Mini Watters
トランジスタ式ミニワッターPart3設計試作苦労話
<難産でした>

半導体式ミニワッターPart3の設計では、紆余曲折がありました。その一部始終をここに公開いたします。

<試作2号機全回路図>

試作2号機の回路は以下のとおりです。アンプ部は左半分で、右半分は電源部です。アンプ部はばかみたいに単純な回路ですが、これは1970年代後半に登場したとても標準的な回路をベースにしています。いまどきの凝った半導体アンプの製作例も、贅肉を落とせば残るのはこんな回路です。単純な回路でも、オフセットもDCドリフトも非常に少なく抑えられていますし、電源ON/OFF時のポップノイズも非常に少なくなっています。また、ところどころ「普通の人はそのようにはしない」ことをやっていますので、そこのところが本機の特徴になっています。1号機のプラスマイナス電源が抵抗2本による単純な分割であったのに対して、以下の回路では温度補償回路を組み込んだものになりました。


<解説1・・・初段差動増幅回路>

初段は2SK170の差動増幅回路です。ドレイン負荷抵抗は470Ωですが、次段の入力インピーダンスが案外低いのでそのことも考慮しなければなりません。

次段の入力インピーダンスは以下のようにして求めます。次段2SA1680のコレクタ電流は約30mAで、hFEは300くらいです。エミッタに2.2Ωが入っていますので、入力インピーダンスは、{2.2+(26÷30)}×300=930Ωとなります。470Ωと930Ωとの並列合成値は312Ωですので、これが初段の負荷となります。

この時のロードラインは右図のようになります。この動作条件におけるgmは図から15くらいと読み取れるので、利得は単純計算では15×0.31kΩ=4.65倍になりますが、特性カーブの傾きのせいで実際の利得は4倍あるかないかくらいです。さらに差動回路の片側からの取り出しなので1/2となり、加えて10ΩVRでの帰還も生じるので初段利得は2倍程度ということになります。


<解説2・・・次段増幅回路>

・・・。


<解説3・・・出力段増幅回路>

・・・。


<課題1・・・DCオフセットと安定の確保>

本機のDC安定を支配しているのは初段の2個の2SK170とDC帰還ループです。左側の2SK170のゲートは560kΩによって常にアースと同電位が与えられており、これがゆらぐことはありません。右側の2SK170のゲートは4.7kΩを経て出力側の電圧を検出し、差動回路によって右側の2SK170とで電位差を検出する働きがあります。

たとえば、何らかの要因によって出力側の電圧がアース電位よりも高くなりかけると、右側の2SK170のドレイン電流が増加し、左側の2SK170のドレイン電流は減少します。左側の2SK170のドレイン電流が減少すると、ドレイン負荷抵抗(470Ω)の両端に生じる電圧が低下するために、2SA1680のコレクタ電流が減少します。2SA1680のコレクタ電流が減少するということは、2SA1680のコレクタ電圧が下がる・・・すなわち出力側の電圧を下げることになります。これでぐるりと一周したわけです。つまり、DCの負帰還です。この作用のおかげで、出力側の電圧は安定します。

本機の回路では、2つの2SK170のゲート電位が全く同じになった時にDCオフセットがゼロになります。そのためには、2つの2SK170のバイアス(ゲート〜ソース間電圧)が全く同じでなければなりません。しかし、2Sk170のBLランクの場合、1.5mAくらいのドレイン電流を流した時のバイアスは0.2Vから0.4Vくらいのばらつきがあります。これをそのまま使ったのでは、最悪0.2VものDCオフセットが生じてしまいます。そこで、2SK170をバイアス特性で精密に選別した上で、さらに半固定抵抗器で調整する必要があります。

当サイトでは、バイアスが±4mV以内に揃った2SK170(BLランク)を選別して頒布しています。これですと無調整でDCドリフトを±4mV以内まで追い込むことができます。本機では差動回路の共通ソース側に10Ωの半固定抵抗器を入れてあり、ここで±7mVの調整が可能ですので、この2つを組み合わせることでDCドリフトを追い込むように設計してあります。


