Book Review

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独断書評


THEORY AND APPLICATIONS OF ELECTRON TUBES HERBERT J.REICH, PH.D.著/McGRAW-HILL BOOK(1939) 2004.12.30d
魅惑の真空管アンプその歴史・設計・製作(上・下巻) 浅野勇監修/誠文堂新光社 1998.3.23 Updated
オーディオ用真空管マニュアル 一木吉典著/ラジオ技術社 1998.3.23 Updated
アース回路、アースと雑音、アースと熱(計3冊) 伊藤健一著/日刊工業新聞社 1997.10.3
電子回路部品活用ハンドブック トランジスタ技術編集部/CQ出版社 1997.9.20
電子工作の素 後閑哲也著/技術評論社 2008.6.6
トランジスタ技術 SPECIAL No.1 特集個別半導体素子活用法のすべて CQ出版社 1997.9.20
はじめてのトランジスタ回路設計 黒田徹著/CQ出版社 2002.2.22
SMALL SIGNAL AUDIO DEISGN DOUGLAS SELF著/Focal Press(2010.3) 2010.12.26
電子回路シミュレータ PSpice入門編 棚木義則著/CQ出版社/1890円 2007.8.31
真空管アンプと喜多さんの 音響道中膝栗毛 伊藤喜多男著/誠文堂新光社 1997.9.20
真空管アンプと喜多さんの 音響道中膝栗毛 伊藤喜多男著/誠文堂新光社 1997.9.20
ラジオ技術4月号別冊 真空管パワー・アンプ作品集 佐藤定宏著/ラジオ技術社 1998.3.23 Updated
デジタル時代の真空管アンプ 完全製作12例 黒川達夫著/誠文堂新光社 1997.9.20
現代真空管アンプ25選 黒川達夫著/誠文堂新光社 1998.3.23
はじめての真空管アンプ 黒川達夫著/誠文堂新光社 2004.4.28
米国系真空管アンプのすべて & 欧州系真空管アンプのすべて 渡辺直樹著/誠文堂新光社 2002.11.16 Updated ・・・(謎解きページはここ
クラシック・ヴァルヴ 大塚久著/誠文堂新光社 1998.3.23 Updated
世界の真空管カタログ 真空管データ7200種 編纂山川正光/誠文堂新光社/7800円 1997.9.22
真空管アンプ完全設計法 百瀬了介著/ラジオ技術社 1998.3.23 Updated
最新トランジスタ規格表 & 最新ダイオード規格表 CQ出版社 2004.4.28
オーディオクラフトマガジンNo.6 2万円でつくる真空管アンプ 誠文堂新光社/1500円 2004.4.29
デジタル・レコーディングの全知識 Claudius Bruese著/リットーミュージック/1995円 2008.8.31
良い録音を行うための レコーディング・ミキサー心得帖 荻野宜邦著/リットーミュージック/1995円 2008.8.31
一枚のディスクに レコード・プロデューサーの仕事 井阪絃著/春秋社/2100円 2008.8.31
PUTTING THE RECORD STRAIGHT レコードはまっすぐに―あるプロデューサーの回想 John Culshaw著/学習研究社/3780円 2008.8.31


THEORY AND APPLICATIONS OF ELECTRON TUBES
HERBERT J.REICH, PH.D.著/McGRAW-HILL BOOK(1939)

2A3や300B、6F6、6L6が登場したのとほぼ同時期に書かれた真空管回路の古典書であるにもかかわらず、書かれている内容は今読んでも全く古さを感じさせない、というより、今の私達がいかに浅い知識で何も知らずにアンプ作りをやっているか恥ずかしくなってきます。
負帰還の理論、プッシュプルにおける正しいロードライン(湾曲する)、等価回路、位相の問題、方形波応答、整流回路における残留リプルの計算法、オシログラフの動作原理・・・こういったものは1938年においてすでに確立していたことがよくわかります。当時の限られた素子や部品、測定器でよくここまで検証できたものだと驚かされます。
いまどき、私達は、茄子管やST管を使って古典回路などと称して古臭いアンプを作ったりするわけですが、実に、当時の回路技術はもっと斬新で挑戦的なものであったとういうことです。決して、黴のはえたような古臭い回路ではありませんでした。


