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■■■トランス+真空管バッファ式USB DAC Type3(12AX7/ECC83)■■■
(Rコア電源仕様)


この外観は近日中に変更されます。

ライントランス+真空管バッファ式の第三弾です。この方式のDACは電源回路もアンプ部もいろいろな構成が可能であり、Type1もType2もその例のひとつにすぎません。組み合わせはいくらでも考えられるわけですが、本機のバッファアンプは12AX7によるSRPPとしました。
初期の設計では電源トランスのレイアウトに問題があったため、LPFで使用したインダクタがハムを拾いました。アンプ部は優秀な低歪み特性が得られましたがせっかくの低歪みが台無しです。そこで漏洩磁束が少ないRコアの電源トランスを特注して入れ替えたのが本機です。

注意:記事中の本機は、旧版のケースを流用しているため実装に少々無理があります。実装を見直した上で作り直しますので、画像は大幅に入れ替えになる予定です。


●回路方式および使用真空管の検討

D/A変換はおなじみAKI.DACをほとんどそのまま使います。AKI.DAC出力以降ですべきことは2つ、1つめはだだ漏れのデジタルノイズをいかに除去するか、2つめは低い信号レベルを3倍ほど増幅することです。この基本は当サイトの他の作例と変わることはありません。

真空管式のラインアンプとした場合、Type1では低μ低rpの古典管を使い、Type2では中μ低rpの6DJ8を使いましたが、12AX7のような高μ高rp管はまだ試していません。12AX7は、単体で使用しても低歪が得られる球ですが、高い利得が得られるため余剰利得を負帰還にまわせば相当な低歪が期待できます。

実は、Type2において12AU7を試した時、回路定数はそのままに興味本位で12AX7を挿してみました。12AX7にとっては異常なほど低いプレート電圧で、バイアスもとても正常とはいえない浅さでしたが、6DJ8と並ぶほどの低歪が得られたのです。そこで、12AX7に無理のない動作条件を与えてやればかなりいい線をいくのではないかと思いました。ちなみに、12AX7をSRPPで動作させると30kΩ〜50kΩ程度の負荷に十分耐えることがわかっています。

12AX7の欧州名はECC83で同じものです。12AX7/ECC83はポピュラーな球なので非常に多くの互換球が製造されました。単純に12AX7/ECC83と差し替え可能な球には、12AX7A12AX7(T)70257025A6681E83CC12DF712DT7ECC803S6057M8137CV4004があります。SOVTEKの12AX7WAは12AX7と異なる類似球を改造したものですがほぼ互換性があります。12AD7はヒーター電流定格が12AX7の1.5倍(12.6V×0.225A、6.3V×0.45A)であることを除けば同じ球として使えます。


●全回路図および説明

アンプ部および電源部の回路図は以下のとおりです(2018.5.13版)。回路図中の電圧は、AC100Vに正確に100Vが供給された時の値ですので、AC100Vの電圧が変動した場合はその変動にほぼ比例し増減します。アンプ部の電圧は、12AX7/ECC83のばらつきによって差が生じます。

DAC本体およびLCフィルタ部

AKI.DACに関する詳しい説明はこちらにあります。→ http://www.op316.com/tubes/lpcd/aki-dac.htm

デジタルノイズをカットするための一段目のLPF(ロー・パス・フィルタ)は、2.7mHのインダクタと0.01μFそして820Ωのダンプ抵抗です。ダンプ抵抗の値は本機で使用したタムラTPs-3Sに合わせると820Ωくらいがベストですが、他のトランスの場合には560Ω〜1kΩくらいの範囲で最適値が異なるので、組み上がった状態で周波数特性を測定しながらのチューニングが必要です。