<課題2・・・DCドリフトの温度補償>

ところが、この関係が崩れることがあります。その最大の要因は周囲温度の変化です。バイポーラ・トランジスタのベース〜エミッタ間電圧が常にほぼ0.6Vであることは、トランジスタに関する基本知識ですね。本サイトの「私のアンプ設計マニュアル」の半導体技術編を読まれた方もよくご存知だと思います。そして、このベース〜エミッタ間電圧は温度変化に敏感なのでした。どれくらい敏感であるかというと、温度が1℃高くなるごとに2mV減少します。今、0.6Vであるとして、温度が10℃上昇すると0.58Vになってしまうわけです。

本機では、2段目の2SA1680がこの影響を受けます。2SA1680のベース〜エミッタ間電圧が低下すると、左側の2SK170のドレイン電流がその分だけ減り、右側の2SK170のドレイン電流は逆に増えてしまうのです。このようなことが起きると、2個の2SK170のバイアス(ゲート〜ソース間電圧)が左右で同じではなくなってしまうので、ずれた分だけ差動バランスが狂ってしまい、出力電圧の検出結果が正しくなくなります。

話が長くなるので詳しいことは省略しますが、計算上は、周囲温度が10℃上昇すると出力電圧は6mVほど高くなることがわかりました。20℃上昇すれば12mVの上昇になります。まあこれくらいであれば、市販の出来の悪いパワーアンプICよりは上等ですので放置してもよかったのですが、実に簡単な方法でこれを打ち消し低減できますのでそれをやってみることにしました。

より詳しい話

周囲温度が1℃上昇して、2SA1680のベース〜エミッタ間電圧が2mV減少した場合の影響について計算してみます。2SA1680のベース〜エミッタ間電圧が2mV減少すると、初段2SK170の負荷である470Ωに流れる電流は、-0.002mV÷0.47kΩ=-0.00425mAの変化が生じます。初段は差動回路ですから、一方の2SK170のドレイン電流が減れば、反対側の2SK170のドレイン電流は同じだけ増えます。両方合わせると0.0085mAになります。

ドレイン電流が1.5mAくらいの時の順方向伝達アドミタンス(いわゆるgm)は15mSくらいです。15mSというのは、ゲート〜ソース間(すなわちバイアス)に1Vの電圧変化を与えた時、ドレイン電流は15mA変化するという意味です。逆にいえば、ドレイン電流が15mA変化した時は、バイアスは1Vの変化があるということです。では、ドレイン電流が0.0085mA変化した時はどうかというとバイアスの変化は0.57mVになります。本機のオフセット電圧は、2個の2SK170のバイアスのずれとイコールですから、周囲温度が1℃変化した時のスピーカー端子に現れるオフセットは0.57mVとなります。実際にエアコンを操作して室温を約10℃上げてみたところ、6mVほどのオフセットが生じましたから計算どおりということになります。

厳密には、周囲温度が変化すれば2SA1680のhFEも変化するためにベース電流が変化し、わずかですがその影響も出ます。差動回路は抵抗1本による簡易タイプなので上記の計算結果どおりにはなりませんがこれによって生じる誤差はわずかです。

DCドリフトの根本原因は、2SA1680のベース〜エミッタ間電圧の変化ですがこれをなくすことはできません。その結果として、2個の2SK170のドレイン電流が同じでなくなってしまうことにありますが、これが常に同じになるように工夫すればいいわけです。一方の2SK170のドレイン電流だけが減るのがまずいわけで、両方同じだけ減ればいいのです。オーソドックスな方法としては、温度特性を持たせた定電流回路を使うわけですが、本機では平ラグの都合でそんなものを実装するスペースなどなく、2kΩの抵抗1本で済ませてあります。どうすれば温度補償がうまくできるかというと、左側の2SK170のドレイン電流が減少した時に、マイナス電源の電圧も同じ比率で下げて2kΩに流れる電流を減らしてやればいいのです。

本機はDC12Vを2分割した擬似±電源ですから、分割比率をちょいといじってやればいいわけで話は簡単です。それが本機の電源回路のマイナス側にある2SC1815です。2SC1815を使ったこの回路は、ベース〜エミッタ間電圧と同じ温度特性を持った定電圧回路です。この定電圧回路と270Ωとでシャント型回路を構成し、±2つの電圧を作り出しています。この定電圧回路は20℃の時は6.3Vくらいですが、1℃上昇するごとに約18mV低下する性質を持っていますので、13℃上昇すると6.1Vまで下がるわけです。

