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■■■トランスミッターの試験その3 ソフト・ボリュームの不思議■■■


●iPhoneのミュージック・プレーヤのボリューム

パソコンですと「+/−」のスピーカー音量キーがついていますし、iPhoneにも音量キーがついていて着信音量やミュージック・プレーヤの音量を調整できます。今まであまり深く考えたことがなかったのですが、こうした「+/−」キーによるボリュームはどんな減衰カーブなのでしょうか。

私達が慣れ親しんでいるボリューム・・・・くるくる回す機械式のアナログ・ボリューム・・・・は、減衰カーブによってA型、B型、C型などの区別があります。常識的に考えて「+/−」キーによるボリュームはA型に近い変化をするだろうとは思いますが、実際のところはどうなのか調べてみました。

左の画像はiPhone8のミュージック・プレーヤのボリューム画面です。15クリックで最大音量あるいは無音になりますから、ポジション数は16です。右の画像はWindowsの画面です。50ポジションあります。


●測定

デジタルフォーマットの1kHzのWAVファイルを作成してiPhone8に取り込みます。これを再生しながら「+/−」キーを操作して各ポジションでイヤホン端子から何Vrmsが出てくるのかを測定するという方法としました。その結果が下の2つのグラフの赤い線です。

左側のグラフは、最大音量を0dBとして各ポジションで何dBの減衰があるのかを表しており、対数的に減衰する場合は直線になります。右側のグラフは、同じデータを使って百分率で表したものです。これによると、最初の6クリックくらいまでは1クリックあたり3.3dB、そこから先は4dB、さらにその先は5dBと加速してゆきます。3.3dB/クリックと言うのはかなり大胆な数字ですが、16ポジションで音量ダイナミクス全体をカバーしようとするとそれくらい飛ばす必要があるのでしょう。割り切りの良いなかなかうまい仕様設計だと思います。

センター(8ポジション)では-30dBくらいの減衰となり、信号電圧でいうと1/30くらいです。機械式のA型ボリュームの場合、センターポジションでの減衰は-17dB(1/7)くらいですから、機械式の方が音量ダイナミクスのカバー率は低いともいえます。

ちょうど良い機会なので、同じiPhone8を使ってBkuetooth経由ではどうなるのか測定したのが青い線です。

予想では、全く同じカーブを描きつつもしかすると最大音量付近で直線性がやや劣化して上が詰まる程度ではないかと思っていましたが、思いもよらぬ結果となりました。実に変てこな減衰特性です。Bluetoothのレシーバーを変えて測定してみましたが結果は常に同じなの、レシーバーの種類には依存しないようです。

聴感上は両者の明確な差異を感じることはなく、実用上困るようなことはありませんが、このような違いが出ることについては、iPhoneのデジタル内部処理に明るくない私にはひたすら謎です。そもそも、このような特性にする意味がわかりません。


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