日。早速ベランダに出て、今、まさに闇に包まれようとしている天空を見上げます。月はみるみるうちに痩せ細り、やがて、宇宙は闇に包まれました。満月の夜には何かが起こる。ましてや、それが皆既月食ともなれば、大事件が起こるに決まっている。そして、そのとおりになった。


我が家の玄関先にて。75の後ろにいるのはMINI Mayfair'92。

* * *

※高い査定の条件・・・改造しないこと。ローバー指定工場で、定期点検を欠かさないこと。大きな傷などはローバー指定工場で必ず修理しておくこと。内装は汚さない、傷つけないこと。ホイールをいつもきれいに、そして傷をつけないこと。余計な器具を取りつけないこと。ディーラーと仲良くすること。ローバー車を愛し、乗り継ぐこと。

※雹(ひょう)害車・・・素人考えだと、雹(ひょう)のひどいのを食らったら、ぼこぼこになってしまって板金でもしないと駄目みたいに思えますが、実態はそうではありませんでした。それに、雹害に遭った車はちゃんとシートをかぶっていたとのこと。事実、引渡し時に、雹害についての説明があり、無傷の状態の車を引き渡す旨の書面が提示されました。そりゃそうだよね。

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