時々、オーディオ機器をつなぐ中間に手頃な減衰特性を持ったアッテネータが欲しくなることがあります。アッテネータは真面目に作ろうとすると、送り出し側と受け側のインピーダンス関係を考慮した定数にしたくなりますが、そういう「きちんとした」ことは抜きにして、部品箱の余り部品を使い、ちょいと便利に使える汎用性の高い、しかし、性能的には大したことのないお手軽アッテネータBOXなるものを作りました。
画像を見てのとおり、じつに適当に作ってあります。シールド効果のないプラスチック・ケース、千石電商で最も安く売っていた赤黒RCAジャック、1個140円の左右CHで不ぞろいなボリューム、ジャンク抵抗、黒い単線を巻きつけただけのすかすかのシールドでございます。
<-10dBアッテネータ>「in」端子に入力された信号は、2個の抵抗とトグルスイッチによる「-10dBアッテネータ」にはいります。現実には受け側インピーダンスの値や後続のボリュームの位置、さらに後ろにつながる機器の入力インピーダンスによって必ずしも-10dBになどならないのですが、このスイッチによって「減衰なし」または「-9.4dB〜-11dB」の切替ができます。なお、本ページの説明の前提条件として、out側に接続される機器の入力インピーダンスは50kΩまたはそれ以上であるものとして計算しています。
<ボリューム>
減衰量を連続可変にするために100kΩのボリュームが続きます。何故100kΩであるかというと、本当は50kΩにしたかったのですがたまたま手元には100kΩしかなかったからです。従って、ボリュームの位置によっては、送り出しインピーダンスが25kΩほどにもなってしまうので、「out」側に3m以上の長いオーディオケーブルをつないだりするとみるみる超高域が減衰します。もちろん、ボリュームの金属ケースはしっかりとアースにつないであります。
なお、単一の減衰ポジションでいいのであればボリュームは省略できます。もうすこし大きな減衰が欲しい場合は、30kΩを39kΩに変更し、16kΩを12kΩとすれば-14dB(1/5)の減衰量になります。
<入出力インピーダンス>
この回路の計算上の入力インピーダンスは、アッテネータが-10dBの位置では41.7kΩ〜45.3kΩです。アッテネータが0dBの位置ではボリュームの位置と後ろにつながる機器の入力インピーダンスによって33.3kΩ〜100kΩと大きく変動します。出力インピーダンスはボリュームの位置によって大きく変動します。-10dBの位置では0Ω〜27.6kΩ、0dBの位置では0Ω〜25kΩです。
<ボリューム偏差の補正>
この2連ボリュームはステレオで使うとバランスがはなはだ悪く、音が片チャネルに寄ってしまいます(レポートページ参照)。これを補正するために外付けの抵抗が2個ついています。上記の入出力インピーダンス値は、補正抵抗の存在は計算には入れてありません。
本機と同等のものを作る場合は、以下の変更をしてください。
- ボリュームは、50kΩの精度の良いもの(ALPS RK27シリーズなど)を使ってください。補正抵抗がいらなくなります。
- -10dBだけでいい場合はボリュームは省略できます。
- 30kΩを33kΩに、18kΩを27kΩに変更してください。この抵抗器は実測して左右で良く揃ったものを使ってください。これで-9.0dB〜-11.0dBの範囲の減衰が得られます。
- できるだけ金属ケースに入れるか、プラスチック・ケースを使うの場合はもう少しましなシールドをしてやってください。