<推奨値>
MakeライントランスLC1次側※2次側
TAMRATD-1(W)2.7mH0.01μF820Ω1kΩ
TDP-1(W)2.7mH0.01μF820Ω1kΩ
TK-12.7mH0.01μF680Ω1kΩ
TK-102.7mH0.01μF620Ω1kΩ
TF-3(W)2.7mH0.01μF620Ω1kΩ
TpB-2022.7mH0.01μF620Ω1kΩ
TPs-3S2.7mH0.01μF820Ω1kΩ
NIHON KOHDENE-84802.7mH0.01μF準備中1kΩ

ライントランス部
ライントランスには3つの役割を与えています。

(1)トランス自体が持つフィルタ効果を使ってデジタルノイズを除去する。
(2)後続の真空管アンプ部が反転増幅器であるため、トランスで位相を反転させて全体で非反転となるようにしている。そのため意図的にトランスの2次側の接続を逆にしてある(赤い字)。
(3)トランスそのもののトーンキャラクタを期待。

真空管アンプ部その1・・・12AX7の動作条件
12AX7を無理なく動作させるには、バイアスが-0.7Vよりも深い領域、プレート電流は0.3mA〜1mAくらいを流した領域で、プレート電圧が高すぎない範囲を選ぶことになります。(右図の青で囲んだ領域)

。 本機では、最大出力電圧は2Vどまりなので大きな振幅を得る必要はありません。旧版では、プレート電流=0.4mA〜0.5mA、バイアス=-0.9Vあたりでプレート電圧=110Vくらいでした(右図の)。本機では電源電圧を上げたので、プレート電流=0.55mAくらい、バイアス=-1.1Vあたりでプレート電圧=135Vとしています(右図の)。

現実の回路は抵抗負荷ではなくSRPP回路です。まず、DC動作条件について考えてみます。電源電圧=272Vに対して、プレート電圧=136V、プレート負荷側の電圧=136Vとなって電圧配分は半々となりますから、SRPP回路の上側球のカソード抵抗値は下側と同じ2kΩでよいことになります。

次にAC動作ですが、SRPP回路は、負荷が軽い通常の電圧増幅動作の場合は、プレート抵抗負荷の普通の増幅回路とみなしてロードラインを引いて設計するのが合理的です。下側球からみると、上側球は俗に言う真空管抵抗として抵抗負荷とほとんど同じ働きをします。増幅作用を行うのはもっぱら下側球だけですから、SRPP回路といえども抵抗負荷の場合のロードラインで動作を考えて差し支えありません。

SRPP回路が通常の抵抗負荷の増幅回路と異なるのは、後続する回路の入力インピーダンスの影響をほとんど受けない点です。ですから、247kΩの負荷であると思って利得を求めることができます。上側球のカソード抵抗分だけロスが生じるので、厳密には247kΩ÷249kΩ=0.992倍になります。

真空管アンプ部その2・・・負帰還回路
20kΩと75kΩによるP-G帰還回路で、12AX7の利得が70倍だとすると仕上がり利得は3.5倍になります。負帰還部分に50kHz-6dB/octのLPFを組み込んであります。
高圧電源部
旧版ではトランジスタを使ったリプル・フィルタ回路としましたが、少々過剰スペックなところがありました。本機ではごくシンプルなCR2段のリプル・フィルタですこれで必要十分な効果を得ています。それが証拠に残留ノイズは本機の方が少ないです。

整流出力のところでの残留リプルは約200mVです。最初の22kΩ+22μFによるリプル・フィルタを経ると残留リプルは660μVくらいになり、さらにもう一回22kΩ+22μFによるリプル・フィルタを経ることで残留リプルは0.002mVまで減っていますので十分です。

ヒーター電源部
12.6Vをブリッジ整流した約16Vを、12Ωの抵抗でドロップして12.6Vを得ています。SRPP回路では、上側球のカソード電位が136Vほどになるので、ヒーター回路全体に約50Vのプラスのバイアスを与えてあります。


●部品のことなど

真空管・・・本機の回路に適するのは12AX7/ECC83とそのファミリーです。記事の冒頭に解説がありますのでそちらを参照してください。

ライントランス・・・タムラのTPs-3S 600Ω:600Ωを使いましたが、タムラや日本光電のこの種の業務用の高性能な600Ω:600Ωタイプのトランスならば大概のものが使えます。サイズは小さいですがTpAsタイプも優秀です。10kΩ:7kΩのものをオークションでよく見かけますがこれもチューニング次第で使えます。

