私のアンプ設計マニュアル / 雑学編
我が家のオーディオシステム

おことわり

この章は、我が家の生活様式、私の好き嫌い、私が「こうありたい」と思っていることなどについてご紹介しています。多くのみなさんの嗜好や趣味とは合わないかもしれませんが、何かの参考くらいにはなるかもしれません。


メインルーム(1F)

雑誌などでよく、リスニングルーム探訪の記事が載っています。たいていは、お父さんがオーディオの趣味を持っていて、専用のリスニング・ルームがあって、正面には大型のスピーカーやビデオ・スクリーンなどがあり、部屋の中央にはヒアリング用の豪華な椅子、そして壁にはラックにきちんと整理されたさまざまなオーディオ機器があります。壁一面がレコードラックなんていうお宅のよくみかけます。

私の場合、こういう雰囲気は好みではありません。生活に関係ないものや機械類はできるだけコンパクトに、というのが我が家の基本方針ですので、オーディオ機材は目立たないように部屋の隅っこに、使わない機材は出さ(陳列し)ない、ということになります。従ってリスニングルームといってもそれらしい風情はなく、ご覧のとおりなんとなくがらんとしています。

左の画像は、吹き抜けになっている2階ロビーからリスニング・ルームとも言える部屋を見下ろしたところです。中央の画像は部屋の中央から天井を見上げたところです。この部屋は普段はほとんど何も置いてなくて椅子が2〜3脚あるくらいですが、来客があると人数に応じたテーブルセッティングが現れます。画像では床がテラコッタ・タイルですが、現在はウォルナットのフローリングに変更しています。

このリスニング・ルームに隣接して左側に防音設備のある音楽の練習室があります。楽譜、LPレコード、CDの大半は音楽室に置いてあります。

私は、天井の高さが非常に重要だと感じています。どんなに広い部屋であっても、天井が低いと得られる音はストレスの多いものになります。何故かというと、スピーカーから出た音は直接音に加えて床反射と天井反射が混ざって耳に届くため、天井が低いと3つの音が混ざってしまうからです。天井が高いと直接音+床反射の2つだけになりますが、直接音とわずかに時間差を生じた床反射の2つがあることで人間の耳に正常な方向感覚を得ることができます。その結果、部屋が広くなくても、天井の高さがあると実にのびのびとした美しい響きが得られます。それは、マンションからこの家に移って最初に感じたことでした。いや、ほとんどカルチャーショックといっていいほど大きな変化だったのです。

もうひとつ重要なポイントは、壁の材質と構造です。日本の住宅では、通常私達が洋間と呼んでいる部屋は石膏ボードを貼った四角い箱です。畳の和室と対照的な洋室だと思っていますが、残念ながらこの構造の部屋から洋風な音は期待できません。西洋音楽らしい響きが欲しければ、「石膏」ではなく「石」が必要です。石膏ボードは叩くと「ぼこぼこ」と鈍い響きがしますし、叩き方を変えると「ぼーんぼーん」という太鼓のような音もします。

これが濁った音を生む犯人です。しかし、日本の住宅で石造りというわけにもゆかないので、壁は3面が煉瓦タイル張り、残り1面はほぼ全面高さ6mまでペアガラスとしました。床はコンクリートの上にテラコッタ・タイルを貼っていましたが、やりすぎ感があったので後にウォルナットの板張りに変えました。天井は一部ペアガラス、残りがクロス張りですので相当にライブな空間ですが、音のクリアさは失われていません。壁は広い意味では太鼓構造ですが、タイルを貼ったおかげで鈍い反響がなくなりました。また、床は地面からコンクリートで固めてあるため強固で、レコードプレーヤのそばで飛んだり跳ねたりしても微動だにしません。

1Fは狭いですが、2階の手すり(写真に白く写っています)の奥は廊下、踊り場、そしてロビーがあるので上の方は相当に大きな空間になっています。構造上、このリスニング・ルームはオープンな造りなので、ここで鳴った音は家中に伝わります。プライベート・ルーム以外のほとんどすべてのエア・ボリュームを音のために使っている、と考えていいと思います。音楽を楽しむ特等席は、実は、2階のロビーです。1階の音が、ほどよく立ち昇ってきて、どこかのリゾートホテルの吹き抜けのラウンジで寛いでいるような気分にさせてくれます。幸い、家族全員がクラシック・ファンであり、オペラ狂いであり、ジャズもボサノバもフレンチもイタリアンも聴きます。だから、こんな構造でモメずに済んでいるのでしょう。もちろん、各個室にはそれぞれ別にプライベートなオーディオシステムがあります。