魅惑の真空管アンプその歴史・設計・製作(上・下巻)
浅野勇監修/誠文堂新光社

自作アンプを楽しむ者にとっては「バイブル」といっていいでしょう。文章の格調、製作者の心意気、探求心、バランス感覚において傑出しています。高価なブランド部品や特注部品、これみよがしにおおげさなデザイン、人を驚かすような極端な設計には縁のない世界です。身近に入手できるエコノミーなシャーシを使い、ピンのぬけた真空管ソケットを再利用し、手元のトランスを生かして使う。そこから滲み出る職人気質と味わいのあるアンプ群は、我々凡人にはなかなか真似ができません。
古典回路を多用していますが、決して懐古趣味ではありません。しかし、今日的なハイ・パフォーマンスを追求する向きには、参考にはなっても、回路のコピーはおすすめしません。全体的に、周波数帯域がやや狭いのと、100kHz以上の超高域での検証が充分ではありません。
本書は、回路そのものを真似るよりも、アンプ全体の持つまとまりの良さ、バランス感覚、回路上のちょっとした配慮等を学んで自分のセンスを磨くためのこやしとすべきでしょう。また、このような本にありがちな筆者の思い込みや勝手な推測がほとんどないのは特筆すべきことかもしれません。また、真空管の由来、特性データ、稼動実測データ等が豊富なのも大いに参考になります。


オーディオ用真空管マニュアル
一木吉典著/ラジオ技術社

真空管データブックとしてポピュラーなものの筆頭でしょう。これさえあれば、かなりの真空管のデータが揃います。プレート特性データが豊富なので、自分で回路定数を計算したい人には大助かりなはずです。本文では、真空管動作の基本がしっかり書かれているということのほかに、真空管管壁温度(P8)、構造に関する記述(19〜/P111〜)、NFBのある時の動作点のずれ方の記述(P85〜)、スクリーン最大定格(P93〜)、歪みの原理(P119〜)、グリッド電流の原理(P147〜)、これらは類書にはない重要な情報です。
残念ながら、受信管索引(緑色のページ)のページ番号と、実際にデータが掲載されているページがあちこちで間違ってるので注意が必要です。また、やむをえないことかもしれませんが、ところどころで記載データに明らかに間違いがありますが、ここまでデータを一本化してまとめたことは高く評価すべきです。私は、真空管の基礎について本書から多くのものを学びました。


アース回路、アースと雑音、アースと熱(計3冊)
伊藤健一著/日刊工業新聞社

真空管に限らず、自分で電子回路を作ろうとする者にとって必携の書です。アンプの回路図からは決してわからない、配線の実装技術が濃厚に詰まっています。アースのしくみ、雑音発生のメカニズム、雑音防止のテクニック、部品から発生する熱の機器に及ぼす影響、トラブルの発生メカニズム、これらを考慮したプロの実装テクニックのオンパレードです。
私事ですが、本書を読んでから製作したアンプでは、ハム等のノイズに悩まされることは滅多になくなりました。マイクロボルト・クラスの信号を扱うMCカートリッジ用ヘッドアンプや複雑な構成のプリアンプであっても、余裕で高S/Nが得られるようになったのは、一にも二にも本書のおかげです。
* * *
このページにアクセスされた方が直接に日刊工業新聞社出版局販売部にお問い合わせされたところ、この書籍は現在廃刊となっているという情報をいただきました。とても充実した内容の本ですから、現在お持ちになっている方は大切になさってください。

* * *
「紀伊国屋書店のHPのオンデマンド本(注文をうけてから作ってくれるそうです。)のコーナーにて3冊とも販売されておりました。(¥2200〜¥2400)納期は2週間ほどかかるらしいのですが、品切れ、在庫切れということはないそうです。」という情報をいただきました。
紀伊国屋のサイトでご確認ください。


電子回路部品活用ハンドブック
トランジスタ技術編集部/CQ出版社

受動部品(抵抗器、半固定抵抗器、コンデンサ、インダクタ、コネクタ、スイッチ、リレー、トランス、放熱器、電池等)に関する基本知識にはじまって、さまざまな詳細データに至るまで重要な情報がふんだんに盛り込まれた、部品利用バイブルともいえる本です。本書のおかげで、ジャンク屋に並んでいる怪しげな部品の正体を見破ったり、思わぬ掘り出し物にありつけるようになりましたし、ブランドや価格に惑わされることなく、部品選定ができるようになりました。
類書に「トランジスタ技術 SPECIAL No.40・特集電子回路部品の活用法ノウハウ/CQ出版社」があります。


電子工作の素
後閑哲也著/技術評論社

回路図の見方・描き方、部品の構造や使い方、半導体やOPアンプを使った回路の基本、工具や測定器の使い方、部品の実装・取り付け方法など、電子回路の工作に必要な基本的知識が詰まった一冊です。真空管回路に関する記述は全くありませんが、それ以前の問題として基本的かつ重要なことがらについて簡潔に解説されているという点が本書の優れた点です。


