Power Transformer for Preamp/TubeDAC
真空管DAC/プリアンプ用Rコア特注電源トランス
(2020年3月、予約制の数量限定で作ります)



■もうすぐ出来上がります(2020.4.24)

Rコア電源トランスが3回に分けて順次納品され始めます。発送作業の負荷をを少しでも軽減し、ミスが起きないようにするために、トランスのみの方から発送します。トランス以外の部品を併せて希望された方については、どのようにお送りしたらいいか検討中です。数が非常に多いのですべての方に行き渡るには2か月くらいを要すると見込んでいます。

1mA前後の定電流回路用の2SK30A-Oランクの受付を開始ました。部品頒布のページをご覧ください。→ buhin.htm


■数量限定の予約制で頑張って作ります(2020.2.20)・・・受付は締切りました(3月8日)

「情熱の真空管」のトップページでご案内のとおり、このRコア電源トランスを作ることにしました。高価なトランスですがまとまった数を発注しないとこの価格での頒布はできません。この電源トランスを皆さんに提供できるのはこれが最後になると思います。数が多いほど発注しやすいのでお一人あたりの数は制限しません。工場への発注は3月上旬の予定ですが、納期は1か月以上かかるので3月中に発注できたとしても皆さんにお送りできるのは5月頃になるだろうと思っています。

申し込みはメールでこちらまで→ teddy@op316.com

発送には以下の5項目が必要です。郵便番号や電話番号の記載がない場合は記入せずに発送します。
(1)お名前
(2)郵便番号
(3)ご住所
(4)電話番号
(5)希望個数


■漏洩磁束が少ないRコアの電源トランス

真空管式アンプのためのコンパクトな電源トランスを作りました。そもそもの発端は、試作したトランス+真空管バッファ式USB DAC Type3(12AX7/ECC83)が電源トランスのハムを拾ったことです。LPFで使用したインダクタがデリケートで、EIコアの電源トランスの漏洩磁束を拾ってしまい、距離を離しても十分な効果的が得られません。ショートリングの効果は大したことがないので不採用です。抜本的な対策として漏洩磁束が少ないRコアの電源トランスを作ることにしたというわけです。

ちなみに、漏洩磁束の大きさは、EIコア>カットコア>>Rコアの順です。

トランスを特注するにあたって、真空管式フォノイコライザや差動プリアンプにも適用できるように仕様を決めました。12AX7ならば3本、6DJ8でも2本分のヒーター電源をまかなうことができるように仕様を決めました。


■特注して試作する

試作の基本仕様は以下のとおりです。何台か試作テストしますので仕様は細かいところで変わる可能性があります。

<仕様>
形式:KRC-15(Rコア)
温度ヒューズ:なし
相数:単相
周波数:50Hz/60Hz
絶縁種別:A種
シールド:なし
端子処理:ラグ端子(半田付け端子)
用途:オーディオ機器
巻き線仕様:
P:100V
S1:0-100V、0.075A(AC)
S2:12.6V、0.75A(AC)
合計 16.95VA

ヒーター用として用意した12.6V/0.75A(AC)の巻き線は、ACのままならば0.75Aまで取り出せますが、ブリッジ整流してDC点火した場合は0.47Aになります。高圧側は100Vを倍電圧整流して240V〜300V/23mA(DC)が得られます。このトランスはぎりぎりでミニワッター汎用シャーシのトランスカバーに収まるようにしました。小型化を優先したためVA値に対してコアが小さめです。その結果電圧変動率が大きくなりますが、プリアンプならば問題なしと判断しました。


■特注トランスの頒布

最後の頒布となります。予約制です。

予定頒布金額:12,500円(梱包・送料別)

安心して頒布できるようになるまでにはさまざまな工程があり、センサを組み込んだ試作を行って温度試験を行うなど初期費用として試作・テストで10万円ほどかかります。最終的に7,000円くらいで出せるかと思っていましたが、トランスの製造費用は10年前と比べて2倍くらい高くなっている上に消費税が加算されるためこんな金額になりました。どうするか迷いましたが財布をはたいて50個ほど作ることにしました。市販の電源トランスよりも割高ですのでより安く手に入れたい方の要求には合いませんが、同等のものを特注すると思ったら安いだろうと思います。


■特注電源トランスのDC実測特性

試作トランスの実測結果は以下のとおりですので、自作設計の参考にしてください。2次巻き線は100Vと12.6Vの2つがありますので、測定していない側の巻き線が無負荷状態と全負荷(定格一杯の負荷)の2パターンで測定しました。実際の出力電圧は各巻き線の負荷状態に応じて無負荷と全負荷の中間のどこかになります。

100V巻き線を倍電圧整流すると、軽い負荷の時で300V前後、定格一杯の23mAを取り出した時で250V〜270Vです。ブリッジ整流すると、軽い負荷の時で150V前後、定格一杯の47mAを取り出した時で120V〜135Vです。

12.6V巻き線をブリッジ整流した場合、無負荷の時で19V前後、0.15Aの時約17V、0.3Aでは約15.5V、定格一杯の0.47Aを取り出した時で約14Vです。

注意:測定時のAC100Vの電圧は101V〜105Vの範囲で変動しています。できる限り100V時の値となるように補正しましたが±1%程度の誤差が含まれていると思います。


■特注電源トランスのAC使用

高圧側を交流のまま使うことはないと思いますが、12.6V巻き線側を整流しないで交流のままヒーター点火に使うケースがありえます。

工場側の検査データによると、全負荷で使用した場合の12.6V巻き線の電圧は12.5V/0.75Aです。6N6Pなどヒーター定格が6.3V/0.75Aの球のヒーターを2本直列でまかなうことができます。100V巻き線側の負荷が軽い場合や、ヒーター電流が0.75A以下の場合は、得られる電圧が高くなりますので、適当な抵抗を割り込ませて電圧を調整してください。


■特注電源トランスの適用範囲

差動ライン・プリアンプ(新版)・・・差動プリの消費電流DC20mAくらいを取り出した時の整流出力電圧は260〜270Vになります。これをMOS-FETを使ったリプルフィルタで230Vくらいまで下げてから、470kΩ+39kΩくらいで分圧した擬似±電源にすると無理のない電圧配分になります。こうするとヒーター電源をマイナスにしなくて良くなるので、オリジナル回路よりもヒーターノイズ的にも有利になります。

差動ライン・プリアンプ(トーンコントロール付き)・・・同上。

PHONOイコライザー・アンプ 12AX7 Version2・・・Version1を全面的に改訂しグレードアップしました。このサイズでローノイズを得るにはRコアが必要です。

トランス+真空管バッファ式USB DAC Type1(6J5/5C5/6L5)・・・B電源はやや高めに出るのでMOS-FETのゲート回路の220kΩを360kΩくらいに増やします。ヒーター電源は高く出るので、カットアンドトライを繰り返しながら8.2Ωおよび1.5Ωは抵抗値・電力定格ともに見直しの必要があります。

トランス+真空管バッファ式USB DAC Type2(6DJ8)・・・15AのACアダプタおよびDC-DCコンバータを廃して電源回路全体の再設計になりますので各自工夫してください。

トランス+真空管バッファ式USB DAC Type3(12AX7/ECC83)・・・記事を参照してください。


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