装置類の画像がないので気になると思います。この部屋にセットしてある装置は以下のとおりです。

  • レコードプレーヤ: DENON DP-55L (この比較的廉価なプレーヤは以前使っていたTHORENSよりも腰の座った良い音がする)
  • カートリッジ: DENON DL-103 (40年来これを愛用)
  • CDプレーヤ: STUDER A727 (今まで使ったCDプレーヤの中で最も音楽をまともに鳴らす・・・と思っていたが、PC+トランス式USB DACに完敗)
  • PC: ThinkPad + iTunes (このPCは音楽専用機)
  • オーディオインターフェース: トランス式USB DACなど (レコーディングの時はRMEに変更する)
  • プリアンプ: 真空管MCヘッドアンプ付プリ・アンプ (使いはじめて30年以上経つがいまだに元気。そろそろ新作のバランス型と置き換える予定)
  • メインアンプ: 6N6P全段差動PPミニワッター2012 V2 (時々6AH4GT段差動PPや71Aシングルミニワッターに変更される)
  • スピーカー: HARBETH HL Compact 7ES-2 (以前はHARBETH HL-K6でしたが若い人にあげてしまいました)
画像ではアンプの試験運転のためにスピーカーが何種類も置いてあります。普段はHL Compact 7ES-2だけです。その他、必要に応じてPCオーディオを持ち込んだり、アンプ類を変更することがあります。


スピーカーについて思うこと。

使用しているスピーカーはモニター用として開発されたもの、あるいはモニタースピーカーにルーツを持つものが多いです。演奏者の意図がきちんと伝わってきて、音楽的に楽しめるスピーカーを求めていたら結果的にモニター系のスピーカーが集まってしまったというわけです。

昔のオーディオ雑誌の記事でよくみかけた記述に「モニタースピーカーはあら探しのため」「無味乾燥な音」というのがあります。私も高校生の頃はその言葉を受け売りしていましたが、実際にさまざまなスピーカーの音を聞いてみると、その解説は間違いであることを実感しました。家庭を持って最初に購入したスピーカーはRogers LS3/5Aでしたがこれは家内が選びました。ピアノや弦楽器の音がもっとも楽器らしく自然で、毎日鳴らすならこれがいいと言うのです。

この歳になって、音楽制作に関わっている多くの音響エンジニアと接触するようになってわかったことは、音響エンジニア達こそ真の音楽好きであるということです。音楽が好きで好きでどうしようもなくてこの世界に入り込んでしまったのであり、もしモニタースピーカーが「無味乾燥な音」だったら、そんなものは使いたくもないし仕事にならないと言います。


ダイニングルーム(1F)

以前はイニングルームにはソース機材がなく、ソースは隣のメインルームから送り出して、6DJ8全段差動PPミニワッターで受けてRogers LS3/5Aを鳴らしていましたが、今はPCがソースの主力です。スピーカーは天井近くの棚に組み込んであるので、ここからは見えません。

食事やコーヒータイムはここで過ごしますが、かかっている音楽はほとんどが室内楽です。

  • PC: MacBook + iTunes (このMacは音楽専用機)
  • オーディオインターフェース: トランス式USB DAC (・・・)
  • メインアンプ: 6DJ8全段差動PPミニワッター2017 (このアンプはとても良いです)
  • スピーカー: HARBETH HL-P3ES (Roger LS3/5Aの後継として入れ替え。帯域が広くなった)


アトリエ(3F)

3Fはアトリエすなわち工房なので機材構成は流動的ですが、2012年8月の構成は以下のとおりです。

  • PC: ThinkPad E430c + iTunes (上の画像のPCは旧ThinkPad R60)
  • オーディオインターフェース: RME UCXトランス式 or トランス+真空管バッファ式USB DAC Version1/2 (・・・)
  • オープンリールデッキ: OTARI MX-50N (そんなにでかくないスタジオ用マスターレコーダー)
  • メインアンプ: 6N6P全段差動PPミニワッター、トランジスタ式ミニワッターPart5 (その他いろいろ、しょっちゅう入れ替わる)
  • スピーカー: tangent EVO E5 (E4を使っていたが人にあげてしまったので仕方なくE5)

寝室(2F)

寝室で使っているソース機材はiPod nanoのみです。


旅行セット

旅行先で使っているシステムで「ツアラー」と呼んでいます。

  • iPhone: iPhone5 (・・・)
  • PC: Thinkpad E430c + iTunes 
  • オーディオインターフェース+メインアンプ: USB DAC内蔵ミニワッターツアラーPart5 (・・・)
  • スピーカー: audio pro allroom sat、monitor audio R45HD (コンパクトな割りに音楽的な音がちゃんと出ますが・・・欠点も多いです)

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