トランジスタ技術 SPECIAL No.1
特集個別半導体素子活用法のすべて
CQ出版社

能動部品(ダイオード、定電圧ダイオード、定電流ダイオード、発行ダイオード、トランジスタ、FET等)に関する基本知識にはじまって、さまざまな詳細データに至るまで重要な情報がふんだんに盛り込まれた、部品利用バイブルその2ともいえる本です。
アンプにおいて半導体を使用する場合、温度特性や最大定格に関する知識は回路の安全性や安定度を大きく左右します。そもそもどのような性質を持っているのか、動作条件によってどのようなふるまいをするのか、このような疑問に応えてくれるありがたい一冊です。


はじめてのトランジスタ回路設計
黒田徹著/CQ出版社

「いまどき個別半導体で回路を組む人があるでしょうか。OPアンプがあるのに・・」ではじまる本書は、あえて個別半導体の動作を取り上げた基本書です。非常に高度かつベーシックな内容は、真空管アンプビルダーにも是非読んで欲しいです。


SMALL SIGNAL AUDIO DESIGN
DOUGLAS SELF著/Focal Press

最新のアナログ・オーディオ書ですが、すたれつつあるPHONOイコライザの設計から業務用のミキシング・コンソールまで、トランジスタ1個のディスクリート回路からOPアンプの応用まで、幅広い領域について詳説した面白い本です。机上の計算だけでなくいたるところに実測データが使われており、わかりやすく構成されています。


電子回路シミュレータ PSpice入門編
棚木義則著/CQ出版社/1890円

ポピュラーな電子回路シミュレータ「PSpice」をはじめて使ってみようという方はこの本がいいと思います。PSpiceは、使い方にちょっとしたこつが必要なので、ソフトだけ手に入れてもなかなか思い通りに動いてくれませんが、こういうとっつきやすい入門書があれば悩み解消です。


真空管アンプと喜多さんの音響道中膝栗毛
伊藤喜多男著/誠文堂新光社

音響道楽で人生を貫いた江戸男の心意気を感じる、いわずと知れた伊藤喜多男氏の名著です。
曰く「配線作業・・・この作業をさせるためにそこにシャシーがあって、部品が並んでいるという何とも主客転倒の形でペンチを握るのが私である。」、曰く「騙されるということは騙されなくなるための修行である。」。著者自身によるイラストが素晴らしい。


真空管アンプと喜多さんの音響道中膝栗毛
伊藤喜多男著/誠文堂新光社

「古今東西を問わず優れた芸術品を鑑賞するとき、価値判断するためには自から作法があるものだ。」、「玩びをたくさんするほど、ちがいのわかる人になります。」、「これから購おうとする機械のさわり具合も、選ぶ上には大きな条件となります。」、「美しさを知らずに手に入れる愚かさと、美しくする術を知らずに手を出す無謀さ・・・」、「捨ててしまう材料を拾い上げて食べさせるには高度の技術と長い時間を要する・・・棄てた方が得なのに頑固に抵抗して使うのである。」
あとがきがすべてを語っています。「愚者千人に讃められんよりも、数寄者一人の笑われん事を恥ずべし。」


ラジオ技術4月号別冊真空管パワー・アンプ作品集
佐藤定宏著/ラジオ技術社

自作アンプ記事のなかでは、傑出した力作でしょう。EL34/6CA7(T)シングル・ステレオ・アンプの製作などは圧巻というべきです。真空管データも随所に盛り込まれており、2A3族・6L6族等の同型管のヴァリエーションも充実しています。惜しむらくは、どのアンプも回路構成(特に電源回路)がやや複雑であるため、初心者がコピーして製作することは困難かもしれません。また、直結回路を多用していますが、精密な調整が必要なもの、球のバラツキや経年変化によって動作が安定しない構造の作品が多いのも気がかりです。
自分で真空管アンプを設計しようとされる方は、本書の回路やデータを徹底的に解析されたらいいでしょう。ロードラインの引き方の「こつ」が身につくと思います。(私がそうでした)


デジタル時代の真空管アンプ完全製作12例
黒川達夫著/誠文堂新光社

個性の強い製作例のアンプ群です。特徴的なのは、電圧増幅段の回路インピーダンスが極端に低く設定されていること。それは、製作者の意図として、数百kHz帯にまでおよぶすぐれた高域特性を実現しようとしたからであり、ほとんどの製作例がその目的を達しています。本書が「デジタル時代の真空管アンプ」と題されていることのゆえんです。読者が学ぶべきことの多い本です。
惜しむらくは、プッシュプル回路におけるロードラインの引きかたについての解釈に疑問があると思われることです。一方で、評価すべきはすべての作例において、クロストーク特性をていねいに測定し、公開しているという点です。また、巻末に7591、6DJ8/ECC88、5687、6350、6922/E88CC、7119/E182CC、7308/E188CCのデータがありますが、これらの球のデータは他の書籍でも入手困難ですので、なかなか価値があります。

