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ディスクリート定電流回路用部品

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ディスクリート定電流回路

定電流の基本特性は、ツェナ・ダイオードの電圧特性(ツェナ電圧)とエミッタ抵抗(RE)の値でほぼ決定されます。ツェナ電圧が6.2Vのものを使った場合、エミッタ抵抗(RE)にかかる電圧はツェナ電圧からトランジスタのベース〜エミッタ間電圧(約0.65V)を引いた値になりますので、右の回路の場合は5.55Vになります。トランジスタのエミッタに流れる電流は、

5.55V÷RE=5.55V÷91Ω=61mA
で決定されるので、RE=91Ωの場合だとエミッタ電流は61mAになります。一方で、ツェナ・ダイオードを動作させるための電流と、トランジスタのベース電流の両方を調達しているのが定電流ダイオード(CRD)です。ここに流れる電流は、回路の条件に関係なく定電流ダイオード(CRD)の定格電流値で固定です。かりにここに2.5mAタイプの定電流ダイオード(CRD)を使用したとします。そうすると、以下の関係が生じます。
(ツェナ・ダイオードの動作電流)+(トランジスタのベース電流)=2.5mA
そして、トランジスタのベース電流は、
トランジスタのベース電流=トランジスタのコレクタ電流÷hFE=トランジスタのエミッタ電流÷(hFE+1)
という関係があります。2SD2531のhFEが150だとすると、以下のようになります。
トランジスタのベース電流=61mA÷(150+1)=0.4mA
ツェナ・ダイオードの動作電流=2.5mA−0.4mA=2.1mA
ということになります。ツェナ・ダイオードの動作電流はできれば1mAくらい確保したいので1mAほどの余裕があります。この設計の場合、hFEが50まで低下してもまだ大丈夫です。最終的な定電流特性は以下のようになります。
定電流特性=コレクタ電流+定電流ダイオード電流=(61mA−0.4mA)+2.5mA=63.1mA
と考えることもできますし、
定電流特性=エミッタ電流+ツェナ・ダイオードの動作電流=61mA+2.1mA=63.1mA
ともいえます。この時の2SD2531の消費電力計算してみましょう。出力段のバイアスが-22Vくらいでだとすると、定電流回路全体には22Vがかかります。91Ωにかかる電圧は5.55Vで、2SD2531のコレクタ〜エミッタ間にかかる電圧は22V−5.55V=16.45Vになります。ここに流れる電流は約61mAでしたから、
91Ωの消費電力=61mA×5.55V=339mW
2SD2531の消費電力=61mA×16.45V=1.003W
となります。91Ωには2W型の抵抗器が必要で、2SD2531はそのままでもぎりぎり大丈夫ですが、小型の放熱板を取り付けるか、ケースに密着させるのがいいでしょう。この条件は、6AH4GTの差動PPアンプの設計に該当します。


Group 用途/種類 名称 規格 測定項目 測定条件
(周囲温度20〜28℃)
Notes 数量 費用
ディスクリートSET 定電流ダイオード
CRD
E272 2.3mA〜3.2mA 定電流特性 Vak=10〜12V 許容範囲内になるものを2本ペアで選別
出力段プレート電流が40mA×2未満の場合はE202、40mA×2以上の場合はE272※
2 880円
ツェナ・ダイオード
ZD
HZ6-C2(6.0〜6.3) 6.20V±0.1V VZD Iz=2.5mA±0.5mA - 2
制御
Tr
2SD2531 or 2SD2012 hFE>100 hFE Ic=1mA(暫定) hFEが100以上のものの中から、
hFE値が揃ったものを2本ペアで選別
2
放熱 シリコンラバーシート 13mm×18mm - - シリコン・グリスの方が望ましく、
これをを塗布した場合は不要ですが2枚入れておきます。
2

※出力段プレート電流が40mA×2以上の場合は2SD2531のベース電流が多くなるため、CRDの電流値を多めにします。


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