より詳しい話

さきの説明で、周囲温度が1℃上昇すると初段2SK170のドレイン電流には=-0.00425mAの変化が生じることがわかりました。共通ソース抵抗(2kΩ)が供給する電流が一定だとすると、反対側の2SK170のドレイン電流は同じだけ減ってしまい、このことが問題なのでした。共通ソース抵抗(2kΩ)が供給する電流が-0.0085mA/℃の温度特性を持っていてくれたなら、2つの2SK170のドレイン電流は揃って同じだけ変化するので、バイアスの差は生じません。

本機のマイナス電源は、2SC1815のベース〜エミッタ間電圧の変化を約9倍にしてマイナス電源の電圧とする機能を持っています。周囲温度が1℃上昇すると2SC1815のベース〜エミッタ間電圧は-2mVの変化ししますから、これを9倍すると-18mVの変化になります。この変化は、共通ソース抵抗(2kΩ)が供給する電流にもろに現れます。どれくらい変化するかというと、-18mV÷2kΩ=-0.009mAです。

もうわかりましたね。このしかけのおかげで、出力側のDCドリフトは周囲温度変化10℃あたり3mV以内に抑えることができました。この方法ですと、マイナス電源の電圧が下がった分だけプラス電源の電圧が上がってしまうわけですが、変化量はせいぜい0.1〜0.2V程度ですので実害はなく気にしないことにします。

このしくみは、今から40年くらい前、私が高校生の頃に設計したアンプの回路に原形を見ることができますので、お暇な方はご覧になってください。初段差動回路に付帯しているQ3の回路がこれにあたります。このアンプのDC安定は非常に高いものでした。(http://www.op316.com/tubes/toy-box/schema12.htm

さきほどから、DCオフセットやドリフト問題についてばかりぐだぐだと解説することになってしまいましたが、とにかくOCLアンプというのは音のことなどそっちのけでこんなことばかり考えて設計しているわけです。


<課題3・・・左右チャネル間クロストーク問題>
<課題4・・・電源ON時の突入電流問題>

バラックの状態でステレオ構成を組み上げ、左右チャネル間クロストーク特性を測定してみました(左下図)。

上述の回路図どおりの状態で測定したのが黒い線です。100Hzで-58dB、1kHzで-67dBですから、真空管式の6N6Pシングル・ミニワッターにすら負けています(6N6Pシングル・ミニワッターは、100Hzで-81dB、1kHzで-82dBです)。残留雑音は15μV(-96dB)ですのではるかに届きません。ということは、まだまだ改善の余地があるということです。

この原因は、回路の基本構造にあります。SEPP回路は、電源回路に非常に大きな信号電流が流れるため、出力信号に合わせて電源電圧も変動します。Part2では、電源ラインに信号電圧が乗っても影響が出にくい構造になっているので、-100dBという驚異的な左右チャネル間クロストーク性能を得ています。Part3では電源ラインに乗った信号電圧の変動の影響を受けやすい構造であるために、あまり良くない数字になってしまったのです。

電源回路では、±両側に0.47Ωを入れて気持ち的に左右に振り分けていますが、4個すべての0.47Ωをショートさせてこれを殺してみたのが赤い線です。1個ショートさせるごとに段階的に劣化してゆき、最終的に100Hzと1kHzとであまり差がなくなってしまいました。左右の振り分けがいかに重要であったかがわかります。

青い線は、元の回路の±電源の220μFに追加で470μFを抱かせて690μFに増やした場合で、水色の線は、4700μFに増量した時のデータです。このコンデンサ容量を増やしすぎると電源ON時にACアダプタの保護回路が誤動作したり、悪くするとACアダプタの内部ヒューズが飛んでしまいますので、4700μFの時は電流容量が3.8Aの大型のACアダプタを使っています。