ハイライト

  • 電圧増幅段には、6DJ8、6350、5687といった低rp高gm管が一貫して選択されており、高域側は、おしなべてすぐれた広帯域を得ている。
  • プッシュプル・アンプでは、マラード型位相反転のカソード側を、5極管や定電流ダイオードを使って定電流化している。
  • 同じく、マラード型位相反転のカソード側を、マイナス側に引き込むことで電源利用効率を高めている。
  • シングル・アンプは、P-K帰還とカソード帰還の併用タイプが2題。


現代真空管アンプ25選
現代管を使いこなすための設計手法と25の製作例

黒川達夫著/誠文堂新光社

前著「デジタル時代の真空管アンプ」以来、旧知の回路をデッドコピーするのではなく、かといって奇をてらったこけおどしをするでもなく、現代の回路技術を堅実に積み重ねて今に通用するレベルの真空管アンプを作ろう、というコンセプトが貫かれています。ある程度アンプの自作の経験のある人向けの内容となっています。初心者がこの本を手にしていきなりアンプを製作するのは難しいかもしれません。なぜなら、オームの法則はいわずもがな、真空管の基本動作や3定数(μ、gm、rp)をちゃんと理解できているという前提で書かれているからです。
アンプ造りのベテランになると、どんな記事や本を読んでも知っていることばかりで、なかなか学ぶべきページに出会うことが少なくなりました(いや、嘘を見つけてしまって腹の立つことも多い昨今です)。本書は、そういう読者にも役に立つような記述を盛り込もうとした著者の苦労の跡を所々にみつけることができます。

チェック!



はじめての真空管アンプ
300Bステレオアンプを完全製作

黒川達夫著/誠文堂新光社

初心者向けの真空管アンプ製作ガイド本も数多く出てくるようになってきました。
本書は、回路設計技術というよりは、真空管や部品の説明、使い方、実装技術について参考となる記述が充実しています。注意深く読むと、結構重要なことがなにげなく書かれています。また、低内部抵抗管については、無名なものまで数多く紹介されています。300Bという名目にこだわらずに読んだらいいでしょう。


米国系真空管アンプのすべて
&
欧州系真空管アンプのすべて
渡辺直樹著/誠文堂新光社

不思議な内容の本です。おびただしい量の作例の割には、回路は凡庸で、しかも同一回路の別の球への流用による手抜き?が目立ちすぎます。
測定データ(特に歪み率特性)は、
実測したものとは思えない不可解なグラフばかりです。たとえば、「VT52シングル3Wアンプ」の歪み率特性では、0.3W時に0.025%くらいとなっており、出力が小さくなるにつれて更に低下していますが、交流点火を行なったアンプでは考えられない数字であり、カーブの形状です。「2A3シングル4Wアンプ」においても、3Wで0.1%、それ以下では更にどんどん低くなってゆくという摩訶不思議な結果です。ほんとうに測定したのかどうか疑いたくなります。感じたことを率直に申し上げると、これは空しい本です。


クラシック・ヴァルヴ
大塚久著/誠文堂新光社

真空管の動作原理の発見の歴史の章は、本書ならではの圧巻です。発明と技術革新の苦難のプロセスが読者の目の前で展開され、真空管というデバイスに対する愛着が一層深まります。この本のすごいところは、データブックではなく、立派な読み物になっているという点です。(だから、データはほとんどありません。)
面白いことに、本書の内容はアンプ設計にはほとんど役に立ちません。偉大なる真空管博物書であります。それだけで、充分価値のある一冊です。是非、読まれんことをお薦めします。


世界の真空管カタログ真空管データ7200種
編纂山川正光/誠文堂新光社/7800円

手持ちの真空管データを片っ端から集めて、とにかく一冊の本にして索引をつけてみたというもの。それ以上でも、それ以下でもありません。本書に過大な期待は無用です。そして、せっかくの索引も、あまりに誤植・漏れが多い(ちょっと気がついただけでも25個所)。残念でならないのは、6R-A8、6C-A10(50C-A10)、8045Gといった国産著名管のデータがすっかり抜けていること。
これだけの規模と価格なのですから、もうすこし価値ある一冊にしてほしかった。


