2石MCカートリッジ用ヘッドアンプ(1978年版)


これは1978年に製作したMCカートリッジ用ヘッドアンプの全回路図です。このアンプは私自身も納得できるかなり良い音で鳴ってくれました。当時人気のあったortofonのMCヘッドアンプ"MCA-76"と比べても遜色なかった記憶があります。製作日付は1978年5月となっています。いちばん下にこのアンプの納入先(地名)が2つ書かれています。


回路の説明

アンプ部の動作のしくみについては、トランジスタ式MCヘッド・アンプ解説に詳しく書いておきました。初段トランジスタを3本並列にして低雑音化を試みています。

電源部はAC100Vから得ていて、簡単な1段トランジスタ・リプル・フィルタで済ませています。よく見ると、トランジスタ・リプル・フィルタ部よりもその先の4.3kΩと2200μFの方が時定数が大きくなっています。ちょっと変わった定数配分です。電源供給はしっかりと左右に振り分けられています。電源回路や信号ループに対する考え方は、この頃も今も変わっていないように思います。


使用部品

使用トランジスタは、アンプ部が日立製PNPローノイズトランジスタの2SA872または松下製PNPローノイズトランジスタの2SA722です。2000年を過ぎてローノイズタイプのバイポーラ・トランジスタは市場からほとんど消えつつあります。新たに製作される方は、型番にこだわらずに入手可能なローノイズタイプのトランジスタを使ってください。電源部だけはNEC製PNPローノイズトランジスタで今でもそれなりの値がついている2SA640です。本機でも2SA640に対する評価はこんな程度です。余程に気に入らなかったのでしょうか。

初段入力の「220/3T」というのは220μF/3Vのタンタル電解コンデンサです。47μF以上あれば充分です。出力側の6.8μFも実は2.2μFあれば充分すぎるくらいで、大きくするのは得策ではありません。20pFのコンデンサはセラミック・コンデンサではなく、マイカ系コンデンサを使ってください。アンプ部の抵抗器はすべて低雑音性能が優れた金属皮膜抵抗を使ってください。90Ωという半端な値の抵抗は91Ωで置き換えます。電源トランスの2次電圧は14Vで小型のショートリング付きのメーカーを使いましたが、新たに製作される場合は、19V〜24Vの市販のACアダプタを使って電圧を調整して使ったらいいでしょう。

アナログLPレコードを楽しむ に戻る