擬似±2電源方式では、もっぱらコンデンサによって+側/−側とアースとをつなぐことになるので、本機のようなシンプルな回路ほどその影響を受けやすくなります。ちなみに、OPアンプは電源電圧の変動を受けにくくする機能を組み込んであるためにこのような問題は生じません。

さて、この問題を解決する方法は2つほどあります。ひとつめは、ACアダプタを2個使って電源を左右で完全に分けてしまう方法です。1台のステレオアンプに2個のACアダプタをつなぐのはちょっと格好悪いので、モノラルアンプとして2台の分けてしまうのがいいでしょう。ふたつめは、上記の実験のとおり電源の左右共通部分に入れるコンデンサ容量を大幅に増やす方法です。但し、こうすると電源ON時の突入電流対策が必要になります。ACアダプタに電流容量の大きなもの(秋月扱いで12V/3.8Aというのがあります)を使うか、または遅延回路を使って電源ON時の突入電流を緩和する方法です。できるだけ少ない部品点数で、このような機能を持った回路を試作しました(右上図)。

この回路では、電源OFFの状態ではリレーによってACアダプタと電源回路が切り離されており、そこに15Ω2Wの抵抗が入れてあります。電源ONになると、この15Ωを通って6個の4700μFのコンデンサの充電がはじまります。70%くらいの充電に要する時間は約0.7秒です。その時の突入電流の理論最大値は、12V÷15Ω=0.8Aですので、小型のACアダプタが供給可能な最大電流値よりも少しだけ小さくなっています。一方でリレーを駆動する回路ですが、240Ωと1000μFがあるために、電源ON直後にはまだリレーには電圧がかかっておらず、リレーはOFFの状態です。リレーが作動するのは0.3〜0.5秒程度と非常に短時間ですが、リレーが作動して15Ωがショートされた頃には突入電流の流入はほぼ終わっていますので、ACアダプタに負担がかかることはありません。

電源OFFになると、電源電圧の下降にともなってリレーはOFFになります。電源OFF直後、間髪入れずに再び電源をONにした場合はリレーはまだONの状態ですが、電源電圧がまだ高いため突入電流は少ししか流れませんので問題にはなりません。

この回路は、はじめのうちはうまく機能したのですが、インピーダンスが低いスピーカーをつないだ途端に、おかしな振る舞いをしてしまうのでした。


<課題4・・・プラスマイナス電源異常>

電源スイッチを入れるタイミングが原因なのか、回路全体の状態が原因なのかまだ確認できていませんが、時々プラスマイナス電源の電圧が正常に出ないという現象が生じました。この現象は、インピーダンスが低いスピーカーをつないだ時に頻繁に生じます。

調べてみたところ、この現象が生じた時はマイナス電源側の2SC1815がOFFになってしまい、正常に動作しない状態のまま固定します。こういう状態になると、プラス電圧が+11.4Vになり、マイナス電圧が-0.7Vくらいになります。どうやら、マイナス電源側の2SC1815がONになりそこねるタイミングが生じることがあるようです。興味深い現象ですが、こうなってしまうと音が出ませんので、なんとか解決しなければなりません。

このような状態では、電源回路の270Ωには11.4Vがかかるわけで、270Ωには42mAほどの電流が流れています。一方で2SC1815はOFFですから電流はほとんど流れていません。では、この42mAはどこに行ってしまうのかというと、左右のスピーカーのボイスコイルを通ってから出力段の2SA1931のエミッタに入り、コレクタから抜けて電源回路に戻ってゆくわけです。片チャネルあたり21mAですが、今使っているスピーカーのDCRが4.5Ωくらいであり、実際にスピーカーの両端では-100mV弱の電圧が測定されましたから、計算が合っており異常時の状況の把握はできたと思います。

では、何故このような現象が起きるのかについて検証してみます。電源ON直後のプラスマイナス電源の電圧バランスを調べてみました。スピーカー端子にスピーカーをつながない状態では、電源ON直後からプラスマイナス電源は正常な電圧になります(+5.9Vと-6.2V)。しかし、スピーカーをつないだ状態では、電源ON直後の電圧バランスに乱れが生じていることがわかりました。電源ON直後は、一旦プラス側が8Vくらいになり、マイナス側が-4Vくらいになって、数秒くらいかけて正常な電圧になってゆくのです。4Vというのは、マイナス電源側の2SC1815がONになるためのぎりぎりの電圧でして、これ以下になると2SC1815がONにならないままになってしまいます。