電源トランス・・・Rコアを使った特注品です。この電源トランスに関する解説はこちら→真空管DAC/プリアンプ用Rコア特注電源トランス

mT9ピン真空管ソケット・・・ピンの締まり具合と接触性の良い樹脂モールドの汎用品を使いました。

ケース・・・初版では、LEAD製の廉価な汎用アルミボックスP-202(230W×50H×100D)とP502(150W×50H×100D)を使いましたが、P-202はP-102(250W×50H×100D)に変更して作り直す予定です。いずれもシルバー塗装で底板のネジ穴も切ってあり、廉価で使いやすいケースです。

LED・・・つけるかどうか、何をつけるかはお好みで決めてください。

抵抗器・コンデンサ・・・ヒーター電源の12Ωに5W型、電源部の一部で1/2W型、それ以外は1/4W型で足ります。LCフィルタ部の0.01μFはフィルムコンデンサ、P-G帰還素子の47pFは積層セラミックコンデンサ(印加する電圧で容量が変化しないタイプ)、アンプ部の出力側の1.5μF/250Vはメタライズド・フィルムコンデンサを使いました。それ以外のコンデンサは通常タイプのアルミ電解コンデンサです。

ビス、ナット、スペーサ・・・平ラグの取り付けは8mm〜10mmのスペーサを使いました。ライントランスは取り付け方法や穴の深さがまちまちなので状況に応じてやりくりしなければなりません。部品の状態や実装のやり方で何をどう使ったらいいか変化しますのでそれぞれに工夫してください。

* * *

★回路およびレイアウトが現在進行形であるためセットでの部品の頒布はしていません。個別には概ね対応可能です。
http://www.op316.com/tubes/buhin/buhin.htm


●製作

この章は書きかけです

AKI.DACキットの組み立て
詳しい説明はこちらにあります。→ http://www.op316.com/tubes/lpcd/aki-dac.htm
AKI.DACの基板に実装するCR類でキット付属のものと異なる定数は以下の通りです。(表中のC5〜C17はAKI.DACの取説の回路図中の記号)

回路図部品名キット付属変更後
C547μF/25V470μF/10〜16V(直径8mm以下のもの)
C647μF/25V470μF/10〜16V(直径8mm以下のもの)
C1147μF/35V470μF/10〜25V(キット付属のC14を流用)
C14470μF/25V1000μF/10〜16V
C16100μF/35V220μF/10〜16V
C17100μF/35V220μF/10〜16V

平ラグパターンと配線
LPF部+アンプ部の平ラグの様子は下の画像のとおりでしたが、作り直します。

・・・。

アースの引き回しは以下のように考えたらいいでしょう。

<信号経路のアース>
「AKI-DAC」→「LCフィルタ」→「ライントランス周辺のアース母線」→「アンプ部の2つの平ラグのアース」→「出力端子(ここでシャーシと接触)」

<電源のアース>
「電源ユニットのアース」→「アース母線」

ケースの加工

私が製作したケースの上面の加工図は以下の通りです。後面パネルは現物合わせで決めたので図面はありません。自力で工夫してください。

←画像はまだありません

全体の組み立てと配線
ケースは2つ重ねて使います。上側のケースの底板は使わず、単純に上にかぶせて下からビス留めします。後面には、ACインレット、電源スイッチがつきます。下側ケース内の全体の様子は右のとおりです。

信号の流れは以下の通りです。

(1)AKI.DACの出力の3本の線(L-ch、R-ch、アース)はLCフィルタに入ります。アースは左右いずれかから1本出せば足りますので3本です。4本出すとアースループができるので具合が悪いです。
(2)LCフィルタの出力の3本の線(L-ch、R-ch、アース)はライントランスの1番およびアース母線につなぎます。
(3)ライントランスの6番を出た信号はアンプ部の平ラグに入ります。
(4)アンプ部の出力(1.5μFのところ)は出力のRCAジャックにつなぎます。

