私のアンプ設計マニュアル / 基礎・応用編
回路インピーダンス

インピーダンスと回路インピーダンス

インピーダンスは交流信号を扱う時の抵抗値にあたるもので、抵抗と同じくΩやkΩで表記します。スピーカーのインピーダンスといえば、4Ωとか8Ωという値が思い浮かびますね。出力トランスのインピーダンスならば、1次側は5kΩで2次側は4Ωと8Ωというように。アンプの入力インピーダンスならば、50kΩくらいのものが多いです。これらは、部品やオーディオ機器のある部分の特性をさしています。

本章で言う「回路インピーダンス」は上記のインピーダンスとはちょっと違います。部品ではなく回路としてくみ上げた状態のある部分のアースとの間のインピーダンスであり※、2台のオーディオ機器をつなげた時の接続部のインピーダンスのことを回路インピーダンスと呼びます。回路インピーダンスは、オーディオ回路や機器接続において、ノイズの拾いやすさや帯域特性やチャネル間クロストークに強いインパクトがあります。回路インピーダンスは低いほどノイズに対して有利になり、帯域特性やチャネル間クロストークも良好になります。

※不平衡回路の場合はアースとの間のインピーダンスですが、平衡回路ではHot〜Cold間のインピーダンスになります。


機器間の回路インピーダンス

ここに出力インピーダンスが1kΩのCDプレーヤがあり、これを入力インピーダンスが50kΩのアンプにつないだ時の機器間の回路インピーダンスは、約980Ωです。その計算方法は以下のとおり。

(1kΩ×50kΩ)÷(1kΩ+50kΩ)=980.4Ω
回路インピーダンスは低い側の値が支配的です。一般に、機器間の接続はロー出しハイ受けですから、回路インピーダンスはソース側機材の出力インピーダンスでほぼ決定されます。アンプの入力インピーダンスがどんなに高くても、ソース側機材の出力インピーダンスが低ければ、機器間の回路インピーダンスは低くなるのです。


回路内部の回路インピーダンス

右図は差動ライン・プリアンプです。この回路を材料にして各ポイントの回路インピーダンスを求めてみましょう。

<A点>
これは簡単ですね。入力に何もつながない時はアンプの入力インピーダンスと同じになります。ボリューム・ポジションがMINの時は50kΩですが、MAXの時は1MΩの存在が影響するので47.6kΩになります。

このアンプに出力インピーダンスが1kΩのCDプレーヤをつなぐと、A点の回路インピーダンスは約980Ωになります。

<B点>
ボリュームポジションがMAXの時はA点と同じでCDプレーヤなしでは47.6kΩとなり、CDプレーヤありでは約980Ωになります。

ボリュームポジションはMINの時は、CDプレーヤの有無にかかわらず常に0Ωです。

問題はボリュームポジションが中間の場合です。これを考える前に是非読んでいただきたいのがこちら「ボリューム回路の入出力インピーダンス」です。入力にソース機材をつないだ時の、ボリュームの後ろ(出力側)の回路インピーダンスは、ボリューム・ポジションによって0Ω〜ボリューム抵抗値の1/4の間で変化します。

<C点>
B点の値に3.3kΩを加えた値になります。

<D点、F点灯>
このアンプの出力インピーダンスは実測で2kΩです。負帰還をかけたアンプでこの値を計算で求めるのは少々難しいので実測されることをお勧めします。D点、F点の回路インピーダンスは2kΩです。 <E点>
F点は、出力信号が100kΩと56kΩで分圧(減衰)しているので、

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