その原因はどこにあるのか。それは電源ON直後のスピーカー端子に現れる過渡電圧の動きなのでした。電源ON直後、スピーカー端子にはごく短時間ですが-200mVくらいの過渡電圧が生じます。スピーカーがつないであると、

8Ωスピーカーでは、最大 200mV÷8Ω×2(左右で)=50mA
4Ωスピーカーでは、最大 200mV÷4Ω×2(左右で)=100mA
の過渡電流が流れますが、これが2SC1815にまわすはずの電流を食ってしまったのです。

このようなことにならないための方法はいくつかあります。一つめは、擬似プラスマイナス電源の電圧を作っている回路により多くのブリーダー電流を流してやることです。電源ON直後にスピーカに流れる過渡電流を取られてもなお、2SC1815にまわす電流が残るようにしてやればいいわけです。実際に、270Ωの値を180Ω、150Ωという風に減らしてゆくと安定度が増すことがわかりました。二つめは、電源ON直後にプラスマイナス電源の電圧に偏りが生じる時間を短縮してやることです。これはリレーの接点と並列に入れてある15Ωの値を小さくして、電源ON時の突入電流の制限を緩めてやるという方法が有効です。この抵抗値も、10Ω、5.6Ωという風に小さくしてやると異常現象は起きなくなります。但し、あまり小さくしすぎると電流制限した意味がなくなります。

何度も試験を行った結果、ブリーダー電流を22mAから33mAに増やし、突入電流制限抵抗も15Ωから5.6Ωに減らすことにしました。ブリーダー電流を増やしたために2SC1815のコレクタ損失が増えてしまったので、許容コレクタ損失が大きい2SC4408に変更しました。2SC1815と2SC4408とではベース〜エミッタ電圧がかなり違いますので、回路定数も見直してあります。この2つの変更によってプラスマイナス電源回路の安定度は大幅に改善されました。副産物として、若干生じていた電源ON時のポップノイズも減りました。


<課題5・・・まだ続くプラスマイナス電源異常>

解決したかに見えた電源ON時の挙動問題ですが、DCRが3Ω以下のスピーカーをつないだテストで問題が再発しました。4Ωである程度余裕を持たせた回路定数に変更したのですが、3Ω以下のスピーカーも結構存在するわけで、判断が甘かったです。

回路定数を見直した場合、すべての負荷のDCRの合成値が1.2以上であれば正常動作をさせる見込みはあるのですが、1Ωではどうにもならないことがわかりました。DCRが2Ωのスピーカーというのは滅多にないのですが、3.5Ωくらいのスピーカーならざらにありますし、これを2本ずつパラレルにつながれたらアウトです。

強引に回路定数で追い込んでも結局いたちごっこになるだけなので、回路方式自体で根本的な解決をはかりたいと思います。というわけで、再び「不機嫌な瞑想状態」にはいります。電源ON直後の過渡電流が犯人なので、電源部が安定するまでスピーカー出力をリレーで切り離してしまえば一挙解決ですが、この方法は最後の手段としてとっておこうと思います。


<改良したつもりだった回路図>

電源ON時の過渡電流が40mA以下であればこの回路でもいいのですが、実際には両チャネル合わせて100mA以上が瞬間的に流れるケースがあるようで、この程度の強化では足りませんでした。


<課題5を解決した回路図>

解決の方法はいくつかあるのですが、最もシンプルで部品点数が少ないのがこの回路です。

アンプ部の変更はありません。擬似±電源側にエミッタフォロワを追加し、過渡電流が流れても電圧バランスが崩れないようにしました。この回路であれば0.5AくらいまでOKです。2SC4408のコレクタ〜エミッタ間に入れてある1.8kΩは、プラス側の4700μFに溜まった電荷を出し切るための通り道です。これがないと、電源OFFした後いつまでも電荷が残り、やがてマイナス電源側のコンデンサに逆電圧がかかります。


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