組み立てでの注意事項としては、平ラグやAKI.DAC基板やACアダプタの取り付け手順の競合問題があります。

AKI.DAC基板を先に取り付けてしまうとACアダプタを取り付けるビスを回せなくなる、平ラグを先に取り付けてしまうと上面ケースを取り付けるビスを回せなくなる、という問題です。これを回避するためには、スペーサだけ先に田植えしておき、平ラグや基板は後から取り付けるようにします。

注意:実装を見直した上で作り直しますので、以下の画像は大幅に入れ替えになる予定です。


注:この画像では、ヒーター電源の12Ω5Wではなく、暫定的に10Ω5W+1.8Ω1Wがついています。
注:画像のAKI.DAC基板の固定では手持ちのメス〜メス・スペーサを流用したため、ビスの頭が見えています。

SRPP上側の上側ユニットのグリッド〜カソードをつなぐ抵抗(2kΩ)は真空管ソケットに取り付けます。真空管ソケットのセンターピンはアースにつないでおいた方が安全なのでアース母線の支えとして使っています。ライントランスのアース端子、左右の5番同士も0.9mmの銅線でつないでこれをアース母線としています。ライントランスの1次2次のアース側も0.45mmくらいの銅線を使ってアース母線につないでいます。方法は問いませんので、ライントランスのアースをつないでアース母線にしたらいいでしょう。>

調整と動作確認
電源部のみのテスト・・・全体を組み上げる前に、電源部+ヒーター回路の通電テストを行ってください。高圧電源側は、整流出力のところで330Vを少し超えたくらい。ヒーター側は、球を挿した状態で12.6V±0.2VであればOKです。(AC100Vの電圧が高ければそれに比例して電圧も高くなります)

アンプ部のテスト・・・概ね回路図記載の電圧になればOKです。ポイントとしては、上側ユニットのカソード電圧が136V±12Vくらい、下側ユニットのカソード電圧が1.0V〜1.2Vくらいであれば正常です。アンプ部のところで説明しましたが、本機は電源OFFの状態でも完全に無音にはならず、わずかに音が漏れますがトラブルではありません。

ライントランスと周波数特性の調整・・・TPs-3S以外の600Ω:600Ωトランスを使用した場合は、LCフィルタ部の0.01μFと並列に入れてある820Ωを増減することでほとんど調整できます。PC側で発生させた1kHzを基準として、5kHz、10kHz、15kHzくらいでのレスポンスを見て調整したらいいでしょう。ポイントは、5kHzではフラットかわずかに持ち上がるくらい、10kHzではほぼフラット、15kHzでは若干減衰してもかまわない、あたりがちょうどいいです。


●特性

本機の特性は以下のとおりです。

出力インピーダンスは1kΩと非常に低い値が得られました。しかし、プレート電流は0.55mAくらいと非常に少ないので、10kΩ以下の低いインピーダンス負荷に耐えるわけではありません。回路インピーダンスが低くなっているだけで、低インピーダンス負荷をドライブする電流供給能力はありません。

周波数特性は以下のとおりで旧版を全く同じです。厳密には完璧なフラットではなく、1kHzを基準にすると400Hz以下と5kHz〜10kHzでかすかに持ち上がり、10kHz以上ですこしずつ減衰しています。しかし、その変化はわずかなのでグラフにすると1本の直線になります。

電源トランスをEIコアからRコアに変更したことで誘導ハムの影響が激減し、旧版でハムが異常に多かった左チャネルだけでなく、右チャネルのハムも減少しました。そのことが歪み率特性に如実に現れています。2V出力時の歪は0.03%台でType1、Type2を引き離す低歪です。

松下 12AX7(T)


●とりあえずのコメントなど

文句なしの仕上がりとなりました。コメントは、本編の記事が完成してから書きます。

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