真空管アンプ完全設計法
百瀬了介著/ラジオ技術社

結構分厚い本なので、読破するのは相当のエネルギーがいりますが、基本知識、応用知識がたくさん書かれています。惜しむらくは、理論上の理解の誤りが散見されることです。書かれていることをすべて信じてはいけない本です。初心者がはじめて読んで勉強するという目的で購入することはおすすめしません。
内部抵抗(rp)52kΩの6V6に20dBのNFBをかけると、rpが5kΩに低下する???という計算法は明確に誤りです・・・(黒川達夫著「現代真空管アンプ25選」に正しい解説があります)。多極管の3結では、出力は多極管時の1/4と考えるのが妥当???という記述、これも現実的ではありません。6L6の3結の直線性が良くて???、6CA7の3結は魅力がない???、といった調子でこれを信じた人はちょっと損をするでしょう。


最新トランジスタ規格表 & 最新ダイオード規格表

CQ出版社

トランジスタやダイオードの規格は、最新のものならばメーカーのサイトに行けば詳細データが入手できますが、栄枯盛衰の激しい半導体の世界では、あっという間に廃版になってデータも入手できなくなります。本書は廃版品種もかなり掲載されていますが、それでもどんどん削除されています。もし、1998年版以前のものをお持ちでしたらそれは貴重品です。
なお、半導体のデータはメーカーサイトからpdf形式でダウンロードできますが現行品に限られます。古いものは消えてしまうのでできるうちにダウンロードしておかないとなくなってしまいます。古いものでも運がよければここで見つかります→
http://www.datasheetcatalog.com/


オーディオクラフトマガジンNo.6 2万円でつくる真空管アンプ
誠文堂新光社/1500円

こういう本、結構好きです。ベテランの間では、安い部品を使った何の工夫もないような回路や実体配線図を小馬鹿にする風潮がないわけではありませんが、今から数十年前、初歩のラジオの実体配線図に散々お世話になった身としては、こういうネタはいまだに楽しんで読んでしまいます。これで立派に音が出るわけですから、大人のおもちゃとしては実にたいしたもんだと思います。
音質向上の工夫やらなんやらは、これから先、いくらでもやってみればいいことです。小難しいことばかり言ってないで、素直に遊んだらいいのに、と思います。


デジタル・レコーディングの全知識
Claudus Bruese著/リットーミュージック/1995円

2003年初版なので最新書ではありませんが、難しい用語や数式を使わずにデジタル・オーディオの基礎知識をわかりやすくまとめた良書。レコーディング・エンジニアならずとも、AD/DAを使っている人、テープデッキに代わってPC中心のデジタル録音をしようという人、レコードなどアナログ・ソースをデジタル化しようという人にはおすすめです。


良い録音を行うための レコーディング・ミキサー心得帖
荻野宜邦著/リットーミュージック/1995円

商業録音(音楽ソースを製作する)側が、何をどう考えて制作しているかをうかがうことができる本です。また、音響に関する基礎知識についても盛りだくさんなので、再生オーディオのためのテクニックを磨くためにも役に立ちます。へたな音響学の本よりもずっと実用知識が豊富なのが○。各章の終わりに登場する川柳が結構辛辣で(苦)笑わせてくれます。


一枚のディスクに レコード・プロデューサーの仕事
井阪絃著/春秋社/2100円

レコード・プロデューサーの一人である井阪氏(カメラータ・トウキョウ)の目を通して、クラシック、特にウィーンの室内楽のレコーディングの舞台裏がリアルに記述されています。クラシック・ファンが読んで楽しめる本です。録音芸術とは何か、一流アーティストは録音をどう考えているかを知る上で貴重な一冊でしょう。本気で「来日したオーケストラなんて手抜きの演奏をしている」とか「生演奏じゃなきゃ音楽じゃない」なんて思っているあなたには是非読んでいただきたい一冊。

・・・と書いてみたのですが、実際にウィーンに足を運んで音楽の現場に接し、あるいは氏の行動を目にしたり関係者の評判を耳にすると、氏が本著やCDのプロデューサーノートで書いていることと現実のギャップもかなり感じる、というのが正直なところです。


PUTTING THE RECORD STRAIGHT レコードはまっすぐに―あるプロデューサーの回想
John Culshaw著/学習研究社/3780円

ステレオ録音の創世記、私達に馴染み深い英DECCA全盛期にレコーディングがどのようにして行われていたのか、ステージとは異なる擬似音源であるステレオをどのように考えていたのか、商業録音とは一体何か、アーティスト達はどう思ってレコーディングに参加していたのか、そういったあまり語られてこなかったことについてジョン・カルショーがあるがままに語った本です。クラシック・レコーディングの舞台裏の生々しさ、欧州のクラシック音楽界における裏話、録音現場の逸話など大いに楽しめます。

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